そして、まず真っ先に「通信環境」を確認した次第。もちろん予想していたとおり、電話回線は「プッシュ」ではなく「パルス」。また「モジュラージャック」も、これまた予想していた通り「ロシア・タイプ」(電話線の先に付いている、透明の小さなソケットのことです・・そのタイプのジャックは、日本の空港で既に手配済み!)。それらをセットアップし、いざ接続。私のプロバイダーは「AT&T」なんですが、さすがにセットアップさえしっかりすればつながるじゃありませんか。「ヤッタ〜〜!」なんて歓声を上げてしまって・・。まあ、その「歓声」には、それ以外にも、深〜い背景があったんですがネ・・。
というのも、新装なった美しいハンブルク空港からワルシャワへ飛び、そこから電車に乗り換えてウッジに到着したのですが、そのプロセスで、遠い昔に経験した「ある感覚」が鮮明によみがえってきたんですよ。そうです・・心許ない不安。
本当に、久しく経験していなかった感覚です。私は、ドイツ留学時代の1977年に、一度ワルシャワを訪れたことがあります。ということでワルシャワは、かれこれ25年ぶり。大きく変わったに違いない・・なんて思っていたんですが、共産主義体制が崩壊してから、もう10数年も経つのに、感覚的には、以前とまったく変わっていない・・。
駅は、まず暗い(ポーランドに到着したのは午後8時ちょっと前!)、情報の収集手段もない・・。なんといっても、インフォメーションセンターがないんですから(見つけられなかっただけかも!?)。ワルシャワの空港から直行しなければならなかったのは「西駅」なんですが、間違えて「中央駅」にいってしまったんですよ(右の写真は中央駅)。そして、そこが間違った駅だと分かるまでに15分。とにかく英語やドイツ語の分かる人がいない・・。そうです、これなんですよ。やはり「言語」は、行動(発想)のベースなんですよね。言葉で苦労することは少ない方だという自負のある湯浅なのですが、そのことが逆に災いしてしまって・・。コミニュケーションがとれない(自分で情報を収集できない!)ことの不安感を、本当に久しぶりに思い出したというわけです。
でも、その15分で、昔の感性が、完璧にもどってきましたよ。そしてそこからは、とにかく手当たり次第。目があった人に、ジェスチャー、地名や駅名の連呼、はたまた紙と鉛筆を片手に・・ってな具合で聞きまくりました。そして最後に、そこが間違った駅だと分かったんですよ。そこは「中央駅」。でも私が乗る電車は、「西駅」から発車する・・。
それからは、もう大変。とにかく出発の時間が迫っていましたから、タクシーに飛び乗って紙に書いた「駅名」を示し、最後は日本語で、「お願〜い! 急いで!!」なんてネ。とにかく必死だし、もう完全に「昔の感性」だから、勢いだけは相当なものだったはず。運転手さんも、「よしっ!」ってなことを言っていたんですかネ、とにかくアクセルを踏み込んでくれましたよ。そして、私が乗る電車の発車時刻の10分前に駅に到着したんです。でも、電車のプラットフォームがない・・本当にどこにも見あたらない・・駅の掲示装置も故障して、まったく何もディスプレーされていない・・インフォメーション窓口は、既にシャッターが閉められている・・困った・・。
またまた、手当たり次第に、行き交う人に迫ってしまって・・。でも、190センチもある大男のアジア人・・、それも口ひげまではやして・・。そんな輩に迫られたら、それは避けるわナ・・。それでも、最後に、母親と娘の二人連れが助けてくれました。娘さんの方が、カタコトの英語を話したんですよ。それでやっと分かったんです。「西駅」は、バスターミナルと一緒になっている・・まず階段をおりて、地下道をかなり歩いたところに電車のプラットフォームがあるってネ。
彼女とお母さんに感謝しながら、「ヨシッ!」ってな具合に駆けだしたのはよかったのですが、それでも、プラットフォームはたくさんある・・時刻表は読みにくい(プラットフォーム毎に、内容の違う時刻表だったみたいです)・・通路も暗い、暗い雰囲気・・困った・・発車時刻まであと数分だ・・。
そして最後に「神の恵み」が・・。「どうかしましたか? 何か私で役に立てることがありますか?」。美人、いや、本当にビックリするくらいの美人。いやいや、今はそれどころじゃない。神の恵みとしか思えない「英語を話す美人の女性」に、短く「ウッジ・・プラットフォームは?」なんて、単語だけを羅列してしまったんですよ。あ〜、カッコ悪い・・。
その女性は、ワルシャワ大学に通う学生でした。「ちょっと待って!」と、すぐに時刻表を確認し、「あと1分よ!急いで、6番線へ!」と、私を連れて行ってくれたんですよ。そして、プラットフォームに上がった次の瞬間に、電車が走り込んできました。「本当に、何とお礼を言ったらいいか・・」。「何いってんのよ。とにかく早く乗って!」と、電車へ押し上げられてしまった次第。最後は、軽く握手し、手を振って「さようなら・・(本当は・・またお会いしたいですネ!)」。本当に、感謝、感謝です。笑顔も爽やかな、ブロンドの美人。そこで思い出しました。「そうだ・・ポーランドには美人が多いんだっけ・・」。
ところで、彼女が学生だっていうことを、どのタイミングで聞いたんだっけ・・。思い出せない。たぶん、単語を「羅列」した後、プラットフォームへの階段を駆け上がるときにでも、しっかりと「どうして貴女は、そんなに英語がうまいんですか・・?」なんて質問したんだろうな・・。それだけじゃなく、彼女が時刻表を確認していたタイミングで、その通路をパシャリ(右上の写真)。また階段を上りきった瞬間に、今度はプラットフォームをパシャリ(右の写真)。それぞれしっかりとカメラに収めていましたヨ。
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そんなこんなで、やっと席に落ち着いた湯浅だったのですが、今度は、車内アナウンスがまったくない・・通り過ぎる駅に、駅名の看板が見あたらない・・車掌も来ない・・。ア〜〜アッ。
仕方なく、荷物をもって、自分から車掌さんを捜しに行きましたよ。そしてやっと見つけたんですが、これまた英語やドイツ語が分からない・・。またまた仕方なく、紙と鉛筆です。そんなことをやりながら、思わぬコトを発見しました。電車は、車掌さんに見せられた時刻に、本当にピタリと、予定の駅に到着し、発車していたのです。その車掌さんは、鉛筆で時刻を書き、「この時刻に止まった駅で降りりゃいいよ・・」なんて言ったんでしょうね。そして最後に、「ウッジのファブリッチュナ駅!? あ〜〜、それは、エンド!」。要は、私が降りなければならなかったのは、終着駅だったという次第。
それにしても、ちょっとした「サバイバル」ではありました。それに比べたら、通信環境を確認し、整備するなんて「お茶の子・・」。フ〜〜!
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さて明日は、待ちに待ったポーランド戦。ドイツのブンデスリーガでも活躍している選手が多い彼らは強敵です(特に、最終ラインのバウドッフとハイトは、ドイツの雄、シャルケ04でも主力!)。ホテルに落ち着いたせいか、今度は、そのことに対する期待が極限まで高まりつづけていた湯浅でした。