でも、ホームページで公表するつもりは毛頭ありませんでした。ただ先日、授賞式への正式な招待状がとどいたことで、ちょっと気が変わって・・。やはり、私のことを評価していただいている読者の皆さんには、感謝も込めて、お知らせしておかなければ・・と思い、キーボードに向かうことにしたというわけです。
さてこのミズノスポーツライター賞ですが、招待状に添付されていた書類の内容を簡単にご紹介します。
「最優秀賞」は、関根淳氏の「モンゴル野球青春記」。そして優秀賞に、拙著と、中国新聞社/編集局運動グループがまとめた「アマスポーツNOW」が選ばれました。拙著以外の二冊にはまだ接していませんが、是非読みたいと思っています。
選考委員は、「ナンバー」の初代編集長だった岡崎満義氏(選考委員長)、参議院議員の田英夫氏、作家の村上龍氏、元日本体育協会広報専門委員会委員長、廣堅太郎氏、社団法人日本女子体育連盟会長、松本千代栄氏、そして財団法人水野スポーツ振興会会長でミズノ社長、水野正人氏です。
この賞の制定目的は、「スポーツに関する優秀な作品とその著者(個人またはグループ)を顕彰してスポーツ文化の発展とスポーツ界の飛躍を期待するとともに、これからの若手スポーツライターの励みになることを願い制定」ということで、選考対象は、「主として新聞・雑誌・単行本などを通じて書かれたスポーツ分野の報道・評論・ノンフィクションなどで、当該年度に発表されたもの」、だそうです。ナルホド・・
この賞は、1990年度から制定されたそうですが、直接的なサッカー関連としては(誤認があればご容赦!)、これまでに、1993年度の「ビバサッカー(牛木素吉郎氏・・サッカーマガジン連載)」、1996年度の「断層」「叫び」など(金子達仁氏・・ナンバーに掲載)、そして1998年度の「6月の軌跡・・98年フランスW杯日本代表39人全証言(増島みどり氏)」があります。
さて、拙著「サッカー監督という仕事」に対する「選考理由」ですが、これについては、原文をそのまま載せることにします(別に問題ないですよネ・・)。
『本書はプロのコーチの視点からサッカー監督のあり方を追求したユニークな監督論である。著者はドイツでサッカー指導者資格を取得するため武者修行し公認サッカー指導者資格A級ライセンスを取得(ここですが、ちょっと勘違い・・私のライセンスは「A」の上のプロライセンスなんですヨ・・)、その後読売サッカークラブなどでコーチとして活躍してきた。その体験に基づき、著者は「優れたパーソナリティーこそ良い監督の最大の条件」であると主張する。客観的な視点でサッカーという協議の独自性を淡々と解説する著者の語りが、読者のサッカーに対する理解をより深め視野を広げるものであることは確かである。さらに本書は、スポーツの世界に限らず様々な組織のリーダーに必要な条件を改めて考えさせるもの伴っており、一般読者もきちんと視野に入れた指導者論を展開した好著である。』
長年書き続けてきたことが、このように評価されたこと。本当に心から喜んでいる湯浅なのです。そのことを皆さんにお伝えしたくて・・
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本の「あとがき」から、ちょっと抜粋・・
『本文であつかったテーマは、監督の仕事の内容がメインではある。ただ、それら全てのテーマの底流には、「人(その心)を動かすチカラ」とも言い表すことができる、監督の「優れたパーソナリティー」というキーファクターが潜んでいる。そのことも言いたかったのだが、十分に表現できただろうか・・』
『ドイツのプロの世界では、よく「フィンガー・シュビッツェン・ゲフュール」という表現が使われる。日本語に直訳した場合「指先のフィーリング」ということになるが、優れたパーソナリティーを備えた監督のことを、「彼の、指先のフィーリングはいいネ・・」などと言ったりする・・』
『もし監督(ビジネスマネージャー)が、日本の古い考え方・価値観の枠組みに必要以上に左右されているようならば、個人事業主であるプロ選手(プロビジネスマン)たちから敬意を払われるはずがないし、彼らの信頼を勝ち取れるはずもない。プロの世界では、大義名分は関係ない、学歴や年齢は関係ない、学閥も、地方閥も組織閥なども関係ないのである・・』
『様々な要素を包含する、監督(ビジネスマネージャー)のパーソナリティー。それが、「定型」が存在しないサッカー(ビジネス)をマネージしていくうえで非常に重要な資質であることは、誰もが認識していることだろう。ただ逆に、つかみ所がないことも確かなこと。だからこそ監督(ビジネスマネージャー)は、常にそのことについて考えを巡らせ、鋭い感性を磨き続けていなければならない。そう、「日常的な不満」などアタリマエという心理環境におかれているプロ選手(プロビジネスマン)たちから、本当の意味での信頼を勝ち取るために・・』
受賞に際し、『すべての道につながる』サッカーの醍醐味を教えてくれた日本とフットボールネーションの友人・知人、そしてサッカー文化そのものに対し、再び、心から感謝している湯浅健二なのです。