モンテディオ山形の監督、柱谷幸一監督が、そう言っていたらしいのですが、ナルホド、モンテディオは、まさに「その言葉どおり」のサッカーを展開してくれました。とにかく見ていて楽しいこと、爽快なこと。それも、彼らの、攻守にわたる「積極的なプレー意図(志向する方向性)」が、見ている方にビンビンと伝わってくるからに他なりません。
システムは、シンプルな「4-4-2」。しっかりと押し上げる最終ラインは「フラット」を基調にしています。そして、中盤でのダイナミックディフェンス。フム、素晴らしい。
吹っ切れたダイナミックサッカー・・ってな表現がふさわしいのかな・・。中盤でのアクティブ守備から、高い位置でボールを奪い返し、そのまま少ないタッチ、短い時間で相手ゴールまで迫ってしまう・・。もちろんボールのないところでは、「ココゾ!」の爆発フリーランニングのオンパレード。とにかく「連動したチェイシング」、次のパスを狙った「二人目、三人目の守備の動き(意図)」が素晴らしい。これだったら、彼らの「中盤での協力プレス守備」がうまく機能するのも道理。前半も後半も、立ち上がりのレッズは、まさにタジタジといったところでした。
何といっても素晴らしいのは、山形選手たち一人ひとりの「意識の高さ」。もちろんそれは、守備から、その次の攻撃、そしてそのまた次のアクティブ守備へと「連続」しつづける「流れのなかでの意識チェンジ」のことです。
彼らは「J2」ですから、プロ選手としてハングリーなんでしょう。そんな彼らに、目指すべきサッカーの方向性を示し、それについてチーム全員の「意志」を限りなく深く「統一」する。それは、優れた「監督のお仕事」の明確な証明なのです。
とにかくこの試合でも、彼らのアクティブサッカーはとどまることを知りませんでした。後半22分に訪れた、大きな「ゲームの転換点」までは・・
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さてレッズ。数日前のリーグ戦でレポートしたとおり、この試合でも、「小野」のアクティブなプレー姿勢は維持されていました(発展する気配さえあった・・!?)。まずそのことに安心した湯浅だったのですが、それでもレッズの攻めには、相変わらず「トップの三人」だけ・・ということに進展が見られなくて・・。この試合での「三人」は、アドリアーノが出場停止というこことで、小野、福田、そして「スーパー」トゥット。
たしかに、たまには右サイドの山田、左サイドの内舘、また阿部やドニゼッチが絡んではきますが、それも「及び腰」。だから、レッズの攻めに「本当の意味での厚み」が出てきません。これでは、うまく「ブレイクポイント」をコントロールするモンテディオの「フラット・フォー」にとって「ノー・プロブレム」だったに違いない・・!? とにかく、「勝負所に対するレッズの意図」が、ワンプレー、ツープレー「前」から見えてしまうんですからネ。これでは、モンテディオのフラットフォーが、タイミング良く「ブレイク」して確実なマンマークへ移行できるはずです。
たしかに前半の中盤以降はレッズも盛り返してゲームを支配しはじめました。そして、小野からのスルーパスに、抜け出した福田がフリーシュートを放つなど(モンテディオGKのスーパーセーブ!!)、シュートもモンテディオの三倍の「7本」も打ちました。それでも、本当にゴールになりそうなシーンといったらそれくらいで・・
対する前半のモンテディオは、「2本」しかシュートは打ちませんでしたが、それは本当に「決定的なチャンス」でした。まず前半13分の、マークする井原を外しての大島のフリーシュート(これは完全に井原のミス・・うまく大島に身体を入れられて回り込まれてしまった)。そして前半ロスタイムにおける、これまた大島の絶対的なシュートチャンス。
このシーンでは、ワンツーで抜け出した大島をマークしなければならなかった山田が「ボールウォッチャー」になってしまっていたことを指摘しなければ・・。あんな決定的な勝負所において、「大島へのリターンパス」を明確にイメージできていなかった山田。こんなところも、「能力」だけは申し分のない彼が、日本代表に選ばれないことの「コアの理由」の一つなんでしょう。
守備も「イメージ」なんですよ。それは、ロジックに考える「読み」と呼ばれるモノとはちょっと違います。コトが起きる寸前に、何となく「カタチ」が見えるっていうか、「ピンチの匂い」をかぎ分ける「イメージ力」というか・・。それがなければ、結局は、ディフェンダーとして大成できないものなのです。能力の高い山田。そんなところを強烈に意識してプレーすれば、確実に一皮むけ、攻撃の強烈なアクセントという側面も併せ持つ「日本を代表するディフェンダー」になれるのに・・
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試合は後半に入り、膠着状態のまま「1-0」で推移します。「雰囲気」からすれば、このままモンテディオが二回戦へ・・ってな展開です。そんなことを感じていた後半22分。レッズのチッタ監督が、素晴らしい「采配」を魅せます(同時に二人の交代!)。トップの福田に代えて永井雄一郎を入れ、左サイドの内舘に代えて、18歳のニューフェース、田中達也を投入したのです。そしてこの選手交代が、(レッズにとって)試合の流れを大きく、大きく「好転」させます。
特に田中。以前にも、彼の「吹っ切れたリスクチャレンジプレー」に、強烈な印象を植え付けられたことがあります。そう、プレシーズンマッチ、LAギャラクシー戦のことです。その試合も、彼が出てくるまでは、本当にカッタるいゲーム内容だったのが、(その試合では、本当にひどいプレーをつづけていた)アドリアーノに代わって田中が登場した瞬間から、レッズの攻撃に、レベルを超えた活力がわき出してきたのです。当の田中は、決勝ゴールまでお膳立てしてしまって・・
この試合でも彼は、レッズのサッカーを、格段にアクティベートしました。左サイドからの、抜群にスピーディーなドリブル突破、ボールのないところでの爆発フリーランニングなど。それによってチームメイトが強烈な刺激を受け、覚醒されられたことだけは確かなことです。もちろん永井雄一郎の積極的なプレーも、良い刺激にはなっていましたがネ・・
そしてレッズが、全体的な試合の流れからすれば、本当に起死回生とまでいえる「大逆転劇」を完成させてしまったのです(決勝ゴールのPKも、田中が勝ち取ったもの!)。
田中こそ、本当の意味での「スーパーサブ」と呼べる存在だと思う湯浅です。何といっても、彼の試合途中からの登場が、「チームの雰囲気」をガラリと変わってしまうくらいの「素晴らしい刺激パワー」を秘めていることは疑いのない事実ですからネ。
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最後に、二回戦に進出したレッズについてショートコメントを・・
最終ラインの「本当の意味での安定」には、まだまだ時間がかかりそうですが(何度も、決定的スペースを攻略されていた・・最後の勝負所でのマンマークに対する意識がいい加減!!)、「前気味のストッパー」である石井もうまく機能してきていますし、まあ全体的なベクトルは、ポジティブな方向へ向いているといったところです。
ただ攻撃の「厚み」については、まだまだ課題があります。まあこれも、ドニゼッチ、阿部の「チームの全体機能的なコンビネーション」がソリッドになれば解決するとは思いますがネ(それによって両サイドの押し上げも、より確信をもったものになる!?)。
ということで本日は、ここいらあたりで・・