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CL一次リーグ最終日・・すごい勝負でしたよ、グループD。でも最後は、やはりイタリアのツボが威力を発揮した・・アヤックス対インテル(1-2)・・(2002年11月13日、水曜日)

いや、ものすごく面白い戦いになりましたよ。チャンピオンズリーグのグループD最終日。アヤックス対インテル(アヤックスのホーム)。

 両者ともに、2次リーグへ勝ち残れるのか、またはどちらかがUEFA出場へ回されるのか・・。すべては、もう一つの勝負マッチ、ローゼンボリ対リヨンの結果にかかっています。

 戦前の状況は、インテルとアヤックスが勝ち点「8」。それに対し、三位のリヨンは「7」。リヨンが勝つか引き分け、アムステルダムの試合に決着がついた場合、どちらかのチームがチャンピオンズリーグから姿を消すことになる。リヨンが勝った場合は、アヤックスとインテルの両チームともに、勝たなければ二次リーグはない。でも、リヨンが引分けて勝ち点1ポイントしか獲得できない場合は、アヤックスとインテルは引分けでもいい。いや、本当に難しい状況に陥ってしまっています。

 もう一つ判断を難しくしている大会の規定があります。それは、勝ち点が同じになった場合、その両チームの「対戦成績」で、どこが二次リーグに進むのかが決まってしまうということです。

 もしインテルが負け、リヨンが引き分けた場合、両チームともに勝ち点「8」ということで並びます。それでも、この両チームのカードでは、リヨンが「1勝1分け」でリードしていますから、リヨンが二次リーグに進出することになります。

 逆にアヤックスが負け、リヨンが引き分けた場合、両チームともに勝ち点「8」ということ並びます。それでも、この両チームのカードでは、アヤックスが「2勝」していますから、アヤックスが二次リーグに進出するというわけです。ホント、アタマが痛い・・。

 とはいっても、ローゼンボリは、いくらホームとはいえ、一次リーグ敗退が決まっていますからネ。インテルとアヤックスは、リヨンが勝つことを大前提にしなければなりません。選手たちも、そのつもりでしょう。ということで、アヤックスは、絶対に勝たなければならない・・。それに対しインテルは、他方のゲーム結果に関係なく、引き分けさえすれば、(アヤックスに対して既に1勝しているから)少なくともリーグ二位で、二次リーグへ進出するということになります。さて、イタリアのツボの本領が発揮される!?

 久しぶりの「肉を切らせて骨を断つ勝負マッチ」。血が沸き、肉が踊るじゃありませんか。そんな心持ちでゲームに見入っていた湯浅だったのです。

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 さて試合。このコラムは、時間を追って書くことにします。

 前半8分。このゲームの行方を左右してしまうような大きなドラマがありました。

 立ち上がりの状況は、思った通り、引き分け狙いのインテルが、8人で強固な守備ブロックを作り、ホームのアヤックスが攻めるという展開。

 インテルでは、トップのヴィエリとクレスポ「しか」攻めないといってもいい状態です。それに対しアヤックスは、攻め上がろうとはしますが、そこはイタリアのツボ守備。まったくといっていいほどスペースでボールを持つことができません(仕掛けの起点がまったくできない!)。ボールがないところでの動きを加速させようにも、インテルの守備ブロックが忠実なポジショニングバランスを保っていることと、「ブレイク後」の忠実なマンマークが厳しいために、まったくといっていいほど、最終勝負シーンを作り出せるという雰囲気さえ醸し出せないのです。

 あ〜あ、これはアヤックスにとっては難しい試合になるな・・。そんなことを思っていた前半の8分、唐突に、アヤックスがゴールを陥れてしまうのです。そう、実際にボールはインテルゴールへ吸いこまれました。美しいゴール・・。誰もがそう思ったに違いありません。でも・・。

 右サイドでボールを持ったアヤックスのファン・デル・メイデ。相手ディフェンダーに詰められてしまう前のタイミングで、素早くインテルゴール前へクロスを上げます。それが、本当にピタリと、ゴール前のファーポストゾーンで待つ19歳の新鋭ミッドに合ったのです。ドカン!というヘディングシュート。インテルのスーパーGKトルドが、横っ飛びに、そのシュートを弾く。ただ、そのこぼれ球を、詰めていたファン・デル・ファールトが、インテルのゴールへ押し込んでしまう。でも次の瞬間、副審(ラインズマン)は、オフサイドのフラッグを高々と上げていました。そしてテレビのリプレイ。「何だ、まったくオフサイドじゃないじゃないか!」。

 まさに、不運なアヤックス。それは、彼らにとって「ゲーム唯一のワンチャンス」になってしまうかもしれない・・。そのシーンを見ながら、そんなことを思ったものです。何せ相手はインテルですからネ。あんなにフリーな状態でクロスを上げられたことに対し、チーム内で怒鳴り合うシーンが展開されていたのですよ。やっぱりヤツらは勝負所を知っている・・。そう思っていたのです。たぶんこれから、インテルの守備ブロックは、もっともっと「締めて」くるだろうな・・。

 私は、このシーンが、インテルにとって願ってもない「刺激」になったと思っていたのです。さて・・。

 その後のゲーム展開は、より集中力を増し、まったくといっていいほど守備組織のポジショニングバランスが崩れないインテルに対し、全体的にはゲームを掌握しているとはいえ、やはり・・というか、アバウトなクロス、ロング&中距離シュート、はたまたセットプレーくらいでしか「もしかしたら・・」という雰囲気をかもし出すことができないアヤックス・・という展開になっていきます。

 本当に、インテル選手たちが魅せつづける、勝負所での「身体を寄せるマーキング」は職人芸。これもまた、守備での「予測能力」がベースになっているというわけです。これでは、いくら良いクロスが上がってきても難しいだろうな・・。そんなことを思ったものです。

 インテルの攻撃ですが、例によってそれは、カウンターか、アヤックス選手たちの「戻り状況」を正確に観察してから、注意深く攻撃の厚みを増していく・・というものです。ギリギリの勝負を得意とするイタリアの真骨頂といったゲームの流れではあります。

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 そしてそんなインテルの職人芸が、本当に実を結んでしまうのです。後半5分。右サイドで、例によっての様子見のキープをしていたディ・ビアッジョ。その彼が、前にスペースが空いたと思った瞬間、急にドリブルをスピードアップさせ、まったくフリーで最終勝負の起点になってしまいます。もちろんゴール前では、クレスポとヴィエリが、爆発的に反応している。そしてそこへ、まさにピンポイント・・というラストクロスが入れられたというわけです。ニアポスト勝負タイプのクロス。ヘディングシュートを打ったのは、クレスポの方でした。素晴らしい「注意深い最終勝負」ではありました。まさに、イタリアのツボ・・。

 そしてその2分後には、カウンター気味の攻撃から、流れるように、ディ・ビアッジョ、クレスポ、ヴィエリとパスが回り、最後は、左サイドで完璧にフリーになったヴィエリから、ファーポストゾーンへ走り込んだクレスポへ、これまたピタリのピンポイントラストクロスが合わせられたというわけです。これでインテルの「2-0」。

 インテルが、実質的にDグループ一位突破を決めた瞬間でした。

 この後が面白かったんですよ。もちろん「もう一つの試合経過」。テレビ画面では、ローゼンポリが「1-0」のリードを奪ったというテロップが流されます。もちろんこの情報は、アヤックスベンチから、選手たちにも伝えられていたことでしょう。このままだったら、たとえ負けたとしてもアヤックスも二次リーグに進出できる・・。

 そしてどんどんと時間が経過していく・・。アヤックス選手たちのプレーぶりは、「よし、決まった・・」という安堵の雰囲気が漂っていたものです。

 結局試合は、アヤックスが一点を返して「1-2」の負け。もう一つの試合は、最後にリヨンが追いついて「1-1」の引き分け。

 これでインテルの勝ち点は「11」まで伸び、アヤックスとリヨンが「8」で並びました。それでも、冒頭で書いたとおり、この両チームの直接対決では、アヤックスが「2勝」ですから、アヤックスがグループ二位で、二次リーグに進出することになったというわけです。

 本当に面白い、勝負の展開ではありました。もう一つのゲームの試合経過がテロップで出されるたびに、「オッ!」と身を乗り出したものです。あ〜〜、面白かった。

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 その他のグループですが、A組からはアーセナルとドルトムント、C組からはレアル・マドリーとローマが、順当に二次リーグへ進出しました。

 残るは、Bグループ。もちろん注目は、バーゼル対リバプール。この試合は、今夜のワウワウで再放送されますから、結果については、ここでは控えます。また、もし内容的に面白いものがあれば、またレポートしますので・・。




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