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チャンピオンズリーグ、W杯予選、そして中田英寿など、今週のまとめ・・(2001年11月22日、木曜日)

ちょいとご無沙汰してしまって・・。ビジネス、そして他メディアの原稿に追われていたもので・・。

 そんなことで、オーストラリア対ウルグアイの「肉を切らせて骨を断つ闘い」を、まだ詳細に分析できないでいます。もう第二戦がそこまできているというのに・・。

 それにしても、やはり・・というか、オーストラリアがきましたネ。彼らは、本当に実力をアップさせています。ファリナー監督も優秀だし、中心選手たちもフットボールネーションで「存在感ある活躍」を魅せていますからネ。決勝ゴールとなった「PK」は、エース、キューウェルの左サイドドリブル突破があったからこそ。その10分前には、まったく同じカタチで、アゴスティーノのヘディングシュートがポストを直撃しました。

 やはり、フットボールネーションでの「体感」が、ここぞ!の勝負所に対する「感性」を鋭いモノにしているということです。ここで行かなければ・・というところでは、必ず「行く」んですよ、ヤツらは。ドリブル突破チャレンジとか、勝負のタメとか(もちろん決定的フリーランニングと組み合わせて!)。

 第二戦は、ウルグアイのホーム、モンテビデオ。ここのところ同じようなフレーズを何度も使っているように思いますが・・とにかく、「こんなギリギリの勝負は、めったに見られない!」。

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 さてチャンピオンズリーグ。

 グループ「A」の、バイエルン・ミュンヘン対マンUは、まさに「戦術先行ゲーム」となりました。両チームともに、「リスクヘッジ」ばかりが前面に押し出されて・・。

 たしかに前半はバイエルンがゲーム全体を牛耳っていました。それでも、容易には決定的チャンスを作り出すことができない・・。そして後半29分、「これぞ、マンUがプランしたゲーム戦術の結晶!」というゴールを、ファン・ニステルローイが決めます(アシストはシルベストル)。あ〜〜あっ、バイエルンは、マンUの術中にはまってしまって・・なんて思っていたんですが、ちょっと気落ちしはじめた後半42分、パウロ・セルジオがやってくれました。右足で、マンUゴールを陥れたのです。同点ゴ〜〜ル!!

 まあ、この試合は、「二次リーグ初戦」ということで、互いに様子見。何といっても、グループ「A」では、(優勝候補の筆頭でもある)この二チームが、決勝トーナメント進出の最有力候補ですからネ。

 とはいっても、バイエルンは、痛い「キズ」を負ってしまいます。

 ずっと先発で出場し、バイエルン右サイドの「攻守の柱」だったサリハミジッチが、マンUのシルベストルとの絡みで(彼は左サイドバックということでサリハミジッチの直接的な対決相手だった!)、ヒザを負傷してしまったのです。すぐに彼は、アメリカの専門医のところへ飛んだということですが、それでも全治までに(つまり、再び全力プレーが出来るまでに)五ヶ月もかかるとか・・。これでは、バイエルンは、トヨタカップも大変だ・・。とにかくバイエルンは、あれだけ負傷者を抱えているのに、本当によく頑張っている・・。

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 次は、リバプール対バルセロナ。

 バルセロナのサッカーは、本当にインプレッシブでしたヨ。とにかく、彼らが演出するボールの動きが、レベルを超えているんです。ブラジル代表では「個人勝負ばかり」のリバウドも、バルセロナでは、中盤での素早く、広いボールの動きを演出する作業に「忠実」に従事します。レシャック監督の「手腕」が見えてくる・・。

 後半、こんなシーンがありました。センターサークル付近まで「戻って」ボールをもったクライファート。一発トラップ、そして素早いコントロールから、すぐに右サイドのオーフェルマルスへボールを回し、自身は、最前線へ向けて猛ダッシュ。オーフェルマルスは、例によっての「抜くぞ! 抜くぞ!」という「突っかけ」で、マークする相手との「間合い」を微妙に空け、そして決定的スペースへ走り抜けるクライファートへの、目の覚めるような鋭いラストパス。美しい、本当に美しいコンビネーションではありしまた。何といっても、クライファートのフリーランニングと、オーフェルマルスのラストパスが、夢のようなタイミングで「ピタッ」と合ったんですからね。そのままクライファートは、まったくフリーでシュートまでいきます(リバプールGKが、左足でギリギリのクリア!)。私にとっては、これが、この試合でのベストシーンだったというわけです。

 リバプールですが、ホームということもあり、前へのエネルギーでは、バルセロナを上回っています。それでも、ボールの動きの「質」では、やはりバルセロナに軍配! たしかにボールの動きは素早く、広いんですが、そこに、バルセロナは持っている「ファンタジー」がない・・。よく分からない表現ですが、要は、バルセロナのボールの動きが、「より」相手に予想させないような、レベルを超えたアイデアが豊富だということです。とにかく「強く、正確」な、そしてレベルを超えたアイデアが満載されたパスが、グラウンド狭しと飛び交います(もちろんパスレシーバーも、そんなハイレベルなパスを予測している=高質なイメージシンクロ!)。これでは、リバプールの守備ブロックが、バルセロナの「起点」を抑制できないのも道理・・といったところでした。

 バルセロナは、バイエルン、マンU、レアル・マドリーとともに、優勝候補筆頭ということです。それにしても彼らが演出するボールの動き。目を奪われてしまいましたヨ。もちろんそれは、最終勝負の「準備」ではあるんですがネ・・。最後は、オーフェルマルス、クライファート、リバウド等が、個人能力を存分に発揮するというわけです。それでも、ちょっと、最終勝負の仕掛け人の面々に変化がない・・!? そんなところが、彼らのアキレス腱だったりして・・。これから、もうちょっと詳細に、彼らのサッカーを観察することにしましょう。

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 ところで・・。私が、二次リーグ初戦でもっとも期待していたのは、ユーヴェントス対レーバークーゼン。レーバークーゼンは、ブンデスリーガの前節(第13節・・アウェーで、ケルンに1-2と競り勝った!)で、バイエルンから「首位」を奪い返しましたからネ。また、ウクライナとの死闘を制したドイツ代表に「五人(ノヴォトニー、シュナイダー、バラック、ラメロー、そしてノイヴィル)」もの選手を送り込んでいます。彼らの「確信レベル」が格段に向上し、より魅力あるサッカーを展開するに違いない・・と期待していたというわけです。もちろん、朝の四時に、ゴソゴソと起きだしてネ。ところが・・

 霧ですよ、霧! それで「延期」。冗談じゃないよナ、本当に! でも「自然」は誰にもコントロールできない・・。こんなビッグゲームが、自然には勝てずに延期。観客も、これじゃ仕方ない・・と諦めの表情。最初は、「冗談じゃないよ・・」なんてアタマにきていた湯浅でしたが、すぐに、「そうだよな・・自然が一番エラいんだよな・・いや、そうでなくちゃいけないんだよ・・」なんて、逆に、ホッとしたりして・・。

 自然の大事さ、偉大さを、人間たちに再認識させたりして・・。サスガに「人類史上で最大パワーの異文化接点」サッカー・・ではありしまた。

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 最後に、「中田英寿」について、ショート&ショートコメント。

 彼は、まったく大丈夫。ユーヴェントス戦でも、(出場時間は短かったものの)明らかに「本来」の鋭いプレーが戻ってきていると感じました(このことについては、前回に発表した「Isize 2002 Club」のコラムを参照してください)。私が言っているのは、「積極的でクリエイティブな守備」と「切れ味鋭い決定的フリーランニング」のことです。もちろんシンプルな「仕掛けパス」や、危険なドリブル勝負はそのまま。

 これだったら、まっくた問題ない。パサレラ監督も、すぐにでも彼の「(攻守にわたる!)実効性」を認識するに違いないと確信する湯浅なのです。

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 さて、明後日は、「J」での最終ドラマが展開されます。また来週にはトヨタカップ、そして磐田と鹿島によるグランドチャンピオンシップと、注目マッチが目白押し。しっかりと見極めてレポートすることにします。ご期待アレ・・

 追伸:いま湯浅は、「リスク・チャレンジ」と「リスク・ヘッジ」のバランス、そしてその本質的な「意味」について考えています。おいおい、それについてもコラムを書く予定でいますので(基本的には私のHPで)・・

 




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