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拡大し、浸透し、定着しつつある「壮大な社会的チャレンジ」・・横浜FCvs静岡産業大学(4−0)・・(2000年4月30日、日曜日)


久しぶりの「JFL」。思い入れの深い横浜FCのゲームをレポートします。

 今シーズン最初の試合なのですが、本当にお久しぶりで申し訳ない・・なんて思っています。それでも、4500人もの、参加意識の高い熱心なファン(生活者)の方々に支えられ、彼らの「市民ムーブメント(大いなる社会的チャレンジ)」も本格的な段階に入ってきたと実感できたことに感動さえおぼえています。

 試合は、何度も決定的なチャンスを潰し続けた横浜FCが、前半19分、左サイドでの、公文裕明(元ベルマーレ)の素晴らしいオーバーラップからのピンポイントセンタリングを、小野信義(元ガンバ)がヘディングで先制ゴールを決めました。続いて、23分には、スムーズなボールの動きから、最後は、中央に上がってきた「三人目」、キャプテン後藤が落ち着いて追加ゴールをゲット。

 相手の静岡産業大学との実力差は明確。個人的な能力もそうなのですが、特に、攻守における「サッカー的な発想」のレベルの差が目立ちます。要は、守備での「読みという発想」、そして攻撃での「スペース活用という発想」のことです。

 とはいっても、湯浅は満足しているわけではありません。これほどの実力差があるのですから、美しく、魅力的なサッカーで相手を完璧に押し込んでしまうくらいの・・・ってなことを書こうとしていた矢先の前半26分、右サイドで高木成太(元ヴェルディー)との素晴らしいコンビネーションで抜け出した小野信義が、これまた素晴らしいピンポイントラストパス(センタリング)を、中央のスペースでフリーだった有馬賢二(元コンサドーレ)に通し、それを有馬が、ズバッとボレーで三点目を決めます。

 ここで横浜の先発プロ選手のご紹介。まず、全体的なポジショニングバランスを司るダブルボランチの後藤義一(元コンサドーレ)と高木成太(以前、彼について酷評したことがありますが、意識の高まりとともに今では「中盤バランサー」として良いプレーをしています)、また前気味の左サイドで抜群の突破を魅せる横山博敏(元ジェフユナイテッド)と、同じく右サイドでタテのスペース狙いを魅せる小野信義。縦横無尽にポジションを入れ替え続ける犬飼力(元デンソー)と有馬賢二のツートップ。そして「ライン気味」のフォーバックは、左から公文裕明、渡邉一平(元フリューゲルス・水戸ホーリーホック)、高田昌明(元東京フリエ)、田島宏晃(元本田技研)、GKに吉田明博(元ベルマーレ)。

 さて後半。開始早々の5分。ハーフタイムでのリトバルスキー監督のゲキが効いたか、前半のカッタるい雰囲気を一掃するような、最前線での「爆発チェイシング」が成功します。最初に魅せたのは有馬。それはかわされてしまいましたが、次に仕掛けた小野が、見事にボールを奪い返したのです。そんな「刺激プレー」が、チーム全体の闘う意志を高揚させることは世界の常識。そこから、横浜チームの全体的なペースがアップします。とはいっても、そのダイナミックな雰囲気もほんのチョットの間だけ。また、(好意的に書けば・・)「落ち着いた」雰囲気になってしまって・・

 とにかく私としては、ガンガンと、相手との「実力差」を肌身に実感させてくれるようなアクティブサッカーを期待しているのですが・・

 後半20分に四点目が決まります。右サイドから攻め上がり、中央の後藤を経由して左サイドの横山へ(横山の突破力はプロの魅力十分)。そこからの正確なセンタリングを、小野がヘディングで決めました。気持ちの良いゴール。そしてまた横浜のペースが上がります。このハイペースを何とか維持できないものかな・・(全体的には後半の方が良いリズムでサッカーをやっていましたがネ・・)

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 来場者は四千人強。素晴らしい・・

 何といっても「参加意識」の高い生活者の方々ですからね。試合前に、スポンサーが紹介されたのですが(CITIBANK、ボッシュ、ハイネケン、ミズノ、オペルなど)、企業名が紹介されたときの暖かい拍手。入場者数が発表されたときの拍手。試合が終わった後の拍手。そして何といってもサポーターの方々の応援。それはもう感動モノですヨ。

 そんな来場者の方々の「自分主体」の反応からは、官僚政治主導の社会システムに飽き飽きし、とにかく何か「社会的なアイデンティティー」を自分たち自身で確立しようという高い意識を感じます。これはホンモノです。

 来場者の方々の「自分がこのクラブを育て上げるんダ!」という崇高な希望を肌で感じ、「この人々は幸せだな・・」なんて思いながら自分自身もシアワセな気分にさせられてしまった湯浅でした。私もサボらず定期的に観戦にこなければ・・

 試合後に、旧友の奥寺ジェネラルマネージャーとハナシをしました。もちろん彼もチームのパフォーマンスに満足しているわけではありません。そんな彼に、「それでも、リティーも含めた現場のプロたちは、少なくとも今シーズンは、全力を傾注できる場を獲得したんだから幸せだヨ。世の中の原則は、変化こそ常態というものだし、将来どうなるかわからなくても、自分自身の社会的アイデンティティーのために全力を尽くす場があるんだから・・」と言いました。その言葉に、オクが大きく頷いたことは言うまでもありません。

 とにかくガンバレ、横浜FC!!




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