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今シーズンは「ソリッド」に強いぞ、エスパルス・・ゼロックススーパーサッカー・・清水エスパルス対鹿島アントラーズ(3-0)・・(2001年3月3日、土曜日))

いま、「スポーツ・ナビ」の原稿を仕上げたところです。ちょっと疲れ気味ですが、頑張って・・

 スポーツナビの原稿では、「やっと」攻撃のコアになる選手を獲得したエスパルスにスポットライトを当てました。もちろん、バロンのことです。

 いや、素晴らしい。エスパルスの守備が安定していることは衆目の一致するところですが、どうも攻撃が・・。そんな課題が、バロンという「核」を得たことで、スムーズに解決されるかもしれない・・と思ったものです。それについては、「スポーツ・ナビ」を参照してください。

 とはいっても、バロンは、この試合であまりにも目立ちすぎていたから、リーグでは確実に標的にされます。だから、これからも紆余曲折があるに違いありません。それでも、この試合で彼が魅せた「変幻自在の動きとプレーの種類」を見ていたら、そんなハードマークなんて関係ない・・なんて思えてきます。彼には、安永(横山 or 久保山 or 平松?)、アレックス、市川、澤登など、「バックアップ」では定評のある強いサポートが付いていますからネ。彼らに欠けていたのは「明確なフィニッシャー」であり、今「それ」を得た彼らは、よりクリアに、自分たちが為すべきプレーをイメージできるようになるに違いないと思うんですよ。

 あっ、そうそう。もちろん「オリバ」のことも忘れるわけにはいきません。「体調がまだ万全ではない・・」という情報は入っているのですが、もし彼が「以前のフォーム」を取り戻したら、もうエスパルスは、完全な優勝候補です。

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 さてアントラーズ。「スポナビ」では、ほとんど触れませんでしたが、やはりというか、守備ブロック主力選手の「三枚落ち」は痛い。ファビアーノ、熊谷、そして相馬。

 この試合では、その影響が如実に出てしまいました。ある程度のマークの受けわたしはチーム内の決まり事でしょうから仕方ないにしても、選手たち同士の、「どこでタイトマークへ・・?」という相互理解が欠けてしまって・・。だから、「あの」ヘディング抜群のバロンへのマークに、中村や、名良橋が入ってしまったりするんですよ。それも、一度や二度ではなく・・

 この試合でのアントラーズの守備は、もうバラバラ(ちょっと言い過ぎかもしれませんがネ・・)。アントラーズの試合で、あれほどの頻度で、相手の二列目プレイヤーたちがフリーでボールを持つシーンや、決定的スペースを突かれてしまうシーンを見たのは久しぶりなんですよ。この試合が「お祭りマッチ」だから・・ということもあったりして・・!? それにしてもネ・・

 まあ、リーグになれば、ファビアーノ、熊谷が復帰してくるでしょうから、しっかりと立て直せるとは思うのですが、それにしてもこの試合では、彼らの「選手層の薄さ」を実感させられてしまって。たしかに本山はいますし、金古、中村祥朗、青木、はたまた羽田などの若手有望株も揃えています。それでも、特にルーキーたちにとって「実戦」となると・・

 金古は優秀なディフェンダーです。それでもこの試合では、ほんのちょっとの集中切れが、すぐに決定的ピンチにつながることを、冷や汗とともに体感させられたに違いありません(特に二点目のPKのシーンなど)。それをジャンプ台に・・と、願わずにはいられないのですが、いかんせん「経験(勝負の体感)の場」が・・

 私が言いたいことは、昨年のトリプルチャンピオンチームが、攻守両面にわたる「プレー発想」において、本当にまとまっていたということなんです。「あうん」の呼吸っていうことなんですが、例えば守備では、中田浩二や熊谷が前線へ絡んでいったら、小笠原かビスマルクが下がって(上がり過ぎないで!)次の守備のバックアップに入っている・・、ボールホルダーへのチェックが決まった瞬間に、周りのディフェンス体勢がすぐに整う(ブレイク後の忠実でハードなマンマークなど)・・なんていう、ゲームの全体像に関するイメージ的な「シンクロレベル」が非常に高いんですよ。だからチームとして強かったのです。

 それが、このゲームでは、もうバラバラ。ボールホルダーへチェックに行く者、バックアップする者、協力プレスをかけに行く者、こぼれ球に(つまり次の素早い攻撃に)狙いを定める者などなどの守備プレーが、多くのケースで中途半端になってしまっていたんです。要は、誰が、どこで、どのタイミングで、どのように・・という、守備プレーに関するチーム内での理解が感じられなかったということです。だから、力強い攻撃も展開できない・・。

 それはそうですよね。両サイドバックが、アレックスと市川が怖いから上がれない・・、またボランチにしても、守備が中途半端だから怖くて上がれない・・、そんな状況では、小笠原やビスマルク、はたまた柳沢や鈴木が孤立するのも道理ということです。やはり守備のの出来がサッカーの基本だということです。

 選手一人ひとりの能力のことを話題にしているのではありません。チームとしての「まとまり」のことなんです。攻守での一つのプレーユニットに対する「選手一人ひとりの発想」が限りなくシンクロ(同期)する・・という・・

 ということで、何人かサブのメンバーが入った今回のゲームで、ある程度の「まとまり」を感じられなかったことに対し不安を覚えた湯浅でした。「ストロングハンド(もちろんジーコのことですヨ!)」を中心に、伝統としての「アントラーズサッカー」が根付いている(全員が確固たる共通イメージをもってプレーできる!)に違いないと思っていたからこそ、ちょっと驚いたというわけです。

 それでも、(様々な背景心理をベースに!?)素晴らしくアグレッシブでアクティブなプレーを展開したこの日のエスパルスだったら、どんなチームでも太刀打ちできないでしょうがネ。

 とにかく今年のリーグが、「群雄割拠」でエキサイティングなものになる・・ということだけは確かなことです。




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