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小野伸二・・発展傾向は感じるけれど「まだまだ!」・・その2・・フィテッセ対フェイエノールト(2-1)・・(2002年2月18日、月曜日早朝)

20日ぶりに、小野について書きます。フィテッセ戦。相手は、明確に格下のチームです。フェイエノールトのサッカーが鈍重なのにもかかわらず、ほとんどフェイエノールトゴール前まで攻め込むことができません。とはいっても、フェイエノールトの攻めも、彼らの個人的なキャパからすれば、まさに緩慢そのもの。それぞれのプレーが、まったくといっていいほど「有機的に連鎖」せず、それぞれの局面での「単発プレー」のつぎはぎサッカーなんですよ。

 「これだよ、典型的なオランダリーグの試合は・・。とにかく、トップスリーのチカラが突出しすぎているから、どうしてもリーグ戦での緊張感が欠けるんだよ・・」、なんて思っていました。

 それでも、小野のスーパーゴール(先制点)が決まったあたりから、少しはペースアップするフェイエノールト。個人的にはかなりのレベルにありますから、まだ「単発」であるにもかかわらず、たまには魅力的で危険な攻めを魅せるようになっていきます。

 小野のゴールは素晴らしかったですよ。まず右サイドでカルーがボールをキープして「タメ」を演出します。中央にはファン・ホーイドンク。そして、そんな「前線の人垣」の後方から、小野がタイミング良く決定的スペースへ飛び出したというわけです。そして、小野の動きを明確に意識していたファン・ホーイドンクが、カルーからの横パスをスルーし、それを小野がダイレクトで決めたというわけです。素晴らしい「イメージ・シンクロプレー」ではありました。

 この試合での小野は、デンマーク代表のトマソンが出場停止ということもあって、「中央の二列目」で、攻守にわたって自由にプレーします。背中にも目があるようなダイレクトパス・・、美しくスムーズなボールキープからの柔らかいラストパスチャレンジ・・、守備でも、忠実に、必要なポジションに入りつづけるなど、全体的な印象は、決して悪くはないのですが・・。

 それでも、まだまだ不満。決定的なパスに対する感覚は健在ですし、より磨きがかかっているとは思います。それでもまだ、「完全に彼が中心になった攻撃ユニット」が少なすぎる・・って思うんですよ。

 もちろんそれは、彼に対する期待が大きということなんですがネ。攻撃ユニットの中心になる・・。それは、一つの「攻めの流れ」を小野が指揮するということです。周りの味方が彼を「探して」ボールを預け、そして小野からの次のパスを受けるためにスペースへ上がりつづける・・。そんな「流れ」が、まだまだ少なすぎる。

 前回も書きましたが、「使われた」後には、今度は積極的に「使う」という意識でプレーしなければいけないということです。そのためには、もっと、もっとボールに触らなければ・・、もっと、もっと(ボールをもった状態で)強引にでもリスクにチャレンジしていかなければ・・、そして、もっと、もっと自分からシュートを狙っていかなければ・・。

 たぶん味方の選手たちは、「小野にボールをわたしても、展開パスを回すだけでまともに仕掛けていかないし、シュートへチャレンジしていこうとせずにラストパスを狙うばかりだからナ・・」なんて思っているに違いない・・!?

 もっと、ドリブルで仕掛けていくプレーが必要ですよ。彼がドリブルするのは、もう例外なく「ラストパスのためのファウンデーション」。そのことは、相手も、味方も、十分に分かっている・・ということです。一度でもいいから、前の相手を「抜き去ってしまう」ような、またそのままシュートを放つようなドリブルを成功させれば、彼に対するイメージは、格段に「広がる」はずなんですが。また、リスクを十分に意識した「挑発的なタメ」も、もっと見たい・・、激烈な競り合いからボールを奪い返すような、闘う意志を前面に押し出した激しいディフェンスプレーも見たい・・。そう思っているのは、私だけではないに違いありません。

 何せ、あれだけの才能を天から授かった小野なんですからネ。もっと、もっと「自己主張を!」と言いたい湯浅なんですよ。

 彼は「楽しんでプレーします・・」等と言っているようですが、ギリギリの「闘う姿勢」を前面に押し出すような「本物のチャレンジ」ができるようになれば(沈滞したチームのマインドを、彼が引っ張り上げられるくらいに!)、「世界に通じる満足感(本当の意味での快感!)」を体感し、「自分主体のプレー」に対する自信も深まってくるのに・・。

 サッカーは基本的にはチームゲーム。それでも局面では、自由に(エゴイスティックに!)プレーせざるを得ない(しなければならない!)という理不尽なボールゲームでもあります。そして、そこでの「自由の意味(価値)」には、各人の意志の持ち方次第で、それこそ雲泥の・・というくらいの違いが出てきます。要は、自分の意志(意識)さえ強ければ、どこまでも「自分主体」でレベルアップできるというのがサッカーだということです。

 とにかく「ガンバレ!」、小野伸二。

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 試合ですが、一つ、一つの攻めの流れが停滞気味のフェイエノールトに対し、試合のなかで自信を増幅させていったフィテッセのプレーが、どんどんとダイナミックに発展していきます。それこそ「サッカーは、本物の心理ゲーム!」といった展開。

 後半早々に「ニアポスト勝負」で挙げた、ムバンバの勝ち越しゴールは見事の一言。そしてフィテッセが、内容的にも互角のサッカーで、貴重な「勝ち点3」をゲットすることになります。

 小野については、これからも定期的にアップしますので・・




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