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帰国報告と、国際マッチデー(先週水曜日)でのフランスとアルゼンチンについて・・(2002年4月3日、水曜日)

どうも皆さん、ご無沙汰してしまって。実は、ポーランド対日本のゲームを観戦した後、ドイツへ「帰り」、そこで何人かのサッカー関係者と会っていたために、帰国が月曜日の夕方になってしまったのです。ということで、先週の「J」は観られなかったわけですが、期待して、HPを訪れていただいた皆さんには申し訳ないことをしたと思っています。

 それでも、次の日曜日に出演予定の、テレビ埼玉、「レッズ・ナビ」の準備のため、先週土曜日の「ガンバ対レッズ」のビデオだけは、テレビ埼玉の方に届けていただきました。もし「発見」があれば、レポートしますので・・。

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 さて今日は、何といっても「チャンピオンズリーグ準々決勝」。実は、水曜日(本日)の早朝に、バイエルン・ミュンヘン対レアル・マドリーを観るつもりで起きていたのですが、いつのまにか寝入ってしまって・・(時差ボケが・・クソッ!)。ということで、昼間のミーティングを済ませ、夕方に(今現在)ビデオ観戦しているというわけです。今夜「1900時」からは、デポルティーボ・ラ・コルーニャ対マンチェスター・ユナイテッドの「録画」もワウワウで放送されますから、本日の夜中までには、「発見」をレポートする予定。ちょっと遅れ気味ですが、ご容赦アレ。

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 ということで、ここでは、先週水曜日(ポーランド対日本が行われた日)の「インターナショナル・マッチ・デイ」に行われたいくつかの試合のショートインプレッションを・・。

 それらの試合は、フランクフルトのホテルで原稿を書きながら、「ユーロスポーツ」で観ていました。

 とにかくたくさん試合が行われたわけですが、ユーロスポーツでは、それらのショートレポートをやっていたというわけです。もちろん日本代表の試合についてもレポートされていましたよ。こちらでは、アナウンサーと解説者が「一体」になったコメンテーターが主流なのですが、日本(対ポーランド)についてや、チュニジア(対ノルウェー)についてのコメントが面白くて・・。それについては、来週発売の「週刊プレーボーイ」での連載コラムを参照してください。

 さて「ユーロスポーツ」。たくさん行われた国際テストマッチのうち、アルゼンチン対カメルーン(スイス、ジュネーブ・・2-2の引き分け)、フランス対スコットランド(フランス、サンドニ・・5-0でフランス)だけは、全試合を流していました。それが、本当に素晴らしい内容で・・(だからユーロスポーツも90分をとおして放送した!)。

 特にフランス。もうスコットランドが「キリキリ舞い」でした。華麗に「組織と個」がバランスしたサッカー。もう鳥肌が立ちましたよ。フランス代表では、ロベール・ピレス(アーセナル所属)が、先々週のイングランドリーグでケガをしたことが心配でした(何か情報が錯綜しているのですが、ヒザの裂傷とか・・半月板だけならば一ヶ月もあれば・・でももし、ヒザの十字靭帯断裂だったら半年はダメ!)。あの「タイプ」の選手は、本当に貴重な存在ですからネ。守備でも抜群の「実効」を発揮し、攻撃では、ボールのないところでの動きやシンプルプレーなどの「組織」に徹します。そして、ここぞ!のタイミングで、抜群のドリブル突破能力を、いかんなく発揮する・・。そんな「貴重な戦力」を失ったフランスが心配だったのです。ところが・・。

 「代役」は、アンリでした。代役・・なんて表現すると、皆さんから大ブーイングですよネ。それでも、彼のプレー(実効レベル)が、ビックリするくらい、ピレスの「プレーイメージ」に重なり合っていたんですよ。守備でも、攻撃でも・・。彼が、あんなプレーをできるなんて・・。ちょっと甘く見ていたのかもしれません。だから「代役」というのではなく、アンリが本来もっていた「オールラウンドな可能性」を、明確に証明したといった方が、ピタリときそうです。

 この試合でのツートップは、トレゼゲとヴィルトール。二列目に、アンリとジダンがコンビを組んだというわけです。ボランチコンビは、いわずと知れた、プティーとビエラ。そして彼らが、「夢」を見せてくれました。ここでは、細かなことは抜きにしましょう。とにかく、あまりにも美しすぎるサッカーに、心を奪われてしまった湯浅だったということだけでご勘弁を・・。

 まあ、アンリの「守備」については、スコットランドが、ほとんど攻めらしい攻めを展開できなかったから、評価は保留にするとして、攻撃での「目の覚めるようなコンビネーション」を、何度か、アンリが主体で演出したこと等、とにかく彼の「新しい側面」を見いだして心躍らされた湯浅でした。もちろん中盤の王様はジダンなんですが、彼も、アンリのコンビネーションイメージを尊重しているような・・。この二人が魅せつづけた、「攻守にわたって自ら仕事を探すアクティブな姿勢」、そして「互いに使い、使われるメカニズムに対する深い理解」。いや、フランス代表は、面白い、面白い。

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 もう一チーム。アルゼンチン。

 アルゼンチン対カメルーン戦は、試合内容(レベル)としては、群を抜いていました。とにかく、両チームともに、攻める、攻める。もちろん、攻撃的な(つまり、次の攻撃を意識した!)クリエイティブ守備をベースにしてネ。守備プレーが、素晴らしい「意図」に埋め尽くされていると感じたんですよ。だから素晴らしく攻撃的なゲームになった!

 でも、やはり・・というか、チーム総合力では、アルゼンチンに一日の長があります。何人かの「主力候補」が欠けているにもかかわらずです。前半では、攻守にわたって、カメルーンとの、サッカー内容での「僅差」を誇示していたのです。また、(リードされたことで)カメルーンが攻め上がるような(アルゼンチンを押し込むような)時間帯では、しっかりと「次のカウンター」をイメージした守備を展開していました(実際に何度か決定機を演出し、最後はアイマールがゴール!)。

 それにしてもアイマール(スペイン、バレンシア所属)。やっと「本領発揮」といった試合内容でした。彼の場合、どうしても「個人勝負」が目立ち過ぎていたのが問題だったのですが(組織プレーの流れを乱す!)、この試合では、「組織」でもかなりのパフォーマンスを発揮していましたよ。だからこそ、彼の「単独ドリブル勝負」が抜群の効果を発揮した! 観ていて、楽しいことこの上なかったですよ。その「楽しさ」の根元は、彼の次のプレーに対する大きな「期待感」ということなんですが、とにかく、「早く、アイマールへパスを出せ!」なんて思ってしまって・・。また、ボールのないところでの動きもに対しても、かなりの「高い意識」を感じました。いや、素晴らしい。

 ヴェーロンのパフォーマンスについては、一言、「安定!」ってな具合。しっかりと、チームの「重心(中盤の絶対的なリーダー)」になっていました。また、久しぶりに観た「カニージャ(スコットランド、グラスゴー・レインジャーズ所属)」も、以前の鋭さを発揮していました。ちょっと髪は薄くなっていましたが・・。失礼・・。

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 フランスとアルゼンチン。世界中のエキスパートたちが、今回のワールドカップにおける絶対的な「二強」として推しています。その背景は、何といっても「組織と個のハイレベルなバランス」・・。もう何度も、様々なメディアで書いてきましたがネ。それを「実感」できた週末ではありました。

 最後に、一言、カメルーンについて。いや、本当に彼らの「個人能力の高さ」には感心させられます。局面では、アルゼンチンの選手たちが、何度もキリキリ舞いさせられてしまって・・。それでも、その個人能力が、まだまだ「組織」として「集積」されていない。彼らの仕掛けでは、本当に「個人勝負」だけがキッカケなんですよ。だから、「仕掛けがスタートした後の決定的な流れ」のなかでの二人目、三人目のフリーランニングが緩慢。あれ程の個人能力の「集合体」なんだから、もっと、もっと期待感を高めてくれるようなサッカーができるハズなのに。

 とはいっても、最後の勝負での「個人のヒラメキ」は、本当に魅力的ではありますがネ。カメルーン代表の監督は、ヴィンフリート・シェーファーというドイツ人です。彼とは、先日、日本で行われた「FIFA会議」で、ちょっと話しました。今度、そのあたりについて、深くディスカッションしてみようと思っていますので・・。

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 さてこれから、チャンピオンズリーグを、「参加意識」バリバリで観戦します。何といっても、バイエルン・ミュンヘンと、レーバークーゼンが出ていますからネ。あ〜〜、楽しみで仕方ない。ちなみに、湯浅は「まだ」結果は知りません。本日のミーティングでも、「もし結果を言ったら、本当に死刑!」と、はじまる前に宣言してしまって・・、あははっ。では・・。




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