昨日は、(長居でのウクライナ戦後)関空から出発し、ビジネスの所用もあって、アメリカ経由でドイツに到着しました(地球を2/3周!)。そして、フランクフルトでレンタカーをピックアップし、そのまま250キロの道程をブッ飛ばして「アレーナ・アウフ・シャルケ」スタジアムで行われた「シャルケ04対カイザースラウテルン」のブンデスリーガ(ドイツプロ一部リーグ)カードを観戦(シャルケが3-0で勝利!)。その足で、ケルンにとって返し、ホテルまで尋ねてくれた現ドイツ代表チームコーチ、エアリッヒ・ルーテメラーと旧交を温めたという次第。
それにしてもハードスケジュールでした。以前だったら苦もなかったのですが、どうも近頃は、「ハード」だということを、ジワジワと体感するようになってしまって・・。
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エアリッヒとのハナシですが、若手を育てるという意味での現在のブンデスリーガの状況からはじまり、(歴史的な)ドイツの勝負強さの背景、そしてその凋落と復活、W杯プレーオフ、ウクライナ戦での勝利に至るまでの「チーム内でのマネージメント(心理的・戦術的)」、リーグブランドネーション(イングランド、スペイン、イタリア、そしてドイツ)代表チームの現状、監督してのルディー・フェラーについて、またもう一人のコーチ、ミヒャエル・スキッベとの役割分担、ドイツ代表の戦術、メンバーの可能性、そして、フランスとアルゼンチンを中心に展開していくに違いないワールドカップ本大会のこと等々、本当多岐にわたりました。
そこで話された内容については、(ウクライナ戦レポートの最後に書いたように)彼の立場もありますから、全てを・・という訳にはいきませんが、部分的な骨子だけでも、鉄は熱いうちに・・ということで簡単にまとめることにしましょう。
今回は「写真つき」です。彼もオーケーしていますし、内容についても、私を全面的に信頼するということで・・。助かります。
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まずは、ドイツ代表に、(ダイスラー等を除いて!)才能ある若手が育っていない・・というポイントについて。もちろんドイツのことですから、「育成システム」自体には大きな問題はありませんが、フランスなどと比べた場合、「中央組織を中心としたディレクション&マネージメント」という点で、まだ課題が見え隠れするとのこと。これについては、各ビッグクラブが主導で、「上澄みの選手たち」に対する、実効ある育成システムを稼働させるとか、地方協会との連携をより強化するなどという具体策が実行にうつされていると言っていました。
エアリッヒ自身は、現在、ドイツサッカー連盟が主催する「コーチ養成コース」の責任者も兼務していますから(プロコーチ養成コースの責任者)、彼が中心になって、プロから子供まで確実に共有される「プレーイメージの浸透」に尽力しているというわけです。
とはいえ、いくら才能のある若手がいたとしても、ブンデスリーガでの「経験の場」を与えられなければダメじゃないか・・という私の問いに対し、「そうなんだよ、それが一番アタマの痛いところなんだ。ヨーロッパ共同体が、EU内プレーヤーの扱いに関する基本的な方針を、サッカーに限って転換することもあり得ないしな・・」と、エアリッヒ。
EU内の選手たちは国内選手扱いにしなければならないという基本コンセプトについて、ヨーロッパ共同体が、サッカーだけを例外にするという転換などはあり得ないということです。でも、自国選手たちの「先発メンバーにおける割合」については、自国サッカー連盟が主導で「調整」することは、法律的にも問題ないようで、今は、その方向でハナシが進んでいるということです。
要は、いくら市場が開放されたからといって、「自国産業」が潰れるようなことがあっては本末転倒。その基本概念では、まだ「改善の余地」はある・・ということです。
「そこで、年齢的なカテゴリー分けや、ポジション的な視点、また先発させなければならない自国選手の人数などの細かい規定をつくるっていうわけさ。そうすれば、将来有望であっても、アマチュアリーグでプレーする以外に可能性がなかった若い才能たちが、トップクラスのサッカーで経験を積むことができるようになるしな。もちろんそれは、2006年のドイツワールドカップへの布石というわけさ・・」。
「でも、本当にできるのかい・・? いままでも、そんなハナシがあっても、結局は立ち消えになっていたじゃないか・・」。「いや、今回は、本当にやるよ。政治的な部分でのバックアップもあるしな・・」。フムフム、これは本当に期待できるのかも・・。
1970年代に代表される美しく、強いサッカーで、世界中からレスペクトされていた(敬意をもたれていた)ドイツ代表。ここのところの彼らのレピュテーション(名声)ダウンには、国を挙げて危機感をもっているということです。それにしても、動きは遅いけれどネ・・。
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それに関連したテーマですが、前述したリーグブランドネーション代表チームの凋落についても、かなりの部分で意見は一致しています。
「そうなんだよな、たしかにイングランドでは、オーウェンとかベッカム、ジェラードなんていう才能ある選手たちは出てきてはいるけれど、チーム全体のパフォーマンスとなったらハナシは別だよ。オマエが言うとおり、オレたちだけじゃなく、イタリアやスペインだって、同じように苦しんでいるしな・・。とにかく、フランスやアルゼンチン、はたまたブラジルなんていう選手の輸出国の立場は、もの凄く有利だっていうことさ・・。あっと・・ポルトガルやオランダもそうだな・・。ところでさ、オランダだけれど、ヤツらが予選落ちしちゃったことは、本当に大変なことだゼ。世界のサッカーにとって大きな損失だよな・・」。
同感! まあ、勝負の世界だから仕方ないにしても、あのスーパーチームが・・。これで、今のジェネレーションが年老いたら、ポルトガル同様に、再建にかなり苦労することになるのかも・・なんて話し合ったものです。
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それ以外にも、フランスやオランダ、イングランドなどの「人種のルツボ」ネーションの有利な環境なんていう視点でも、かなり突っ込んで話しました。
あまり書きすぎるのも何ですから、それ以外のテーマについては「次の機会」にとっておくことにします。彼とは、ワールドカップ前に、また何度か会いますし、前述したテーマのうちの一つを、週間プレーボーイでも書かなければなりませんから(締め切りが・・!)。
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今回のワールドカップですが、湯浅は、特に「予選リーグ」について、まず日本代表、ドイツ代表、そしてセネガル代表に注目して観ようと思っているのです。
セネガルですが、監督のブルーノ・メツとも対談しましたし(週間プレーボーイ、サッカーマガジン、また東京新聞を参照してください・・もちろん彼との対談内容については、時間が許すかぎり私のHPでもアップする予定です!)、何といっても、彼らの「攻守にわたる組織プレー」は魅力的ですからネ。私は、彼らが、今ワールドカップにおける最大のダークホースだと思っているんですよ。ブルーノの優れたパーソナリティーに対してだけではなく、セネガルの国民性も含めて(これについても機会を改めます!)、私の「シンパシー」は高まりつづけています。
まあ、フランス、アルゼンチン、(大会中に成長するに違いない!?)ブラジルは、どうせ「来る」でしょうし、私の情報ソースもしっかりしていますから、決勝トーナメントが見えてきた時点から「分析作業」にはいっても遅くありませんからネ。
ということで、本日はこれで・・。
私は、明日の月曜日(3月25日)にハンブルクへ移動してビジネスミーティング。そしてそこからポーランドへ飛ぶことになります。とにかく、このポーランド戦が、本大会へ臨む日本代表にとっての、もの凄く大事な「試金石」になると確信している湯浅なのです。
現地の「通信事情」がはっきりしませんので、どうなるか分かりませんが、とにかく「なるべく早く」レポートしますので・・。