低いモティベーション・・。その「典型的な現象」は、もちろん、攻守にわたる「ボールのないところでの積極性」に見えてきます。それも、ギリギリのタイミングでの「突っ込みシーン」に・・。それに対し「リラックス状態」は、クリエイティブなプレーに、如実に現れてきますよね。たとえば、「単独ドリブル勝負場面」とかね。
対するローマのプレーは、もちろん硬い、硬い・・。百戦錬磨の強者たちにとっても、このような状況は「一世一代の・・」ってなわけです。
やはりサッカーは「本物の心理ゲーム」。こんなギリギリの状況だからこそ、そのことを実感できるんですよ。
・・ってなことを考えていた前半19分。やってくれました。カンデラが・・。トッティーが・・。左サイドで相手のクリアミスを拾ったカンデラが、十二分に「タメ」て、後方から上がってきたトッティーへ、理想的な「ファウンデーション・ラストパス」を通したのです。ドカン!! トッティーの右足が炸裂。ダイレクトシュートがパルマのゴールネットを突き破らんばかりに揺らしました。
この試合ではリザーブに入ったデルベッキオも、ベンチで満面に喜びを表現している・・。まあこんな試合だったら、選手たちが(心理・精神的に!)一体になるのも、当たり前っちゅうことです。普段だったら、「個人事業主」たちの熾烈な競争があるから、ベンチの選手たちとグラウンド上の選手たちとの間には、微妙な「(心理)パワーストラグル」があるんですよ。
それをうまくマネージするのも監督の仕事。そうです。先週の、モンテッラとカペッロ監督の「ベンチでの対立劇」も、一つのチーム内に常に存在する「心理シアター」の一環ということです。そして、そんな「緊張関係」が、チームのパフォーマンスを極限までアップさせるおおきなファクターの一つになる・・(もちろん監督のうまい心理マネージメントをベースにしてネ・・)。
先週の、ナポリ戦で、ナポリ出身のモンテッラが出場できないことに不満で、また交代出場のやり方にも不満で、カペッロ監督に対して「この野郎!」なんてベンチで叫んだそうですが、そんなことも、プロの強者たちが繰り広げる「日常茶飯事」というわけです。もちろんカペッロ監督は、そんな「態度」にも、余裕をもって、モンテッラの「謝罪」を受け容れたとのこと(そしてこの試合では、そのモンテッラが先発ですからネ・・一度、監督に対してそんな態度をとった選手は、極限まで頑張るでしょうから・・)。
いや、興味深いですよネ。私も、(コーチとして)そんな「現場での心理ストラグル」は、数限りなく経験し、うまく収めたり、逆に失敗したりしました。またドイツや、その他のヨーロッパクラブでも(友人が監督・コーチをやっているチームで)、そんな「心理ストラグル」のシーンを目の当たりに体感しました。だから、そこで、どのような「心理パワー」がうごめいているのか、本当によく分かりますよ。アハハ・・
さて先制ゴール・・。もうこうなったらローマのものですネ。その後、バティーが決定的なヘディングシュートを放つ・・、バティーからのラストパス(例の、決定的スペースを横切るトラバースパス!)を、ギリギリのところでモンテッラが触れない・・、はたまた決定的な中距離シュートが、ギリギリのところでゴールを外れていく・・などなど、ローマが何度も決定的チャンスを作り出します。
もちろんそれは、パルマが最後の「心理エッジ(=集中力を極限まで高める心理的なファクター)」を失ってしまったからに他なりません。それは、特に守備に現れてきます。ボールのないところでの守備に「ギリギリの読み」をベースにした仕掛けがない・・、一度ボール絡みのプレーでハズされたら、もう追いかけない・・等々。
そして前半30分、決定的な二点目が入ります。決めたのはモンテッラ。タテに抜け出したバティーがドリブルシュート! そして、パルマGK、ブッフォンが弾いたところを、モンテッラが「ゴッツァン・ゴール!」ってなわけです。
もうこれで試合は決まったわけですが、中田ヒデがグラウンド上に登場したあと、後半の残り5分というタイミングで、ファンがグラウンド上へなだれ込み、試合が中断してしまいます。「没収試合になってしまう!?」。そんな危惧をいだくローマ関係者、警備の人々が必死に彼らをスタンドへ追いやろうとはしますが・・。もちろん、カペッロ監督も、顔を真っ赤にして怒り心頭です。ここまできて、もしゲームを没収されてしまったら・・
でも最後は、無事にゲームは成立したようで・・(まあドイツや日本じゃ考えられない・・ローマの主催者責任によって中立の都市での再試合・・とはいってもローマは、少なくとも罰金は課せられるでしょうがネ)。
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でも本当に良かった。中田英寿選手にとっても、日本サッカーにとっても(もちろん、異文化接点の『確固たる窓』を手に入れたという意味では日本社会全体にとっても!)・・
前回も書いたのですが、私は、奥寺康彦がケルンに所属していたとき、そのリーグ優勝の喜びを共にした思い出があります。
忘れもしない、1978年5月、ドイツ、ハンブルクのフォルクスパーク・シュタディオン。相手は、ザンクト・パウリ。この試合、ケルンは「勝たなければ」ならなかったわけですが(ライバルのメンヘングラッドバッハが、その前節、ドルトムント相手に、スキャンダラスな大量ゴールを入れたために、ケルンは勝つしかなかった!)、オクのゴールも含め、たしか「4-0」くらいで勝利してリーグ優勝を決めたのです。そこに至るプロセスが簡単なものではなかったから、それは、それは感動的な瞬間でしたよ。
グラウンド上で、オクとも喜びを分かち合ったし、機嫌がいいヴァイスヴァイラー監督とも、色々なハナシをしましたしネ。
これで、世界のリーグブランドネーションでのリーグ優勝を「グラウンド上」で味わった二人目の日本人選手が生まれました。素晴らしいことじゃありませんか。もちろん、その「事実」の受け止め方は、見ている方々によって千差万別ですから、素晴らしい・・というのは湯浅の「個人的な実感」なんですがネ・・。オクの場合は、その後も「長い期間」、行く先々のチームで主力をを張るなど、確固たる自信をベースに活躍しつづけましたし、日本サッカーにとっても「大いなる価値」になりました。もちろん、ヒデの場合はもっと・・
中田英寿選手に対し、心からオメデトウと言いたい湯浅でした。
これから数時間後の月曜日の朝は、アルゼンチンで開幕した「ワールドユース」の第一報。ブラジル対ドイツの試合をレポートする予定です。では・・