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こんなブラジル代表では・・東京ヴェルディー1969vsブラジル代表(0-2)・・(2001年5月26日、土曜日)


フ〜〜〜〜ッ

 この試合、私は心から期待していました。大きな大会に臨むときの最終仕上げゲームとして、ブラジルが、攻守にわたって全力で仕掛けてくる・・、またヴェルディーも「手負い」だから、本来のチカラを出し切る・・、そしてエキサイティングマッチになる・・とばかり思っていたんですよ。ブラジル代表は「二軍」ですからネ。ハングリーな連中だからこそ、シャカリキに頑張るに違いないと確信していたというわけです。

 でも、ゲームを見ながら、冒頭のため息が何度も出てしまって・・

 大会に臨む「総仕上げマッチ」は、チーム戦術的な部分、また心理・精神的な部分を確固たるものにするという重要な意味を持ちます。自分たちが思い描く理想のサッカーをグラウンド上で体現し、良いイメージ、雰囲気で勝負へ向かっていくという・・。だから、総仕上げマッチは、少し「格下」のチームとやるんですよ。

 もうかなり前のことになりますが、ワールドカップに臨むドイツチームが、合宿の最後のタイミングで三部リーグのチームと対戦したゲームを見たことがあります。それは素晴らしいサッカーで、全員が、本当に「気持ちよさそうに」プレーしていたことを思い出します。「自分主体」の、ものすごい運動量・・。美しく、強いサッカーとはナンゾやということを「自ら確かめる」かのごとく・・。その試合は、確か「10-0」くらいだったと思います。

 私は、この試合のブラジルに、同じような姿勢を期待していたのです。でも出てきたプレーは、攻守にわたり、まさに中途半端。これでは、まったく何も得るものはないし、チームの雰囲気だって悪化しちゃうじゃありませんか。

 また彼らには、「二軍」から脱却するためのアピール機会だという意識も希薄だったように感じます。ということは、レオン監督の心理・精神的なマネージメントが明確ではなかったということを如実に示している・・!?

 たしかにグラウンド状態はヒドイものです。ここのところ、調布のスタジアムでは大きなイベントが重なっていましたからネ(まあ、芝のグラウンドに対するそのような負担は、フットボールネーションでは、全く考えられないことではあるんですが・・)。イレギュラーしないグラウンダーのパスの方が希なんですから・・。それでも、選手たちの意志次第で、「目指す目標イメージをベースにしたプレー姿勢」だけは明確に感じられるものです。それが・・

 守備も弱い・・。一対一はそこそこなんですが、(単純なタテパスを出されるという状況を除いた、ヴェルディーの組織的な攻めに対して)「読み」をベースにした先回りポジショニングなんて、まったく見られませんでしたしネ。何度か、単純なワンツーで、複数のディフェンダーたちが簡単に置き去りにされてしまうシーンを目撃しちゃったりして・・

 また攻撃でも、とにかくボールのないところの選手たちの動きが鈍すぎる。これでは、ボールの動きを活性化できるはずがありません。一人がボールを持つ・・。それでアクションを起こす選手は、一人がせいぜい。他の選手たちは、足を止めて様子見なんです。それも、「意図的なタメ」なんていう高尚なものじゃなく、とにかく何も考えていないことがアリアリといった体たらく。もちろん「ボール絡み」では、ブラジル的なテイストを感じる瞬間はありますが、それも「単発アクション」以外の何ものでもない・・

 とにかく、「あの」ブラジルが、簡単に「次の勝負所」を読まれてパスカットされてしまうんですからネ。あんな「単発のパスコンビネーション」じゃ、それも当たり前ではありますが・・。また「単独ドリブル勝負」にしても、ヴェルディー守備ブロックを切り裂くようなハイレベルなシーンを演出することができません。たしかに二つのゴールは挙げました。またそれ以外でも、何度か100パーセントチャンスを作り出しました。それでもネ・・

 逆にヴェルディーは、生き生きとプレーしていましたヨ。もちろん全体的としては、ブラジルに支配されてはいます。それでもたまには、チャレンジャーとして、ビビることなく(本当に彼らは、自信をもってプレーしていました)、リスキープレーに挑んでいくんですよ。確実なチャンスも、二度、三度と作り出しましたしね。

 それと、林と米山のセンターバックコンビが冴えていました(ブラジル先制ゴールのシーンでは、ヴェルディーが攻め上がる状況だったこともあり、米山のカバーリングスタートが遅れてしまいましたが・・)。林にしても、(相手がブラジルだということで!?)いつもの「サボリ」のマーキングポジションではなく、忠実に「基本マークポジション」に入ろうとしていましたしネ。そして林と米山が、互いに、クリエイティブにカバーし合う。まあ、(特に最終ラインのセンターは)うまく機能していたと感じた湯浅でした。もちろんそれには、中盤での山田、北沢、石塚によるディフェンスが、ある程度うまく機能していたことを忘れてはならないわけですが・・

 この試合が、調子最悪のヴェルディーにとって、自信回復の良薬となることを願ってやまない湯浅なのです。

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 ところで後半38分、ブラジル二点目のシーンですが、これはちょっと書いておかなければ・・

 まず右から、ブラジルの選手が鋭いセンタリングを上げます。でもそれをヴェルディーのディフェンダーが、途中でヘディングしてしまいます。ただそのボールが、「山なり」に、ヴェルディーのゴールエリアへ飛んでいってしまったのです。もちろん、GKの菊池の「マイボール」。ところが、そのフワフワと上がったボールに鋭く反応したブラジル選手がいました。ジュリオ・バチスタ。後方から、十分な助走をつけ、思い切りジャ〜〜ンプ! そして彼のアタマが、菊池の「手」よりも上にいってしまったのです。ヘディングされたボールが、ヴェルディーゴールへ・・

 そうそう・・。以前、そんな「勝負シーン」を意図的に演出したチームがありました。ジャンプ力があり、ヘディングの強いセンターフォワードがいるチーム。意図的に、相手ゴールエリアめがけ、本当に「真上」から落ちてくるような「山なり」のボールを上げるんですよ。そうすれば、GKはほとんど助走できませんからネ。そこへ、十分な助走をつけた「例」のセンターフォワードが突っ込んでいく・・。彼のアタマが、GKの手よりも「上」にいくのは当たり前ってな意図でした。

 以前は、ゴールエリア内でジャンプしたGKに接触したらファールでしたから、本当にうまくやらなければゴールに結びつけることは至難の業だったんですが、ルールが変更になったことで(イーブンの状況ならば、GKとの空中でのフェアな身体の接触はオーケー)、そんな「勝負アイデア」が、また目立ってくることもあるのかな・・なんて思っていました。

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 とにかく、この試合を見る限り、今回のコンフェデレーションズカップでのブラジルには期待薄・・。何といっても、守備が不安定なだけではなく、攻撃でも、明確な「イメージ」に支えられた、二人目、三人目のボールがないところでの動きが緩慢そのものですからネ。また「単独ドリブル勝負」にしても、迫力に欠けていて・・。これでは、彼ら本来の「攻撃の変化」を演出できはずがない・・。とはいっても、「実戦」となれば、キッチリとパフォーマンスを上げてくるのかもしれませんが・・

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 ところで今回のコンフェデレーションズカップですが、日本サッカー協会に対して申請した私個人の「フリーランス取材申請」が却下されてしまいました。「FIFAの指導が厳しく・・」というのが理由。聞くところによると、FIFAへ申請した取材人数を半分に削られてしまったということなんですが・・

 残念ではありますが、テレビ観戦をベースに、最善を尽くしてレポートを上げようと思っています。とはいっても、私が見たいポイントは、ほとんどが「ボールのないところのドラマ」ですから、どこまで納得いくコラムを書けるか・・。まあ、全体的なゲームの流れについては把握できるでしょうし、「詳細ポイント(五秒間のドラマ)」の分析も同時にできますから・・

 とにかく、ご期待アレ・・




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