トピックス


CL準々決勝第二戦・・エキサイティング!・・これぞトーナメント!・・レーバークーゼン対リバプール(4-2、二試合合計でレーバークーゼンが準決勝進出!)・・(2002年4月10日、水曜日)

いや、すごい試合を観てしまいました。まだ興奮冷めやらずといった湯浅なのですが、とにかく文章にだけは落としておこうと思いキーボードに向かいました。

 実のことをいうと、「勝負所に対する戦術イメージ的レベル」ではリバプールの方が少し上だから、レーバークーゼンには厳しい試合だな・・と思っていたんですよ(一試合目は、リバプールが「1-0」で先勝)。もちろん私は、レーバークーゼンを応援しているのですが、守備ブロックの戦術的発想のレベル、そして最終勝負での崩し方など、どうしてもリバプールに一日の長あり・・という評価がベースにあったというわけです。

 このことはマンチェスター・ユナイテッドにもいえるのですが、何といっても「フラット型ラインディフェンス」の機能性が特筆。守備ブロックのウラスペースを守ることに対する感覚がものすごく鋭利なんですよ。それがあるからこそ、攻撃陣の、ウラ(=決定的スペース)への飛び出しに対する意識も研ぎ澄まされていくというわけです。

----------------

 この試合でも、開始早々に、サイドチェンジ気味の「ウラ突きパス」を通したリバプールが、まず決定的なチャンスを作り出します。最後のシューターはヘスキー。でも、ギリギリのタイミングで追いついたレーバークーゼンの左サイド、プラセンテ(アルゼンチン代表)が、スライディングによって、かろうじて防ぎます。

 対するレーバークーゼンは、攻め込みはしますが、まったくといっていいほど、リバプール守備ブロックの「ウラ」を突くことができない・・。

 「あ〜あっ、やっぱり、チョット難しいかな・・」なんて思ったものです。ところが、決まってしまったんですよ、先制ゴールが。レーバークーゼンのドイツ代表、バラックが、20メートル近いミドルシュートを、リバプールゴールの右上角にたたき込んだのです。いや、見事なシュート。フムフム、ロングシュートという攻め手か・・これは「目」があるかも・・なんて期待がわいてきたものです。前半、17分のことでした。

 これで、両者の「勝負の状況」は、まったくイーブンになります。というか、どちらかといえば、ホームのレーバークーゼンに有利になった・・。

 でもその後、攻め込んでいるにもかかわらず、どうしてもリバプール守備ブロックを崩せないレーバークーゼンに対し、リバプールの攻めは、どんどんと鋭さを増していきます。そして飛び出しましたよ・・オーウェン。右サイドに集中してしまったレーバークーゼン守備のウラを突き、逆の左サイドでフリーになっていたオーウェンへ、見事なラストパスが通ったのです。レーバークーゼンGK、ブットと一対一になるオーウェン。ただ、狙いすました「コロコロ・シュート」を、ブットが、足の先端ではじき出してしまって・・。

 攻め込みますが、どうしても崩しきれないレーバークーゼンに対し、少ないチャンスでも「決定的な匂い」を放ってしまうリバプール・・っていう構図。お分かりになりますよネ、この雰囲気が。

 そして、リバプールの同点ゴールが決まります。前半42分。CKから、ポルトガル代表のザビエルが、ヘディング一閃! そして前半終了です。

 「やっぱり、難しいかな・・。でも、この試合でのレーバークーゼンには、レベルを超えた勢いは感じるから、もしかしたら・・」なんていう期待は持ちつづけていました。

----------------

 そんな雰囲気ではじまった後半ですが、早々に、リバプールが決定機を作り出してしまいます。ここでもオーウェン。押し上げるレーバークーゼンのウラを突き、見事なスルーパスからオーウェンが抜け出したのです。またまた、GKのブットと一対一。今度は、見事なタイミングで、ファーサイドを狙ったオーウェン。誰もが「ゴール!」と叫んだに違いありません。でも、そのシュートは、無情にも左ポストを直撃してしまって・・。

 ツキのあるレーバークーゼン。とはいっても、その時点での状況は「1-1」。これで、レーバークーゼンが、何とか一点もぎ取って「一勝一敗(合計の得失点差も同じ!)」にしても、アウェーゴールを二倍するというルールがあるから、結局はリバプールが・・。

 レーバークーゼンが「すべてを賭して」攻め上がり、リバプールが、定評のある鋭いカウンターを繰り出す・・。そんな展開は、レーバークーゼンにとって、まさに崖っぷち。さて・・。

 後半18分。スローインを起点にした展開から上げられたセンタリングを、バラックが、スパッ!と、ヘディングシュートを決めます。これでレーバークーゼンの「2-1」。でもこのままでは、リバプールが準決勝進出。こちらは、何か冷めた意識で観戦するようになってしまって・・。ただ、ここらあたりから、レーバークーゼンの左サイドからの攻めに鋭さが出てきたと感じられるようになってきます。

 トルコ代表のバスチュルクと、ブラジル代表のゼ・ロベルトが織りなす、危険な「仕掛け」に、実効ある雰囲気が伴ってきたんですよ。右サイドのドイツ代表、ベルント・シュナイダーからの仕掛けが、ちょっと停滞気味でしたから、ちょっと期待が高まってきてはいました。そして、まさにこのコンビによって、待望の三点目(=二点差リード!)が演出されたのです。

 左サイドで、リバプールのディフェンダー二人を引きつけるゼ・ロベルト。そして、中央寄りのスペースへ入り込んだバスチュルクへ横パスを出します。相手と正対した状態で「タメ」るバスチュルク。そして最後は、中央スペースへ押し上げたバラックへ、ソフトに置くような「ラスト・ファウンデーションパス」。ただバラックはミスキック。でもそのボールを拾ったブルダリッチが、右でフリーになっていたノイヴィルへ。フリーシュート! GKが弾いたボールを、最後はベルバトフがドカン! 後半23分のことです。

 でもその11分後の後半34分には、ヘスキーと交代したフィンランド代表のリトマネンが左サイドからドリブルで持ち込み、レーバークーゼンゴールの右隅へ、ズバッとシュートを決めてしまいます。再び一点差! 「3-2」です。残り時間は約10分。

 そしてドラマの最終章。失うものがなくなったレーバークーゼンが、全員の「リスクチャレンジ」を開始します。その勢いは、まるで「鬼神」。是が非でも勝ちたかったんでしょうネ。もちろん、バラック、シュナイダー、ノヴォトニー等は、まだまだ「冷静」にバランスプレーをつづけていましたがね・・。そして本当に、「運命ゴール」が決まってしまうんですよ。もちろんレーバークーゼンの「四点目」。それも、スコアラーは、ストッパーの「ルシオ」。いったい何故、彼が、あんな最前線にいたのだろう・・。最後のパワープレーだ!という監督の指示!? それとも自分の判断!?

 まあ「流れのなか」で、彼が最前線まで押し上げた結果だったんでしょうが、とにかく、最前線に張るルシオへ、ドリブルでちょっと持ち込んだバスチュルクから、ベストタイミングのスルーパスが出たんですよ。それはもうオフサイドになるかならないかのギリギリ。まさにギリギリ。そして、まるで「鬼の形相」のルシオが、飛び出してくるポーランド代表GK、デュデック(先日の日本戦でもゴールを守りましたよネ!)の「股間」を抜くシュートを決めたんです。

 ゴ〜〜〜〜ル!!!!

 レーバークーゼンのホームスタジアムは、もうお祭り騒ぎ。「待て待て、まだ5分以上あるぞ!」なんて、私は心のなかで叫んでいたんですが、その後のレーバークーゼンの守備は、完璧でしたネ。落ち着いていました。逆に、リバプールの攻めからは、勢いが殺がれていってしまって・・。

 まあ、何度も何度も、希望と落胆の狭間を行き来しなければならないという「ギリギリの心理戦」を戦ったことで、レーバークーゼンの選手たちも、試合中に成長したっちゅうことですかね・・。あ〜〜、面白かった。もちろん、「マイチーム」が勝ったということも含めてネ・・。

 ここでは、レーバークーゼンの「後半での戦術転換」など細かいことは抜きに、ホットに(情緒的に)レポートするこにとした湯浅でした。

------------------

 同時に行われていたバルセロナ対パナシナイコスですが(第一戦は、パナシナイコスが、ホームで1-0の先勝)、こちらも、ものすごくドラマチックな展開から(アウェーのパナシナイコスが一点を先制!)、結局は、何も失うものがなくなったバルセロナが、やっと吹っ切れた戦いを展開し、最後は「3-1」で準決勝に駒を進めました。

 バルセロナの得点者は、ルイス・エンリケが「最初の2点」、そしてサビオラが、「運命ゴール」となる最後の1点を決めたということです。

--------------

 さて今夜は、レアル・マドリー対バイエルン・ミュンヘン。第一戦については、トピックスレポートを参照してください。

 レアルでは、フィーゴが復活しましたし、彼らのホーム、サンチャゴ・ベルナベウ。ドラマの予感じゃありませんか。やはりサッカーは、決勝トーナメントですよネ。では・・




[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]