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まず両チームのスターティングラインアップから。
ホームのレーバークーゼンは、GKにブット、「フォー」の守備ラインは、右からジブコビッチ、ノヴォトニー、ルシオ、プラセンテ、中盤は、右からシュナイダー、バラック、ゼ・ロベルト、二列目がバシュテュルク、そしてキルステンとノイヴィルのツートップです。対するアーセナルは、GKにシーマン、フォーバックは、右からローレン、キャンベル、ステパノフス、ファン・ブロンクホルスト、中盤は、右からヴィルトール、パーラー、ビエラ、ピレス、そしてカヌーとアンリのツートップ。
レーバークーゼンでは、ラメローが欠場だけれど、それでも、アーセナルのアシュレイ・コールとリュベリの「穴」ほどの大きさではない(二人ともケガ!)・・なんて思っていました。何せこの二人は、攻守の「影武者」として大活躍でしたからネ。特にリュンベリ。アンリやピレス、はたまたベルカンプといった「才能たち」の陰で魅せつづける、最高に実効あるプレーは、サッカーマガジンのコラムで取り上げないわけにはいきませんでした。そのリュンベリのケガはかなり重く、復帰は、7月に入ってからとか。ということは、ワールドカップ本戦には間に合わない・・。スウェーデン代表にとっては、これほど痛い「穴」はありません。
あっと・・この試合では、稲本がベンチに座っていることも書かなければ・・。彼には、日本代表の「本物の重心」にまで成長してもらわなければなりませんからネ。徐々に、そして着実に発展を遂げていると聞きます。頼もしい限り。
外国へ行って「潰れて」しまうケースも目立つなか、彼は、着実に伸びていまるのです。これも、アーセナル監督、アルセーヌ・ベンゲルの「ウデ」。たぶん彼は、稲本のことを「パーソナル」でもサポートしているに違いありません。何といっても稲本は、彼が望んで連れてきたんですからネ。責任をとってもらわねば・・。
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あっと・・、両チームの先発メンバーを書いたのが、レーバークーゼンの「自国選手」が6人に対し、アーセナルでは3人だけ(普通ならば、それにコールやキーオン、アダムスといった自国選手が加わりますがネ)という事実を述べたかったから・・ということを忘れるところでした。まあレーバークーゼンは、ブンデスリーガ(ドイツのプロ1部リーグ)上位クラブのなかでも「ドイツ人」が多いチームではあるのですが、とにかくチャンピオンズリーグでは、外国人が多いチームの目立つこと。長い目で見れば、このことが自国代表チームに、また「リーグ発展」にどのような結果をもたらすのかは自明の理のように思えるんですがネ。
これについては、「経済と文化の動的な均衡」というタイトルで、もう長い間ディスカッションをつづけているわけですが、とにかく「リーグブランドネーション(イングランド、ドイツ、スペイン、イタリアのことですヨ!)」の代表チームとリーグ発展の先行きが心配な湯浅なのです。まだまだ「国家VS国家」というドラマツルギーシステム(要はワールドカップや欧州選手権のことですよ!)は崩れないでしょうから・・ECが統合されたといってもネ・・。
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さて試合ですが、案の定というか、静かな立ち上がりになります。両チームともに、まず相手をしっかりと見る・・という姿勢からスタートしているということです。そんな「注意深い意識付け」の場合、二流のチームだったら、確実に攻守にわたって「必要以上」に慎重に(消極的に)なってしまうものなんですが、そこはサスガに世界の超一流同士、ココゾ!の場面では、しっかりと後方からのサポート(=リスクチャレンジプレー)を魅せます。
レーバークーゼンのディフェンダー、ルシオが、右サイドで一人、二人とアーセナル選手をかわして持ち込み、最後の勝負センタリングを上げる・・、またアーセナルの左サイドバック、ファン・ブロンクホルストが、「タメ」るピレスを追い越して、最前線スペースへ飛び出していく・・。
でも、全体としては、やはりホームのレーバークーゼンがペースを握っているという構図です。それに対し、どうしても「個人勝負」ばかりが目立ってしまうアーセナルの攻撃からは、単発の印象が拭えない・・。さて・・。
たしかにアーセナルが披露する「天才たちの饗宴」は魅力満点なんですが、どうも、それらの「才能プレー」が有機的に連鎖しない。それに対してレーバークーゼンは、ラテン系の才能たちが、中盤では、しっかりと組織プレーに徹している。
そして前半では、二度ほど、レーバークーゼンのバスチュルクが、タテパスで抜け出して決定的シーンを演出します。要は、アーセナル最終守備ラインの「ウラ」を突いた決定的シーンということです。対するアーセナルは、どうしても「ウラ突き」ができず、カヌーや、ビエラが、後方から中距離シュートを放つようなチャンスばかり。
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後半も、同じような展開ですが、少し、レーバークーゼンが「ホームの勢い」を増しはじめたように感じていました。それに対して、相変わらず「天才の連鎖」が見られないアーセナル・・なんて思っていた後半10分、やってくれました。アーセナルのフランス代表、ピレス。中盤の自陣内で、レーバークーゼン選手からボールを奪ったチームメイトのビエラが、味方のピレスに「ボールを奪われ」てしまいます。ピレスは、迷わずに、ドーン!とタテへ抜け出します。素晴らしい判断。サスガにフランス代表の中軸選手です。この、タテの「スペースをつなぐドリブル」によって、攻撃のために前へ重心がかかっていたレーバークーゼンの中盤選手が、まとめて置き去りにされてしまって・・。
そのままどんどんとドリブルで突き進むピレス。この時点で、完璧な「4対4」にしてしまいます。それでもパスをする気などまったくなく素振りのピレス。そのままドリブルシュートまで行ってしまいそうな勢いです。当然、レーバークーゼンの最終ラインが「ピレスのゾーン」へ寄ってきます。それは、ピレスの「ワナ」。次の瞬間、右足のインサイドで、右サイドで「少しフリーになった」フランス代表の仲間でもあるヴィルトールへ、パスを出したのです。
ヴィルトールをマークするレーバークーゼンの左サイドバック、プラセンテは、前述したように、少し中央へ寄っていましたから、彼がマークしなければならないとヴィルトールとの間合いが少し大きめに空いていました。この「間合い」がくせ者になってしまったんですよ。ボールを完璧にコントロールしたヴィルトール。あわてて方向転回し、再びヴィルトールをチェックするために寄ってくるプラセンテ。ただプラセンテは、次の瞬間、ヴィルトールに抜き去られてしまいます。「寄りの動き」によって、プラセンテは、ヴィルトールの単純な切り返しについていけなくなってしまったというわけです。
だからこそ、勝負ゾーンでのマークは、予測をベースに、「キッチリ」とポジショニングしていなければならない・・ということです(ちょっと専門的に過ぎる内容ですが)。とにかくシーンでは、ピレスの「ワナ」が主役でした。
切り返して抜けだし、完璧にフリーで、中央へ鋭いグラウンダーのラストパスを入れるヴィルトール。そしてそこには、この攻撃ユニットの演出家であるピレスが、アーセナル最前線のアンリを完全に「追い越して」走り込んでいたという次第。こんな「タテのポジションチェンジ」をされてしまっては、レーバークーゼン最終ラインの名手、ノヴォトニーでも、対応できない・・。まあ、見方によっては、ノヴォトニーが、一瞬「ボールウォッチャー」になってしまったと言えなくもないですが、とにかくここでは、このゴールを「最初から最後まで演出」したピレスに対し、大拍手を送りましょう。
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その後のアーセナルは、もちろん「虎の子」を守りに入ります。どんどんと押し上げるレーバークーゼン。右サイドからは、ドイツ代表でも不動の「右ミッドフィールダー」に定着したシュナイダーが、左サイドからは、ゼ・ロベルトとバスチュルクのコンビが、それぞれ、どんどんとセンタリングを上げてきます。そんなサイド攻撃をつづけながら、たまには中央突破も図るレーバークーゼン。攻撃にも「変化」が出はじめたのです。そんな勢いに押されたのか、アーセナルのパーラーが、ドリブルで突破したバスチュルクを、後ろから引っかけてしまい二枚目のイエローを食らってしまいます(もちろん退場!)。これで、残りの25分、アーセナルは「10人」で戦わなければ・・。
とはいっても、徐々にレーバークーゼンの攻撃リズムに慣れてきたアーセナルの守備ブロックも、ユニットとしてまとまっていきます。特にそこでは、ビエラの鬼神の活躍が光り輝きます。中盤から最終ラインまで、とにかく「アブナイ場面」に、どんどんと入り込み、レーバークーゼンの攻撃を止めてしまうんですよ。まさに「前気味のリベロ」といった大活躍。そして時間ばかりが過ぎていく・・。
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「このリズムじゃ、レーバークーゼンは、もう放り込みしかないな・・」なんて思っていたら、まさにその放り込みから、交代したブルガリア代表のベルバトフが、ヘディングで「バー直撃」のシュートを放ってしまいます。また直後には、右からのセンタリングに合わせたキルステンの決定的なヘディングシュートが、アーセナルディフェンダー、ステパノフスの手に当たり、わずかにゴールを外れていきます(本当に10センチくらい!・・ステパノフスは完全に確信犯!)。でもその「ハンド!」は審判には見えず、そのままゴールキックになってしまって・・。ツキに見放されたレーバークーゼン!?
それでも、フム、フム・・、レーバークーゼンは、センタリング攻撃だけにしても、確かにイメージはシンクロしてきている・・これはもしかしたら・・なんて期待がアタマをもたげてきます。そして迎えた後半44分、キルステンがやってくれました。放り込みのボールを、ファーポストに詰めていたキルステンが、これ以上ない!というくらいまで足を伸ばしてゴールへ押し込んだのです。同点!!
その同点ゴールを見て、「あの展開」でよく同点に追いついたな・・なんて、往年の「ドイツの勝負強さ」を思い出していた湯浅でした。
そしてそのままタイムアップ。あれだけ決定的なチャンスがありながら決められなかったレーバークーゼン、それに対し、ワンチャンスをしっかりとモノにしたアーセナル。これは、完全にアーセナルが勝つ流れでしたよネ。でも、パーラーの退場劇によってレーバークーゼンが吹っ切れ、流れを引き戻したということなんでしょう。
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あ〜っ、面白かった。
久しぶりに「心からサポート応援」したことで、「やっぱり、サッカーは、参加意識が高くなければ・・。当事者意識があれば、何100倍も楽しめる・・」なんて再認識した湯浅でした。
エモーション一杯に書いたものですから、ちょっと長くなってしまいました。明日の朝方は、バルセロナ対ローマ。見所があればまた書きますので・・