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オーストラリア報告(4)・・ちょっとオーストラリアについて・・そしてブラジル戦についても(追加の文章あり)・・(2000年9月19日、火曜日)


いま、ブリスベンのホテルでキーボードに向かっています。午後4時過ぎ。これから、もし日本代表が決勝へ進出した場合に、準々決勝で当たるかもしれない「C組」のチェコ対カメルーンの試合を観戦に出かけようと思っているところです。

 昨日の午後、キャンベラから移動してきたのですが、皆さんもご存じの通り、昨日(日曜日から月曜日にかけて)はまったく一睡もせずに原稿書きに追われ、それが終わってから荷造りをしてキャンベラからシドニーへバス移動、そしてそこからは飛行機でブリスベンへ到着したというわけでで、ホント、昨日はエネルギーを使い果たした感じではありました。

 それでも、まるでハワイを思い起こさせるような温暖なブリスベンの気候は快適そのもの。熟睡した朝方の心地よいこと。まず散歩をしながら、ホテル周りの探索です。当然ビジネスマン・ビジネスウーマンが通りを行き交いますが、何となく雰囲気は穏和。ニューヨークやフランクフルト、はたまた東京のような張りつめたテンションは、まったくといっていいほど感じません。

 こちらにきてから一週間。もうかなり多くのオーストラリアの人々とも交流をもつことができました。彼らは、アメリカやヨーロッパの人々と比べて、本当に柔和。やはり風土・・というか、自然環境の恵みなんですかネ。広大な土地に、温暖な気候(もちろん広いオーストラリアですから、場所によっては亜熱帯雨林気候、砂漠気候などもあり)。そして政治、経済も、そこそこ安定している・・

 ヨーロッパ系のオリジナル文化とは明確に一線を画する、オーストラリアの「オープンマインド&ソフトな雰囲気」がとても好きになってしまった湯浅でした。とはいっても、「首都機能だけに特化した人工都市」キャンベラと比べ、ブリスベンはまったく規模の違う大都市(ゴールドコーストの玄関口と呼ばれているそうな・・)。シティーの雰囲気は、「有名な田舎」のキャンベラとはまったく違います。でも「基本的なオーストラリア的雰囲気(より詳しい表現については、後日・・)」は、しっかりと底流に流れているのことを感じられるんです。それが、快適なんですよ。

 先ほど、ブリスベン繁華街の歩行者天国まで足を伸ばしたのですが(ホテルから徒歩で10分程度)、そこのキャフェレストランで知り合った若いカップルがこんなことを言っていました。「日本のサッカーは本当に強いね。私たちはテレビでちょこっと見たんだけれど、そのパス回しなんかは素晴らしかったな・・(男性の方の言葉)。それに比べて僕たちの代表は、もう負けてしまったし、彼らのサッカーは洗練されていないから・・」などと日本チームを誉めること・・

 良いサッカー・・。それについて、またまた考えさせられた湯浅でした。というのも、その「素早く、広いパス回し」が、両刃の・・であることを良く知っているからです。要は、(今週号の「2002」にも書いたのですが)「組織と個のバランス」のことです。

 スロバキア戦では、中盤からの「個人」でのリスクチャレンジが足りなかったために、チャンスをうまく作り出すことが出来なかった・・、やっと後半になって(日本の戦術チェンジがあったことで・・フィリップの狡猾なワナ?!)攻め上がってきたスロバキアの「逆」を完全に突いたカウンターで勝利をもぎとった・・

 日本チームには、「攻撃の変化」を演出する「個人勝負」がまだまだ足りない・・、とはいっても、アフリカ諸国のように、個人勝負だけしか攻撃を組み立てる効果的な手段がない・・というのではサッカーにならない・・だからその「バランス」が大事だ・・ということなんです。

 傍目には「スマート」に見える日本サッカーですが、「ホンモノの世界」と比較したら、まだまだ足りないところのオンパレードなんです。そして、次に対戦する相手は、その「ホンモノの世界」・・

 ブラジル戦・・

 一昨日にアップしたコラムの最後の部分で、ブラジル戦について私が考えていること、期待していることをまとめたのですが、ここでは、どんな展開になるかを予想してみましょう。

 まず「大前提」から・・。それは、ブラジルが、攻守にわたる戦術能力では、確実に日本を上回る(でも以前のように『段違い』ではない)・・、そして彼らは「勝たなければ」リーグ戦で敗退してしまう・・この二つです(もちろん南アがスロバキアに勝つことも大前提のうちの一つではありますが・・)。つまり「自分たちよりも総合力で上」のチームが、全力で「勝ちに来る」ということです。さて・・

 私は、だからといって「必要以上に守備を強化する・・」というゲーム戦術や「心理・精神的な準備」の方向性は間違っていると思っています。試合の流れでは、当然「押し込められる」シーンが出てくることでしょう。そこで、「基本的な戦術的発想」が守備的だった場合、確実に選手達の「心理」が受け身で(前へ)消極的なモノになり、「カウンター・ワンチャンスでの押し上げ」の勢いを殺いでしまうのです。

 彼らは、「いつも通り」のサッカーをやるべきです。私は、たしかにブラジルは強いけれど、以前のように、日本を「凌駕」してしまうほどの差はないと確信しています。

 以前は、明確な実力の差と、日本選手達の「ビビリ」による心理・精神的な負い目の「二重苦」によって、「差」が実際のものよりも大幅に「拡大」されてしまっていたのです。言い方を換えれば、日本の選手たち自身が、実際の差を大幅に拡大してしまっていた・・ということです。

 ブラジルを恐れる必要なんかない!! 日本代表は、持てるチカラを全て発揮することで、良い勝負に持ち込める・・と確信している湯浅なのです。そこが、アトランタにおける「グラウンド上の現象」とまったく違うということです。

 相手の勢いと戦術能力で押し込まれてもいい・・、選手一人ひとりが、「次のチャンス」に対するマインドを磨き続けていれば、必ず相手の穴を突くことが出来る・・、そう思います。もちろんそのためには、選手全員が、持てるチカラを120%発揮し「続ける」ことが必要です。

 三浦、中村などなど・・とにかく彼らには、今までとは次元の違う「闘い」を期待します。ヒデがいない、森岡がいない・・相手は「手負いのブラジル」。願ってもない「ブレイクスルー」のチャンス・・

 もし選手達がそう考えることが出来ないのだとしたら・・、もし彼らのプレーに少しでも「ビビり」や消極さが見えたなら、もちろん「ノーチャンス」。彼らがもし「吹っ切れた闘い」を展開できないのだとしたら、一生に一度あるかないかという「ビッグチャンス」を逃すことになるのです。

 ビッグチャンス・・??? 一体「何」の??? それは、『結果』は別にして、彼らがギリギリの「立派な闘い」を披露した後に、彼ら自身だけではなく、スタジアムで観戦している人々、そして日本全国でテレビ観戦している人々が、それぞれに「感じる(自身のマインドに浸透してくる)」こと。そこでの「何」は、人それぞれで、まったく違いはしますが、それが、各人の人生にとってかけがえのない「何か」になることだけはたしかなことだと確信している湯浅なのです。

 ガンバレ・・我らが若武者達!!!

 乱筆・・失礼・・

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 追伸・・。今、前のコラムを書いてから7時間後に、文章を追加しています。

 いま、「2002クラブ」で応募された方たちとの交歓会から帰ってきたところです。仕事の休暇をとって駆けつけた、本当に気持ちの良い、素晴らしい人たちです。私も大いなる「ポジティブ刺激」を充電してきました。

 アッと・・まず本日の「C組」の結果からいきましょう。チェコ対カメルーン戦ですが、結局は「1-1」の引き分けに終わりました。「1-1」で迎えたロスタイム。チェコが、二度も、カメルーンGKと「1対1」になる大チャンスを迎えたにもかかわらず、結局ゴールを奪うことができずに引き分け。自業自得といったところです。

 もう一つのカード。米国対クウェートは、私の予想通り、米国がクウェートを圧倒し、3-1の勝利を奪いました。米国は、本当に「良いチーム」です。それが、キャンベラで、カメルーンとの試合を観戦したときの素直な印象。たしかに「傑出した才能」はいませんが、そのサッカーの爽快なこと・・。ということで、これまた私の予想通り、C組のトップは「順当」に米国、そして二位がカメルーンということになりました。ということは、準々決勝での日本の相手は「カメルーン」・・

 個人でしか攻撃を組み立てることが出来ないカメルーン。これで日本の準決勝進出は決まりだな・・というのが、私の結論です。

 私は、日本代表の若武者達が、ブラジル戦で立派な闘いを披露し、少なくとも「引き分け」を勝ち取ることでDグループ一位を確保する・・そのことを、心の底から確信しているのです。

 中田がいない・・?! 森岡がいない・・?! 手負いのブラジルが全力で勝ちに来る・・?! そんなことは関係ありません。とにかく私は、我らが若武者たちが、最高の「闘い」を展開すると確信しています。ですから、万障繰り合わせてオーストラリアに来たのです。ちょっと酔っぱらっているので、何か、文章がハチャメチャなように思いますが(その点についてはご容赦アレ!)、とにかく明日の試合については、スタジアムで応援する方々だけではなく、日本でテレビ観戦する方々も、ブリスベンの若武者達に「スピリチュアル・エネルギー」を送ってください。湯浅の、心からのお願いです。

 たまにはいいじゃありませんか。斜に構えたりせず、「期待することの成就」を願って「心の底」から応援してみる・・。それにのめり込むことで、人生の「深遠な哲学」も見えてきたりするかも知れませんヨ・・

 では・・ニッポン!(チャ、チャ、チャ) ニッポン!(チャ、チャ、チャ) ニッポン!(チャ、チャ、チャ)・・・




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