試合は、前半の最初のころは、たてつづけにアントラーズが決定的チャンスを作り出します。最初は3分の柳沢のフリーシュート。7分の、小笠原と柳沢のコンビから、最後は柳沢が決定的なセンタリングを上げたシーン。直後の、セットプレーからの中田浩二のフリーヘディングシュート。15分には、左サイドでの鈴木と小笠原のコンビネーションから、最後は、小笠原が、逆サイドでタテにフリーランニングにした柳沢へ・・フリーシュートがバーを越えてしまう・・。どうしてゴールが決まらないのか・・そんなことを思ったものです。
逆にサンフレッチェの立ち上がりは、両サイドの藤本と高橋、中央の久保が絡んだスピーディーな攻めを繰り出しますが、いかんせん「変化」が乏しいことで、アントラーズ守備ブロックの「ウラ」を突くことができません。忠実でアクティブな中盤からの守備をベースに、積極的に押し上げてはくるのですが、最後のところで、どうしてもアントラーズ守備陣を崩しきるところまでいけないのです。サンフレッチェの攻めで、アッと思うようなシーンは、本当に数えるほどでした。
また、久保の調子が心配で・・。たしかに良く動きはするのですが、たまにフリーでボールをもっても、自分から突っかけていくような積極リスクチャレンジが見られず、単にボールを「落として」次に走るだけ・・、それも、決定的スペースへではなく、次の「二列目スペース」へです。これでは・・
でも先制ゴールは、サンフレッチェ。前半16分のことです。フリーキックからの上村のヘディングが、うまいタイミングでフリーになっていた、トゥーリオへ・・。
そこから、俄然ゲームが活発に動き出します。19分には、またまた柳沢がフリーシュートまでいきます(下田が押さえる!)。逆にサンフレッチェは、35分に、左から上村が持ち込み、最後は高橋がフリーシュート。直後には藤本が見事なオーバーヘッドシュートを放ちます。また38分には、カウンターから、高橋からの(だと思ったのですが)センタリングを、ここぞ!のタイミングで「スッと前へ」動いた久保が、フリーのヘディングシュートを放ちます(羽田のマークが一瞬遅れた)。
ゴールをはさみ、その前はアントラーズのチャンスメイクが目立ち、その後は、(やっと守備ブロックが落ち着いてきた)サンフレッチェの「サイドから」の積極的な攻撃が目立ちに目立ったという前半でした。
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後半は、サンフレッチェ攻撃の鋭さが減退していきます。まあ、トニーニョ・セレーゾ監督がいうように、アントラーズの守備ブロックが、「どこでボールを奪うのか・・」という明確なイメージを持てたということもあるでしょうし、サンフレッチェの攻撃が、ちょっとステレオタイプになってしまった(同じような展開の繰り返し)ということもあるんでしょう。
それでも、アントラーズの攻めにも本来の鋭さが感じられなかったことも事実です。冒頭に書いたとおり、攻撃の「変化」が見られなくて・・。アントラーズの攻撃で特徴的なのは、前後左右の「ポジションチェンジ」をベースにした素早く広いボールの動き(ダイナミックな組織プレー)からの、タイミングの良い(イメージが完璧にシンクロした!)ウラへの走り込みと、そこへのタイミングの良いスルーパス(そこからの直接シュートや、決定的なセンタリング!)。それが見られない・・
それでも、逆転ゴールを挙げたのは大したものではあるんですが・・。
あっ、そうそう。小笠原のスーパーパフォーマンスには触れておかなければ・・。その逆転ゴールは、彼自身が、「これぞ才能!」という素晴らしいロビングシュートで決めたのですが、そんな派手にところだけではなく、攻守にわたる「泥臭い」活躍から、中盤でのクリエイティブな組み立てプレーまで、彼のパフォーマンスの高さに、順調に伸びているな・・と、一安心の湯浅だったのです。
もう一人・・。前半の続けざまのチャンスをことごとく外し、どんどんとプレーがパッシブ(消極的)になっていった柳沢に代わって登場した本山。サンフレッチェの中盤での激しいチェックのために、得意の、二列目からのドリブル突破シーンはほとんどありませんでしたが、その代わりに、「ドリブルするぞ!」という態度から繰り出されたスルーパスが秀逸でした。一本は、中へ切れ込むことで相手を引きつけ、右サイドの名良橋へ出したスルーパス。もう一本は、これまた中盤でのタメから放たれた、鈴木への決定的なスルーパス(鈴木の走り出しタイミングも特筆!)。特に鈴木へのスルーパスは、美しいシーンでした。鈴木が、トゥーリオのプレッシャーを巧みに「押さえ」ながら、ベストのシュートポジションまで「タメ」て素晴らしいシュートを放ったのです(ギリギリでゴール左へ外れていく・・)。それは、それは美しい攻撃ではありました。
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ちなみに、両チームのシュート数ですが、前半は、アントラーズの「8本」に対し、サンフレッチェも「8本」。でも後半は、前半と同じシュート数を放ったアントラーズに対し、サンフレッチェは「3本」のシュートしか打てませんでした。そんなこともあって、タイトルに「最後は実力の差・・」としたわけです。
ちょっとまとまりがなかったのですが、本日はこんなところで・・