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リーガエスパニョーラ・・レアルの悩みはつづく?! その(2)・・レアル・マドリー対レアル・ソシエダ(0-0)・・(2002年11月18日、月曜日)

いや、ホントに高質で面白い勝負マッチでした。リーガ・エスパニョーラ、レアル・マドリー対レアル・ソシエダ。場所は、サンチャゴ・ベルナベウ。マドリーのホームスタジアムです。ゲームを追いながら、ソシエダがリーグトップを走っている理由がよく理解できる・・なんてことを思っていました。

 たしかに概観的には、ホームのマドリーが試合を掌握しています。それでも、実質的なコンテンツを見れば、レアルがペースを握っていることこそが、ソシエダのゲーム戦術だった・・なんてことまで思えてきてしまう。もちろん、意図的に相手を攻めさせることなんて世界中のどんなチームにだって出来るはずがないから、ソシエダがイメージしていたのは、レアルの攻めを、全員が参加する組織ディフェンスでしっかりと受け止め、素早い攻撃を仕掛けていく・・という試合展開だったのでしょうがネ。

 ソシエダの守備は素晴らしかったですよ。マドリーの組み立てリズムをしっかりとアタマに描きながら「集散」を繰り返します。無闇にアタックを仕掛けるのではなく、じっくりと、ボールのないところでのマークと自分の背後スペースを意識しながらボール奪取のチャンスを狙いつづけるのです。

 互いのポジショニングバランスをとりながら、まずボールホルダーの意図を観察し、次のパスレシーバーを測る。そこでのインターセプトや、トラップの瞬間を狙ったアタックが無理な場合は、しっかりとウェイティングすることで次の展開の可能性を抑制する。その間に、周りの味方が、ピタッ、ピタッとマドリー選手をマークしてしまうだけではなく、戻ってきた選手が協力プレスに参加する。そして、素早くボールを動かすことで仕掛けてくる最終勝負にも、読みベースでしっかりと対応してしまう。

 また、ボールを奪い返してからの攻めも危険。ボールがないところでの激しい動きをベースに、縦横にシンプルなボールの動きを演出しながら、常に最終勝負の「ウラ突き」を狙っているのです。ボールホルダー(次のパスレシーバー)も、最終的なシューター(勝負のフリーランニングを仕掛ける選手)も・・。そんな、最終勝負の瞬間に対する意識の高さも、ソシエダ躍進の背景なのです。コヴァチェビッチが、ニハートが、デ・ペドロが、カルピンが、はたまた後方から上がってくるアランブルやシャビ・アロンソが、しっかり動いてパスを回しながら、「飛び出し」のチャンスをうかがいつづけるのです。

 ボール保持率はマドリーに軍配が上がるモノの、決定的チャンスメイクでは、ほぼ互角という結果でした。それも、サンチャゴ・ベルナベウにおいて・・。

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 さて、マドリー。まず、先週、サッカーマガジンの連載で発表した文章を・・。

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(11月6日に仕上げた、サッカーマガジンの連載記事です)

 今世紀最高のチームとの呼び声高いレアル・マドリー。今、その彼らが苦境に陥っている。組み立てでの独特のボールの動きが減退気味。だから、最終勝負の仕掛けにも鋭さを欠く。その原因は火を見るよりも明らか。世界のスーパースター、ロナウドである。

 ロナウドが出場したいくつかのゲームを観た。そして思ったものだ。「ロナウドは、最前線にフタをしてしまっている」。先日のリーガエスパニョーラ、デポルティーボ・ラ・コルーニャ戦も典型的な内容だった。

 ボールがないところでの選手たちのアクションが鈍い。たしかに、小さなポジション修正が素早いため、横方向へのボールの動きはスムーズだ。それでも、連鎖するスペースへのランニングが停滞気味だから、前を向き、フリーでボールを持つ選手を作り出すことががままならない。

 そんな仕掛けの起点を演出するためには、縦方向へもボールを動かすことが重要。横への足許パスをいくらつないでも、相手の中盤ブロックは、常に前を向いて次の守備イメージを描ける。ただボールの動きに、自分たちの背後スペースへも回されるような変化がミックスされてきたら・・。だからこそ、中盤だけではなく、最前線も縦横にフリーランニングを繰り返すことがキーポイントになってくる。それこそが、レアルの真骨頂だったはずだ。

 そんな有機的なパス連鎖が、最前線の中央ゾーンで足許パスばかりを待つロナウドによって大きく乱されている。最前線のフタ。まさにそれだ。

 ロナウドは、イタリアやブラジル代表でのプレーイメージから解放されていない。そこでは、止まった状態で足許パスを受け、ドリブルや、相手アタックをかわす細かなワンツーで仕掛けていけばよかった。ただレアルは違う。彼らは、最前線も積極的に絡む縦横のボールの動きで守備ブロックを翻弄しながら決定的スペースを突いていこうとするのだ。

 デポルティーボ戦では、ロナウドと交代したモリエンテスが入ってから、攻めが格段に活性化した。縦横無尽に走り回るモリエンテス。それに呼応するように、彼らのボールの動きにも独特のタテの変化が加わっていった。

 デル・ボスケ監督は、「試合をこなしていけば、ロナウド、ラウール、ジダン、フィーゴのコンビネーションも深まってくる・・」と考えているようだが、コトはそう簡単にいきそうもない。先シーズン加入したジダンの場合、組織プレーセンスでもレベルを超えていたから、初めから、味方とのプレーイメージが噛み合うのは時間の問題だった。ただ、足許パスからの個人勝負イメージばかりが極端に先行しているロナウドの場合は・・。

 サッカーチームは、様々な要素の微妙なバランスの上に成り立つ生き物とも表現できる。そのつり合いに問題が生じた場合、こだわりの強いスターを多く抱えているほど、再び均衡させるのは難しい作業になるものだ。

 さて、レアルの再生プロセスが楽しみになってきた。もちろん自分自身の学習機会として・・。(了)

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 ソシエダ戦でのレアルも、まさに「そんな」展開でした。

 このゲームでは、最前線と中盤の「中継役」として、ラウールがうまく機能してはいました。それでも、まだまだロナウドは「最前線のフタ」。プレーイメージが噛み合っていない?! いやあれは、ロナウドが「やりたい」プレーだから、どうかな・・。最終的に、天才たちの組織プレーが噛み合うかどうかは、まだまだ未知数です。

 この試合では、最後の25分間は、ジダン、フィーゴ、ラウール、モリエンテス、それにグティーという以前のメンバーに戻りました。そして、以前のリズムが戻ってきたと感じました。もちろん、最初の数分間は、ちょっとイメージシンクロ状態に停滞は見られましたけれどネ。まあ、久しぶりだから仕方ない・・。

 さて、トヨタカップまであと2週間。デル・ボスケ監督は、どのようにロナウドを、確立しているチームのプレーイメージに組み込んでいくのか・・。注目しましょう。




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