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いや、すごい「闘い」でした・・ブンデスリーガ第6節、シャルケ04対ドルトムント(1−0)・・(2001年9月17日、月曜日)

いま私が一番注目しているのは、なんといっても「レアル・マドリード」の発展プロセス。もちろんそれは、ジネディーヌ・ジダンという天才がチームに加わってきたからに他なりません。

 皆さんもご存じのとおり(!?)、「あの」レアルが、ジダンの、チーム内への「インテグレート作業」に四苦八苦しているのです。ジダンとフィーゴが肩を並べた、スペインリーグ開幕戦(対バレンシア)では最悪の出来。次の第二節、マラガ戦では、フィーゴが出場停止ということで、ジダン「だけ」が先発したわけですが、それも空振り。ただその数日後に行われたチャンピオンズリーグの開幕戦、対ローマでは、レアルが、フィーゴを中心に素晴らしいサッカーを展開しました(マラガ戦の先発メンバーで、ジダンとフィーゴが入れ替わっただけ!)。そして迎えたリーグ第三節のベティス戦では、再びジダンとフィーゴが肩を並べたわけですが、前半だけは「うまくいきそうな兆し」を感じたモノの、その後は、再び沈滞してしまって・・。

 ということで、この「レアルの発展プロセス」については、当HPだけではなく、サッカーマガジンで連載している「1/4コラム」でも、先々週、今週と、二回つづけて取り上げました。また、明日(9月18日の火曜日)にアップされる予定の「Isize 2002 クラブ」でも書きました。皆さんも、彼らの発展プロセスに注目してみてはいかが・・。そこに、「チーム作り」という、監督のお仕事の本質が見えてくること請け合いなのです。

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 ということで、ここでは、一昨日に行われたブンデスリーガ第6節のトップマッチ、シャルケ04対ドルトムントの試合を、短くレポートすることにします(ルール工業地帯の、伝統的ダービーマッチ・・ドルトムントとシャルケのゲルゼンキルヒェンは僅か数十キロを隔てた隣町!)。

 ドルトムントの(第4節までの)快進撃については、もうご存じだと思います。何といっても、「無失点」の連勝街道をばく進していたんですからネ(開幕4戦までの無失点は、ブンデスリーガ記録!)。このことについては、当HPの「海外コーナー」だけではなく、ブンデスリーガの第一節が終了した時点で書いた二つのコラム、「WOWOWのホームページのコラム」、また「Isize 2002クラブのコラム」も参照してください。

 それに対し、昨シーズン、「最後の瞬間」までバイエルン・ミュンヘンと優勝を争ったシャルケ04の調子はいま一つ。

 第一節では、ローシュトックに「3-1」の快勝をおさめたものの、その後は、バイエルン・ミュンヘンに「3-0」の完敗を喫し(バイエルンのホーム)、第3節では、メンヘングラッドバッハと「0-0」の引き分け、第4節では、新しいホームスタジアム、アレーナ・アウフ・シャルケのこけら落としゲームだったにもかかわらず、レーバークーゼンと「3-3」の引き分け・・。それは、ミッドフィールドも含めた守備ブロックに(メンバー構成も含め)安定感を欠いているだけではなく、攻撃でも、仕掛けのコンダクターであるメラーの調子がいま一つだったからです。

 ただ前節のザンクト・パウリ戦において、アウェーであるにもかかわらず「0-2」で勝利をおさめたことが、チーム力(ゲーム内容)をステディーなものへと発展させていくための心理的なキッカケになったようです。たしかに相手(ザンクト・パウリ)は最下位のチーム。それでも、守備での集中力を最後まで維持できたことが(完封できたことが)、チームにとっての確信レベルの向上につながったと思うのです。

 彼らの「守備での確信」が向上していることは、ドルトムントとのビッグゲームにおいて、いかんなく証明されます。なんといってもドルトムントの攻撃陣は、コレル、ロシツキー、そしてアモローゾという「悪魔のトライアングル」を擁していますからネ。もちろんそのトライアングルに、両サイドのエヴァニウソン、デーデ、はたまたステーヴィッチ、リッケンなどの才能たちがダイナミックに絡んでくることは言うまでもありません。その破壊力は、いまのブンデスリーガでは間違いなくナンバーワン。だからこそ、シャルケの守備ブロックの気合いも天井知らず・・ってな具合なのです。

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 この試合は、「守備力のぶつかり合い」といった様相を呈します(リーグの記録を塗り替えたドルトムントの守備力については、もう語るまでもありませんよネ)。両チームともに、中盤からの激しいプレッシャーをベースに、クリエイティブでダイナミックな守備を魅せつづけるのです。両チームともに、決定的なチャンスは数えるほど。それを、シャルケは決め、ドルトムントは決めきれなかった・・という展開だったというわけです。

 この試合での唯一のゴールを決めたのは、シャルケ攻撃のコンダクター、メラー。前半17分のことです。

 リーグ開幕当初は、コンディションの悪さを露呈したものですが(その頃の私は、彼はチームのお荷物に成り下がっている・・なんてレポートしたものです)、それがここにきて(まあ、チャンピオンズリーグというレベルを超えたモティベーションもあったのでしょうが・・)、格段に調子を上げたのです。

 ゴールの場面。最前線へのロングボールを、シャルケの突撃隊長、ムペンザが「落とし」、それを拾ったメラーが(ボールがこぼれると確信した瞬間でのダッシュは秀逸!)、抜群のボールコントロールとスピードで、往年のドイツ代表ストッパー、コーラーを見事に抜き去って冷静にシュートを決めたのですが、それは、それは美しいゴールではありました。

 そのゴールで気を良くしたのでしょう。その後もメラーは、シャルケの攻撃を組み立てるだけではなく、(三人に囲まれながらも)決定的なスルーパスを通すなど、攻撃の最終シーンも巧みに操りつづけます。久しぶりに彼の良いプレーを見て安心した湯浅だったのです。これでシャルケも、リーグを盛り上げてくれる・・。

 対するドルトムントですが、この日のシャルケ守備ブロックは、まさに鉄壁。天才ロシツキーも、簡単には仕掛けることができません。またアモローゾも、ハードマークにタジタジ。一人、コレルだけが、抜群のパワーとスピードで気を吐いたくらいでした(彼は、高さだけではなく、足技もハイレベル!)。この試合では、攻守にわたる中盤のジェネレーター、ロイターが、前半16分にケガで退場してしまったことが大きく響きました(後退出場したオリセーの出来もいま一つでしたからネ)。また期待のリッケンも、この試合では完全に「ハズレ!」。

 ロシツキーのドリブル突破シュート、アモローゾの狙いすましたシュートやポストシュートなどはありまし、一点を追う後半の中盤過ぎには「フォートップ」気味の布陣でガンガン攻めつづけましたが、結局は、シャルケ守備ブロックの「堅牢な壁」を破ることができずに・・。

 この試合は、シャルケの、ポジショニングバランスをベースにした「受けわたしマーク」と、その後の忠実&ハードマークが、ドルトムントの「攻撃の才能」を消し去ったという内容だったとすることができそうです。

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 さてブンデスリーガ。6試合を消化した時点で、上位クラブと中位・下位クラブが分離されてきました。「裕福なクラブ」と、限られた経済ソースで運営するクラブの差が現れはじめた・・!?

 そんな「リーグの構図」のなかでは、現在六連勝でトップを走るカイザースラウテルン、またローシュトックと「唯二」の旧東ドイツのクラブ、コットブスの健闘が目立っています。頑張って欲しいものです。

 




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