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柳沢のこと、創造的チャンスメーカー不在、気候条件のこと等、ランダムにテーマをピックアップしました・・日本vsオーストラリア(3-0)・・(2001年8月15日、水曜日)

いま、静岡スタジアム・エコパから東京へもどり、「スポナビ」の原稿を上げたところです。え〜〜と、いまは午前5時ですかネ。

 本当は、試合後に、そのまま原稿を仕上げるつもりだったのですが、ちょっと落ち着かなくて・・、また「明確なテーマ」も見つけにくく、「これはもう、オートバイで走りながら考えるしかないか・・」と、愛車に飛び乗り、そのまま東名高速をひた走ったというわけです。所要時間は、約二時間。ちょっと交通量が多く、快適ライディング・・というわけにはいきませんでしたがネ・・

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 スポナビでのテーマは、「日本の蒸し暑さのなかで、極端にダイナミズムを失っていったオーストラリア」、そして「攻撃の最終段階における才能の欠如」というものでした。

 最初のテーマに関しては、もう本当に「厳しい自然環境」だったとしか言いようがありません。何せ、記者席で座っているだけで、全身が、ジト〜っと汗ばんでくるんですからネ。これでは、真冬や涼しいヨーロッパからきたオーストラリア選手たちには過酷すぎた・・

 それでもオーストラリアは、最初の15分くらいは、ダイナミックな攻め上がりを魅せます。例によっての「大幅にイメチェン」した「つなぐサッカー」をベースにして・・。主力の多くを欠いてもなお、かなりハイレベルなサッカーを魅せるオーストラリアの底力を感じたモノです。

 それには、日本の守備ブロックが不安定だったことも要因として挙げなければなりません。フラットラインが、チョット下がり過ぎていただけではなく、ラインコントロール、ブレイクポイントも、確実に統制がとれているわけではないと感じたのです。「あぶないナ〜〜」。そんなことを思っていた矢先の前半6分。オーストラリアの左サイドバックが、最前線の決定的スペースへタテパスを出します。

 この瞬間、森岡と中田浩二の「間」を割って入ったズドリリッチが、そのまま、まったくフリーで抜け出してパスを受けてしまったのです。シュートが弱かったから命拾い。またその数分後の前半10分には、左サイドから、スムーズに逆の右サイドへボールを展開され、そこからダイレクトで、「ファーポスト・スペース」へ上げられたセンタリングを「フリー」でヘディングされてしまいます。この二本ともに、世界の一流ならば、確実にゴールにつなげてしまうくらいの決定的ピンチ。一つは、ラインを完全に破られ・・、もう一つは、振り回されたラインの「逆サイドスペース」を突かれ・・。

 フィリップの怒ること。ここで彼は、「刺激」として、宮本にウォームアップを命じます。そして、そんな「刺激」もあって(!?)守備ラインに「積極的にプレーすることでの落ち着き」がもどってきます。もちろんそこには、オーストラリアの疲れがあったことは明白な事実。そして、安定しはじめた守備ブロックをベースに、素早く、広いボールの動きなど、日本の攻撃にも鋭さが戻ってきます。とはいっても、「攻撃の才能」が欠けていることで、どうしても相手守備の「ウラ」や「薄い部分」を突いていくことがままなりません。これについては「スポナビ」で書きましたので・・

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 それでも、「最初」のウラ突きプレーが、見事に先制ゴールへつながった日本代表は、本当にツイている!? それは前半18分のこと。右サイドで「タメ」た松田が、絶妙のタイミングで決定的スペースへ飛び出した森島へ、これまた絶妙のタイミングとコースのタテパスを通したのです。

 ここで森島は、追いついてきたレイバットを、チョン!と、左足でボールを浮かせるようにして置き去りにしてしまいます(入れちがったといった方が正確な表現かも・・)。いや、素晴らしいボールタッチでした(一度ビデオでご確認を!)。そして、ボールをコントロールしたとき、オーストラリアゴール前では「もう一つの絶妙プレー」が展開されます。今度は「ボールのないところでのプレー」。

 ニアスペースへ詰めていた柳沢が、服部が後方からなだれ込んでくるのを見た(感じた)瞬間、スッと方向転換し、逆の「ファーサイドスペース」へ走ったのです。そしてそこへ、森島が、測ったようなラストパスを送り込んだという次第。いや、素晴らしく美しいゴールではありました。

 この試合での柳沢ですが、それまでの絶好調を維持しています。いや、自身の絶好調を、『自分主体で』具体的なカタチ(結果)まで(それも連続して!)結びつけているという意味で、一皮も、二皮もむけたといえるのかもしれません。

 スポナビで書いた「創造的なチャンスメーカー不在・・」というポイントですが、縦横無尽に走り回り、常に攻撃の起点になろうとするだけではなく、最終的な仕掛けでは「フィニッシャー」にもなるという鬼神の活躍を魅せた柳沢のことを考慮したら、このテーマは、正しくなかったのかもしれない・・などと、ちょっと反省している湯浅です。

 そんな柳沢は、前半37分には、絶妙の「爆発スタート」で、服部からのラストスルーパスを「呼び込み」(シュートは、わずかにサイドネットへ!)、直後には、相手のミスパスに乗じたカウンターの状況で(左に服部がフリーで押し上げていたにもかかわらず!)、そのままドリブルシュートにチャレンジします(相手バックに当たってゴール外へ!)。また後半7分の、服部の「右足ゴール」では、フィーリングあふれるポスト役をこなし、その11分後には、右サイドの松田からの(柳沢の足許めがけた)正確な「ロングフィード」をベースに、「トン・ト〜〜ン」という鈴木とのコンビプレーから、まったくフリーで「決定的スペース」で抜け出してしまいます(相手に引っかけられてPK!)。

 要は、全ての、相手守備ブロックの「ウラ取りプレー」の主役が柳沢だったというわけです。これを「鬼神の活躍」といわずして・・ってなことを思っていました。

 それでも、本当の意味でのチャンスメーカーは、「やっぱり」いなかったようです(柳沢はストライカーですからネ)。何といっても、二人の守備的ハーフにしても、森島にしても、はたまた両サイドバックにしても、ボールを持った状態での「本物のリスクチャレンジ」は、ほとんど見られなかったわけですからネ。そしてボールの動きが、ミエミエになってしまう・・。フム・・

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 最後になりましたが、やはりまだ、前半6分にスドリリッチに抜け出られた「ライン崩れ」が気にかかります。あの場面では、森岡も、「後方の」中田浩二も、ズドリリッチに対するマークを意識していたはずなんですがネ・・

 でもそれ以降は、通常のラインコントロール、最終勝負のラインコントロール、また「ブレイクポイント」も、本当にうまく機能していました。まあ、オーストラリアの疲労もピークに達していましたから・・(「彼らがバテていることは明確に感じられましたから、チャンスの押し上げにも勢いがついてしまいましたヨ」・・試合後の服部のコメント)。とにかく、オーストラリアの中盤でのボールの動きがあまりにも単純だから、日本の最終ラインも「正確」にタテパスのタイミングを予測できていたというわけです。

 それにしても、最終フラットラインは、正確に、そして安定して機能するようになっています(もちろんこの試合での最初の15分間はいただけませんでしたが・・)。もちろん相手が世界のトップとなったら「より柔軟」に対処しなければならないでしょうがネ。このことについては、次週のサッカーマガジン1/4コラムで取り上げましょうかネ・・

 では、ちょっと寝ま〜〜す。

 




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