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さて、バイエルンが「やはり」来ましたヨ・・ブンデスリーガ第10節、バイエルン・ミュンヘン対カイザースラウテルン(4−1)・・(2001年10月22日、月曜日)

ここのところ、色々なプロジェクトが動いていることで十分に時間がとれず、追いかけつづけているレアル・マドリー、中田のパルマや小野のフェイエノールト、はたまたチャンピオンズリーグ等々、フットボールネーションのゲームをしっかりと観ることができずにいます。ということで、「インターナショナル関連」ではレポートも滞り気味。11月に入ったら、少し時間的な余裕もできますので、「内容」に応じて、また詳細な追跡レポートをはじめようと思っていますので・・

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 さて本日は、ドイツブンデスリーガの「頂上対決」、バイエルン・ミュンヘン対カイザースラウテルンを軽くレポートすることにします。

 ご存じのように、今シーズンのブンデスリーガでは、「開幕7連勝」という、ブンデスリーガの新記録を樹立するなど、カイザースラウテルンが走りつづけていました。第8節で、ヴォルフスブルクに「2-0」でうっちゃられて記録が止まったわけですが、先週の第9節では(ホームゲーム)、下位のローシュトックに「3-1」と快勝したことで、まだリーグトップは維持していました。それでも、これからが彼らの正念場だという「現実」が迫っていることも確かなようで・・。

 何といっても、それまでの対戦相手は、すべてが「中位から下位候補クラブ」ばかりでしたからネ(とはいっても、もちろん七連勝はご立派!)。そして「正念場」にはいった最初の対戦相手が、ヨーロッパチャンピオンのバイエルン・ミュンヘンというわけです。それも、バイエルンのホーム。彼らにとっては厳しいゲームになる・・。

 そして案の定、立ち上がりから、完璧にバイエルンにゲームを支配されつづけてしまいます。カイザースラウテルンは、相手のホームということで、守備的なゲーム戦術で臨んでいたわけですが、(守備を厚くしていることで)押し込まれながらも、全体的にはゲームを掌握している・・という(カイザースラウテルンがイメージしていた!?)展開ではなく、守備ブロックが振り回され、何度も決定的スペースを突かれるなど、バイエルンの「仕掛け」にタジタジといった呈なんですヨ。バイエルンのスーパーGK、オリバー・カーンが、まったく画面に出てこない・・。

 バイエルンのプレーは、数日前のチャンピオンズリーグで、スパルターク・モスクワを「5-1」で敗ったときの小気味よさを彷彿させます。スパッ、スバッという鋭い音が聞こえてきそうな、ダイナミックなボールが動き。もちろん、レアル・マドリーの、個人の才能が存分に組織プレーに活かされた「華麗なボールの動き」というわけにはいきませんが、それでも「高質」。まあ、あくまでも「ドイツ的」にロジックなボールの動き・・っちゅうことですかネ。

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 メンバーは、モスクワを撃破したのとほぼ同じ。最前線のピサーロの代わりに、サンタ・クルーズが入っただけです(ここのところ、チャンプリーグも含めてメンバーは固定気味)。最終ラインは、サニョール、クフォー、ロベルト・コバチ、そしてリザラズで構成するフォーバック(ラインコントロールも魅せる!)。中盤は、絶好調のフィンクとハーグリーブスが「中央の底」を務め、右サイドにサリハミジッチ、左サイドにパウロ・セルジオが入ります。そしてトップは、エウベルとサンタ・クルーズのコンビ。いや、強い、強い。

 そしてバイエルンは、圧倒的に支配しつづける展開を、キッチリとゴールに結ぴつけてしまいます。そんなところもバイエルンの「強さ」が見えてきます。いくら押し込んでいても、最終勝負の場面での詰めが甘く(最後の勝負スポットへの突っ込みが甘かったり、そこへのボールの供給が甘かったり・・はたまた勝負所でのドリブル勝負チャレンジに逡巡したり等々)、ゴールを奪えないというゲーム展開は、サッカーでは日常茶飯事ですからネ。

 先制ゴールは、前半16分。ゲットしたのは、サンタ・クルーズ。右サイドからの、サリハミジッチの爆発的なドリブル突破から折り返されたボールを(ダイレクトシュートのこぼれ球を)「確実」に・・、そう「バイエルンの確実さ」でキッチリと押し込みます。また前半の23分には、スローインを受けたエウベルの「素早い」折り返しを、これまた「バイエルンの忠実さ」で、しっかりと決定的スペース(ニアポスト側)へ走り込んでいたサリハミジッチが、キッチリと追加ゴールを決めます。そしてその6分後、今度は、爆発的なカウンター攻撃で、全力で上がり切っていたパウロ・セルジオが、カイザースラウテルンのペナルティーエリアに入ったところで、マークを振り切られた相手ディフェンダーに「後方から引っかけ」られてPK! これまた、「バイエルンの確実さ」で、サリハミジッチが、キッチリと決めるのです。

 この三点で、実質的なゲームの行方が決まってしまって・・。

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 バイエルン・ミュンヘンは、「押し込んでいる状態」で、しっかりと決定的チャンスを作り出せるだけではなく、押し込まれた状態からのカウンターでも抜群の鋭さを魅せます。とにかく、バイエルン選手たちの「イメージ・シンクロ」が素晴らしいレベルにあることを「再び」実感させられた湯浅でした。後半もペースはバイエルン。何度も決定的チャンスを作り出し、結局、互いに一点ずつを奪い合ってタイムアップということになりました。

 それにしても中盤のハーグリーブス。その攻守にわたる実効ある活躍には目を見張らされます。最近では、イングランドのフル代表にも定着しましたしネ(まだ先発ではありませんが・・)。とにかく恐るべき20歳ではあります。

 また、バイエルン中盤の、忠実、クリエイティブ、そしてダイナミックな守備プレーはインプレッシブそのものです。例えば、ボールホルダーへの「戻りながらのチェイシング」。その勢いには、これぞドイツサッカーといった趣があります。パウロ・セルジオが、ハーグリーブスが、はたまたサリハミジッチが、「まさにフルスプリント!」という勢いで、カイザースラウテルンのボールホルダーに爆発的なチェイシングを仕掛けるんですよ。大迫力!! これだけ前線からの「追いかけ」があれば、後方の守備ブロックも(読みも含めて)楽なことこの上ないでしょう。

 攻守にわたるダイナミックプレーを魅せつづけたバイエルンが、最初から最後までカイザースラウテルンを圧倒しつづけ、自らのエネルギーでリーグ首位を奪い取ったというゲームではありました。

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 さて最後になりましたが、この試合での「先発メンバー」について一言。たしかに強いバイエルン。でも、その中の「ドイツ人」は、カーンとフィンクだけ。いくらケガとはいえ、寂しい限りではありませんか・・。

 事情は、他の上位クラブも同じようなもので、ドイツ人は、完全に「マイノリティー」なのです。これでは、「ドイツ代表」が苦しむのも当たり前・・!?

 このことについては、以前に何度か「2002クラブ」で発表した(バックナンバーに収録されています・・第125回から第127回までのコラム)、「経済と文化の動的な均衡・・ヨーロッパサッカー事情から、日本のプロクラブ事情まで」というコラムで書いたのですが、さて、どこまで「経済主導」でフットボールが引っ張られつづけるのか・・。

 このままでは、フランスやポルトガル、オランダ、はたまた南米の、「選手供給国」のコーチたちが「ほくそ笑む」ばかり・・。そして「リーグ・ブランドネーション(イングランド、ドイツ、イタリア、スペイン等)」の代表チームは凋落の一途をたどる・・!? まあ、代表監督も含め、「異人種・異民族がミックスした」イングランドは、ちょっと事情が違いますがネ。

 そんな「サッカーの展開プロセス」にも興味津々で目を向けている湯浅なのです。ではまた・・

 




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