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どんどんと自信レベルを進化させる日本代表・・日本代表vsジャマイカ代表(4−0)・・(2000年6月7日、水曜日早朝)


この試合が「サッカー」だったのは、城の二点目が入るまででした。それ以降は、ジャマイカの「バランス」が崩れっぱなし、選手の集中が切れっぱなし・・

 今、水曜日の早朝5時。日本代表が、スカッとしたサッカーで、フランスワールドカップでの借りを返した試合でしたから、とにかくファーストインプレッションだけでもとキーボードを叩いています。

 それでも前半は、「こんなゲームの場合は、どうするが一番の正解なのか・・」なんて思いをめぐらせていたモノです。

 ジャマイカの基本的な戦術は、明確な「しっかり守ってカウンター」。日本チームとの「戦術的な理解度・能力」には明確な差がありますから(ジャマイカの監督もそのことを意識している?!)、最終ラインに明確なスイーパーを置き、確実に「決定的なウラスペース」を守る・・という意識が徹底しているジャマイカです。

 そして、この戦術が見事に図に当たります。完璧に中盤を支配する日本ですが、肝心な「最終勝負の場面」では、うまく決定的(シュート)チャンスを作り出すことが出来ないのです。

 前半では、中田浩二が左サイドに上がって決定的なセンタリングを送り込んだシーン、中田の「これぞ世界!」という力強いボールキープから、右サイドでタテに抜け出た城へ決定的なスルーパスが通ったシーン(城は、そのままドリブルで「中」へ切れ込むことで、追いついてくる相手のランニングコースに入れば、そのままシュートへ行けたり、PKを取れたかもしれないのに・・)、また中央右サイドでボールキープし、最後は左サイドで完璧にフリーになっていた中村俊輔へ、素早いサイドチェンジのパスが出たシーン。そのくらいでしたかネ。

 対するジャマイカは、とにかく7-8人で守備を厚くし、一発カウンターのチャンスを狙うという「ゲーム戦術イメージ」を徹底します。そして前半では二本、日本にとって危ない雰囲気を伴ったシーンを作り出します。

 18分。中盤の右サイドで勝負ドリブルを仕掛けてマークを外し、そのままファーポストへセンタリングを送り込んだシーン。逆サイドにいたジャマイカ選手の足が、森岡(だったと思いますが・・)の足よりも数センチ「先」に出てボールに触ってしまったのです。これは確実に一点!という場面ではありました。また、最後尾から「一発ロングパス」が出たシーン。川口がゴールマウスを飛び出したことで、みすみす相手にチャンスを与えてしまいます。競り合っていた松田が、ギリギリで先にボールをクリアしたから事なきを得ましたが・・。これはもう、川口の「勇み足」と言われても仕方ない?!

 それでも、フランス戦同様、中田を中心にした「シンプルプレー」で、スパッスパっとボールを動かしてしまう日本代表のプレーは頼もしい限りではありましたがネ。

 そんな彼らの「組織プレー」は、以前の「組織プレーだけ・・」というのとは次元が違います。組織プレーでしっかりとボールを動かし(単純にボールをキープしているのではなく、『仕掛けの匂い』を放ち続けることで、相手守備ブロックを振り回す意図が明確に見える!)、タイミングを見計らって相手守備の薄い部分を突く・・。そんな基本的な発想を、選手全員がしっかりと意識していることを感じるのです(全員の戦術的イメージがシンクロしている!)。そして、そんなクリエイティブなボールの動きをベースにした、勇気をもった「最後の個人勝負」。その、組織プレーと個人プレーの「メリハリの効いたバランス」が秀逸でした。

 前半、ジャマイカに守り切られたのは、彼らの厚い守備がレベルを超えて徹底していたから・・というふうに考えることにしましょうか・・(フィジカル能力は抜群だし、彼らの異質のプレーリズムも脅威!)。いやいや・・、それでも敢えて湯浅は、たしかに何度か決定的な場面を作り出したとはいえ、全体的な傾向としては、素早いパス回しでの「ウラ取り」がうまく機能しそうもないのだから、積極的にロングシュートにトライしたり、最後尾でボールを回してジャマイカを釣り出すことで必殺のラストロングパスを狙ったり・・などの「攻撃の変化」に対する工夫ができなかったことに対し苦言を呈したいと思います。

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 後半早々の、交代出場した三浦の爆発的な突破からの見事なセンタリングと、城の「落ち着き払った」先制ゴール。また名波の、本当に測ったような正確なフリーキック(例によって、相手ディフェンダーへ向けたセンタリング・・自分目がけてボールが飛んでくるモノだから、相手の足と思考が止まってしまう!!)に、タイミング良く「並んでいる相手ディフェンダーの間のスペース」へ飛び込んで挙げた、これまた見事な城のヘディング(追加)ゴール。そしてゲームは、そこで「終わって」しまいました。

 そこからの日本代表は、本当に心からサッカーを楽しんでいたに違いありません。(もちろん三浦アツとカズのゴールも見事でしたがネ・・)

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 この試合では個々人に対するコメントは必要ないように思います。相手とのチカラの差が大きいだけではなく、戦術イメージが徹底してシンクロしていたことで、全員が良いプレーを展開しましたからネ。ただ一人だけ、名波について・・

 この試合での名波の「考え続ける中盤バランサー」としての活躍は、本当に特筆モノだったのです。

 右サイドの伊東が上がる・・、左サイドの中村が上がる・・、はたまたボランチパートナーの上野や、ストッパーの中田浩二さえも上がっていく・・。そんなとき、多くの場面で、名波が後方バックアップに入ります。何度彼が、最終守備ラインまで下がったり、両サイドスペースのカバーに入ったり、中盤の底を抑えたりと、「全体的なバランスを取った」シーンを目撃したことか。そしてジャマイカのカウンターの芽を「事前」につみ取り、そこから正確で迫力ある展開の起点になるのです。ホント、素晴らしい・・

 あれだったら、フィジカルが比較的弱い、足が遅いという彼の最大の弱点を補って余りある、スーパーな「実効プレー」だと賞賛されて当然だと思います。

 ドゥンガに近づく名波?! ドゥンガも足が遅いのですが、その弱点を補って余りある実効プレーを繰り広げ、世界チャンピオンにまで上り詰めました。その「コア」は、抜群の「予測ディフェンス(インターセプト、相手がボールをコントロールする瞬間でのアタックなど・・)」と、クリエイティブで正確な攻撃の起点プレーだったのです。

 さてこれで、「2002」が見えてきた?!

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 またまたアタマが十分に回転せず、文章にまとまりがないように感じますが、とにかくHPだけはアップします。また今回の「まとめ」については、明後日アップの「ヤフー2002クラブ」でも書くつもりです。では・・オヤスミナサイ・・




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