トピックス


「J−1復帰」おめでとう、コンサドーレ札幌・・ベルマーレ湘南対コンサドーレ札幌(0-3)・・(2000年10月21日、土曜日)


いや、エキサイティングな面白いゲームでした。たしかにコンサドーレが、アウェーにもかわらず、「3-0」でベルマーレに勝利を収め、来期からの「J-1復帰」を決めたのですが、試合内容は、決して「点差」ほど開いているわけではなかったのです。

 両チームともに、しっかりとした守備をベースに、トップと後方の選手たちがどんどんと「タテのポジションチェンジ」をくり返すなど、アクティブに仕掛け続けます。いや、エキサイティング。例えば、ベルマーレの渡辺淳一がボールを持ち、そのまま最前線の松原へ、ズバッというタテパスを決める・・、自身は、そのまま超速ダッシュで、その松原までも追い越していく・・、もちろん松原からは、ベストタイミングのリターンパスが返ってくる・・、後は、ドリブルでの最終勝負・・ってな具合。

 それでも、両チームともに、相手の守備ブロックが整った状態では、そう簡単には、それを崩しきるところまでいけません。ほとんどのチャンスはカウンターからしか作り出すことができない・・という展開なのです。

 基本的にカウンターは、「才能レベル」への依存度が高い攻め方ですから、やはり、エメルソン、播戸、アウミール、はたまたビジュなどの「高い才能」を備えるコンサドーレに、「危険度」では軍配が上がります。

 対するベルマーレの松原良香ですが、「以前のベストコンディション」に戻りつつあると感じました。自信あふれる、スピーディーで変幻自在のドリブル、クリエイティブな決定的コンビネーショントライなど、雰囲気だけは、コンサドーレの守備陣をビビらせるに十分な迫力をともなっているのです。ただ、中盤のチャンスメイカー、フチカのプレースピードが遅れ気味なこともあって、次のイメージがうまくシンクロ(同期)しません。何度か素晴らしいカウンターチャンスを迎えたのですが、それも「単発」という印象をぬぐえなかったことは残念でした。

 それに対しコンサドーレ。彼らのサッカーは、確実に発展しています。以前は、人数をかけて確実に守り、エメルソンの一発で勝つ・・というイメージしかなかったのですが、それがここにきて、サッカーの「質」がかなり向上しているように感じるのです。ボランチの野々村、ビジュ、はたまた両サイドアタッカーも、どんどんと決定的シーンに絡んできますし、「タテ」のクリエイティブなポジションチェンジも、より頻繁になっています。岡田監督のチーム作りは、J-1に向けて順調に進行しているようです。

----------------

 ゴールですが、まず前半16分、CKから、まったくフリーの名塚が、ヘディングでゴール左角に決めます。この数分間、ちょっとベルマーレの「マーク」に集中が欠けていたように感じます。その後は、再び集中力が戻ってきましたが、それは、一瞬の集中切れが勝負を分ける・・という典型的なゴールだったのかもしれません。

 後半はもうベルマーレペース。どんどんと攻め込み続けます。逆にコンサドーレの、攻めにおける足は止まり気味。一点リードしているコンサと、それを追いかけるベルマーレ。まあ、そんな展開も当然の成り行きといったところではありますが、守備ブロックが安定しているコンサに対し、ベルマーレの攻めは、うまくチャンスを作り出すところまでいきません。また、カウンター気味に作り出した数少ない決定的チャンスも、二度もバーに阻まれてしまって・・。ついていないベルマーレ・・

 逆に後半23分には、一瞬のカウンターから、最後は、播戸に追加ゴールをたたき込まれてしまいます。万事休す・・

 そしてロスタイムに入ってからの、エメルソンの「スーパーゴール」。ベルマーレのセンターバック、白井の一瞬のミスからボールを奪いかえしたエメルソンが、異次元のスピードで白井を振りきり、ズバッと三点目のゴールを決めたのです。

 エメルソンですが、とにかく見ていて楽しいことこの上ない選手ではあります。以前は、個人プレーに奔り、中央突破ばかりが目立ちすぎていたのですが、今では、シンプルにパスを回して素早く動き(サイドに開き)、最後は、決定的スペースでパスを受ける・・というクレバーなプレーも効果的にミックスするようになっています。そのことで彼の危険度は何倍にも膨らんでいる・・。彼は、日本において、どんどんと「学習」し、自身の将来にとっての重要な「資産」を蓄積し続けているのです。

 個人能力の宝庫、ブラジル。そこでの成功のキーワードは「組織プレー」ですからネ。

 彼は、来年も日本でプレーするのでしょうか。私は・・、というか日本のサッカーファン全体が、J-1での彼のプレーを見てみたいと思っているにちがいないハズです。レンタル契約の更新など、クリアしなければならない課題も多々あるとは思いますが、何とか来年も・・。彼が日本でプレーすることは、彼自身にとって、またブラジルサッカーにとってもポジティブなことだと確信する湯浅なのです。

 あっ、そうそう。ナイジェリアでの世界ユースでブレイクした播戸。彼も、どんどんと発展を続けています。ガンバでは、十分な活躍の場を与えられなかった彼ですが、コンサドーレでは、ツボにはまったようです。これも、「選手移動の活性化」がもたらす多大な効果の典型的な例・・というわけです。

--------------

 さて明日は、もう一つの「J-1へのイス」を巡る勝負の試合。浦和レッズが大分に乗り込みます。私はテレビ観戦ですが、できる限りレポートしようと思っています。ご期待アレ・・




[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]