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ピッコリ監督の采配について『考え得る可能性』を一言・・(2000年5月16日、火曜日早朝)


いや、本当にいろいろな方々からメールを頂きました。

 それは、ピッコリ監督の采配についてです。まずそれらのメールのうちの一つをご紹介・・

 「5月13日の福岡対横浜戦で福岡のピッコリ監督は残り10分、2―4で相手にリードされている状況で、攻撃をせずに守りを固めるよう指示を出しました(この時点で福岡は一人少ない10人でした)。彼曰く「この状態で逆転できる可能性はほとんど無い だから攻めに行かずに守りを固めるよう指示を出した」と言うのですが、これはプロサッカークラブの監督として正当な方法なのでしょうか。もちろん、昨年福岡は得失点差でJ1残留を決めたということはあるでしょう。しかしまだファーストステージの途中でこのような作戦をとることは、私は認められません。しかもこの試合は福岡のホームで、かつ15000人近い観客が入っていたのです・・」

 私はこのゲームを見ていないのですが、別の方から下記のような状況説明もありました・・

 「4-2となった後半35分を過ぎたあたりから、負けているにもかかわらず、福岡が守りに入って攻めてこない。しびれを切らした松田が挑発しても福岡は自陣を出てこない。試合終了後のインタビューで松田がそのことを批判する発言をした。そこに到るまでに選手の負傷交替や退場という重要なファクターもあるのですが・・」、というものです。

 フム・・。ピッコリの「指示」が誤解されていなかった・・、また、選手たちの「何らかの要因」での監督指示ボイコットがなかった・・ということを前提に、ちょっと考えてみましょう。

 ピッコリ監督については、間接的に彼のコーチとしての言動、コーチング(戦術)内容などを聞いています。もちろん「ナビスコ事件」も含めて・・。

 私は直接彼に接したことがないので何とも言えませんが、『たぶん』、その「事件」が起きた段階で彼は、「このままでは本当にボロボロになる(ボロボロにされてしまう)・・。とにかく何とかしなければ・・」と感じたのだと思います。私は、基本的に彼のコーチとしての能力を認めていますから(内容実績も十分)、その判断を尊重します。

 私も経験があるのですが、チームが「心理的な悪魔のサイクル」に入った場合、選手たちの「心の動揺(ビビリとか、恐怖感とか、虚無感とかで極端に消極的な心理状態に陥ってしまう・・)」を抑える(再び活性化する・・またはそれ以上の落ち込みを防ぐ)ためには、もう何といっても「守備固め」をするしかありません。

 ただその「守備固め」が、まったく「次の攻撃」を意図しないものだった(ボールを取り返しても誰も上がっていこうとしなかった!)・・だから許せない・・ということなのですが、置かれた状況から、とにかく残りの10分だけ我慢しよう・・というものだったのでしょう。

 よく、心理的な悪魔のサイクルに入ったチームが、そのまま足が止まった状態で、相手に『もっと』ボロボロにされ、『次の試合でも(心理的に)立ち直れない・・』というケースを目にします。ピッコリの判断は、この試合はもういい・・、とにかく守備固めをしてこれ以上失点しないこと・・「早く立ち直り、次に備えるため」に、まずチームがこれ以上「心理的」にボロボロにされないこと、ボロボロにならないことの方を優先しよう・・というものだったと思うのです。

 それ以外に、ピッコリの判断・決断の「背景」はないと思いますし、私はそれを支持します。見ている方にとっては、何だ!負けているのに何故攻めないんだ・・と思うのは当然でしょうが、彼とても、そのことを知らないはずはありませんし、それが自身にとっての大きなリスクであることも重々承知していたと思うのです。

 ということで、プロとして、「次」を視野に入れた「勇気ある決断」だったという風に考えるのですが・・

 追伸:この試合内容について、周りからガンガンと非難されることは、選手たちにとっては「レベルを超えた刺激」になっているハズ・・それが「次の試合の内容」に、ポジティブに作用するに違いないと思っている湯浅なのですが・・。もしそこまでピッコリが読んでいたならば、本当に「優れた策士」。福岡は、素晴らしい監督を手に入れた・・ということになりますよね。さて、これで「次」が楽しみになったじゃありませんか・・

 追追伸:こんなことが外国でも・・?? この質問も多く寄せられたのですが、それについてはノーコメント。もちろん「同じようなケース」は経験したことはあります。それでも、サッカーが置かれている状況(サッカーインフラ、生活文化背景などなど)が違いますから・・。ということで悪しからず・・




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