この試合については、本当に「ショート&ショート」レポートを・・。テーマは、最終勝負へ向けた仕掛けの「質」。キーポイントは、何といっても中盤でのボールの動き。そのスムーズさが、「最後の仕掛け」にも大きな影響を与えているということです。
レアルの攻めでは、とにかくボールの動きがスムーズ。ボールを奪い返したポイントから、中盤での組み立て、最終勝負の仕掛け、そして最後のシューターに至るまで、本当に「よどみなく」ボールが動くのです。要は、選手一人ひとりが、ボールの動きの「リズム」に対して明確なイメージをもっているということです。
もちろん、ボールをトラップする瞬間の「エスプリ」は、その「リズム感覚」に組み込まれています。例えばジダン。彼に対するマークは殊の外厳しいですから、彼もトラップに「変化」をつけなければなりません。それでも、その「ボールコントロール時に魅せるエスプリ」は、確実に「次のクリエイティブ展開(パス)」を、より効果的なものにするためのものなのです。その「ジダンのプレーイメージ」が、周りの味方の「脳内記憶レセプター」に、明確な「カタチ」として刻み込まれている・・。だから、何度ジダンが「夢の切り返し」をしても、周りの「動き」が停滞することはない・・。ここが、バルセロナとの絶対的な「差」ということです。
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対するバルセロナ。たしかに最終守備ラインや中盤での組み立て段階では、しっかりとボールを動かします。彼らの「個のチカラ」は折り紙つきですから、それは、それは美しいボールの「走り」を魅せることもしょっちゅうなんです。それでも、攻撃の「最終段階」では、どうも「明確なリズム」が見えてこない・・。サビオラやクライファートなどがボールを持った状況を考えてください。彼らは、何とかドリブル突破で「数的優位な状況」を演出しようとします(最終勝負の起点になろうとしたり、自らがシュートまでいこうという目標イメージは感じるけれど・・)。それでも、最後の勝負の瞬間での「目標イメージ」が、希薄なんです。要は、周りが、彼らがボールを持った状況で、「次」を明確にイメージできないということです。だから足が止まり気味になり、ボールのないところでのアクションにも、ダイナミズムが感じられなくなってしまう・・。
もちろん、オーフェルマルスが左サイドでボールをもったら、全員の頭の中に描かれる「最終勝負イメージ」は確実にシンクロするでしょう。「アイツは、ドリブル突破してクロスを上げてくる・・ニアポストスペースにはオマエ、ファーにはオレが入る・・」ってな具体的なイメージです。それでも、その他の選手たちは・・。
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この試合では、たしかにバルセロナもシュートチャンスを作り出しました。それでも、レアルのように、「決定的スペース(GKと最終ラインの間のスペース)」を攻略するのではなく、ロングシュートや「放り込みクロス」などという「力ずく最終勝負」になってしまう。それもこれも、最終勝負のイメージが、仲間のなかで明確にシンクロ(同期)していないことの証明だというわけです。
対するレアル。たしかにバルセロナが攻め上がっていることで、カウンター気味の攻めが多かったのですが、それでも、彼らが作り出した決定的チャンスのほとんどは、相手の「裏スペース」を見事に突いたものでした。
ジダンが挙げた先制ゴールの場面では、バルセロナの最終ラインが、最前線でタテパスをトラップしたラウールとの「あうんのイメージシンクロ」で左サイドを爆発ダッシュしたジダンに裏を取られた瞬間に勝負あり・・でした。それ以外でも、左サイドのロベカルが見事に「抜けだし」たり、最後はグティーがシュートを放ったり、素早いコンビネーションで、最後はラウールが抜け出したりと、何度も、何度も、これぞ「クリエイティブなチャンスメイク」というシーンが演出されるのです。いや、美しい・・、素晴らしい。
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ボールの動きに対して、「チームメイト全員」が同質のイメージを描きつづけるレアル・・、それに対し、仕掛け段階において、どうしても「個」が強調されすぎ、決定的なバスレシーバーたちが、「次」をクリアにイメージできないバルセロナ・・という構図でした。
さて明日の未明は、マンU対レーバークーゼン。もちろん私は、レーバークーゼンを「気合い」を入れて応援するわけで、そこで「ニュートラルなコメント」を期待する方が無理というもの。たまには、いいじゃありませんか。私も「入り込んで」観戦したいんですよ。ということで、レーバークーゼンが勝っても、負けても、とにかく「入れ込んだコメント」になるはずです。あっと・・仕上げなければいけない原稿が山積みだし、ビジネスのミーティングも・・。まあ、発見があればコメントする・・ということでお許しください。では・・。