以前から私は、ヴェーロンを「本物のボランチ」と表現してきました。中盤の底を出発点にしながら、中盤守備だけではなく、ボールを奪い返した地点からのゲームメイクや、最終的な仕掛けの演出家(チャンスメイカー)としても抜群の実効プレーを魅せつづける・・。このレベルのパフォーマンスを発揮できるまでには時間が必要でしたが、機能しはじめたら、攻守にわたって素晴らしい実効プレーのオンパレード。いや、素晴らしい。
マンUは、もちろんホームということもあって、ゲーム開始当初からデポルティーボをガンガンと押し込んでいきます。そのベースは、言わずと知れた中盤ディフェンス。センターのヴェーロンとフィリップ・ネヴィルのコンビを中心に、左にギグス、右にスールシャール、そして二列目のスコールズも、もちろん積極的に戻って守備参加する・・。
そこでもヴェーロンの、気合いの入った守備が目立っています。左サイドで爆発的なスライディングタックルを仕掛けたかと思えば、今度は右サイドで、ボールのないところでの忠実マークをつづける・・等々、陰に日向に大活躍なのですよ。チームメイトたちも、そんな彼の献身的なプレー姿勢を心底信頼しはじめていると感じます。とにかく彼にボールが集まること・・。
これは「微妙な現象」なのですが、いくら能力が高くても、攻守にわたる「汗かき組織プレー」をしっかりとやらない選手は、結局は、チームメイトから信頼されないということです。ここで言う「信頼」の背景には、技術や戦術能力というロジックなものだけではなく、誠実さとかいった人間性も含まれるということです。いや・・、究極のロジックの世界と考えられがちなプロの世界ですが、「本物のチームゲーム」であるサッカーでは、情緒的なファクターの方が結局は大きなウェイトを占める・・と言えるかもしれません。もちろん、マラドーナのようなレベルを超えた天才の場合は別でしょうが・・。
どんなプロの世界でも、「能力」がベースではありますが、でも結局最後に出てくるのは「人間性」ということです。ロジック能力と人間性のバランス・・。もちろんビジネスからスポーツ等まで「プロの分野」によって、そのバランスの「ウェイト・ニュアンス」には若干の相違はありますがね。
本当に微妙なテーマ。だから、語りはじめたら止まらない。まあこれについては、また別の機会にでも・・。
ということでヴェーロン。攻守にわたる「汗かき組織プレー」が活性化したことによって、彼本来の実力が存分に発揮されるようになっています。もちろんそれには、彼のパートナーである守備的ハーフ、フィリップ・ネヴィルの貢献も大きいわけですが・・。
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試合は、ファン・ニステルローイの二発によってマンUが完封勝利をおさめました。とはいっても、デポルティーボの出来が最低だったわけじゃありません。彼らもまた、例によっての、組織プレーと個人の勝負プレーがうまくバランスした高質なサッカーを展開していましたよ。それでも、どうも決定的チャンスを作り出すまでには行けない。
シュート数自体は互角だったのでしょうが、決定的シュートのシーンでは、完全にマンUが凌駕していたのです。
それには、安定したマンUの守備ブロックという視点と、ココゾ!の最終勝負における、周りのチームメイトたちの「絡み方の差」という視点があると思っている湯浅です。
マズ守備。マンUのフォーバックと中盤ラインが展開するハイレベルな組織守備が、ものすごくうまく機能していました。この「現象」を詳しく描写するには、ちょっと時間が足りないのですが、例えば、中盤でのチェック(強さ、体勢、タイミング等々)やボールがないところでのマークやインターセプト意図などと、最終ライン選手たちのイメージが、常にピタリと一致している・・だから最終勝負での「ライン・ブレイク」もうまくいく・・なんてことですかネ。
また攻撃では、ヴェーロンのゲームメークを起点に、ギグス、ファン・ニステルローイ、スコールズ、はたまたスールシャール等の「個のチカラ」と、周りでサポートする選手たちの、ここぞの突っ込みが、本当にうまくシンクロしている。互いに「使い・使われる」というメカニズムが、本当にうまく機能していると感じます。だから、ある程度は安定しているデポルティーボ守備ブロックでも、何度もウラを突かれてしまう・・。
とにかくこの試合が、先週のアーセナル戦と同様に、マンUの復活を象徴する「内容」だったのは確かな事実でした。
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マンUの復活、久しぶりのイタリア勢の躍進などなど、チャンピオンズリーグも楽しみになってきたじゃありませんか。
とはいっても、ドイツ勢の失速には、ちょっと(かなり?!)アタマにきてはいますがネ。昨日はレーバークーゼンがインテルにやられ、今日は、ドルトムントが、ホームでACミランにうっちゃられたとか・・。「イタリアのツボ」にやられた?! 一次ラウンドでのバイエルン・ミュンヘンのように・・。ドルトムント戦については、ビデオに録画し、「オフ」から帰国してからレポートする予定です。
あっと・・、これから湯浅は「オフ」へ出掛けます。まあ、一週間をちょっと越えるくらいの短い期間ですが・・。それではまた。