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W杯レポート(15)・・ハイレベルサッカーを展開したトルコが、「必然要素」を前面に押し出して予選を突破!・・日本と当たることになるのかも・・トルコ対中国(3-0)・・また、ブラジル対コスタ・リカ(5-2)・・そして、イタリアが予選突破したことに乾杯!・・ (2002年6月13日、木曜日)

どうも皆さん。本日は、移動を「オフ」。昨日の大阪にとどまり、メディアセンターでのテレビ観戦にした次第。少し、休まなければ・・。

 ところで昨日のことですが、またまた「バカ」をやってしまって・・。このことについては書くつもりはなかったのですが、まあ今日は、面白い「導入部」がないのでご披露・・というか恥をしのんで・・なんてネ。

 昨日、掛川から大阪へ移動したわけですが、掛川駅で切符を手に入れ、改札口を入ったところで、急に「時刻表示板」がピカリッと光ったんですよ。10時56分。アッ、あと1分だ! そのとき、発車を知らせるサウンドまで流れてしまって・・。焦って階段を駆け上がる湯浅(まだまだコンディションは十分なのです!)。そして「そのまま」の勢いで新幹線に飛び乗り、空いている席に座って「フ〜、ここはちょっと寝ていこうかな・・」なんて目を閉じたのです。でも、どうも寝つけなくて・・。目を開いたところ、列車が「ある駅」に入っていきました。「エッ・・もう浜松かい?」と駅名を見たら、なんと、静岡! ゲッ、掛川で、逆方向の電車に乗ってしまった・・。

 もう、ホント、いい加減にして欲しいんですが(もちろん自分自身に対して言っているのですよ!)、とにかくそこからは、ちょっと焦り気味に大阪へ向かったという次第。到着は、キックオフの30分前でした。

 ところで、「寝つけなかった」ことですが、それって、たぶん「神様の仕業」。イタズラはしたけれど、東京まで行かせてしまってはかわいそう・・なんてネ。どうも神様、ありがとうございました。

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 さて予選C組。もし日本がグループリーグを突破したら、ブラジル、トルコ、そしてコスタ・リカのいずれかと一回戦で当たることになります。ということで、例によって、メディアセンターで、私の目は「両方」のテレビをいったりきたりというわけです。

 勝ち点的には(表面的には)、ブラジル(勝ち点6)とコスタ・リカ(勝ち点4)が絶対有利なのですが(トルコは勝ち点1)、ところがどっこい、この上位二チームが直接対決するんですよ。そしてトルコは、予選敗退が決まっている中国との一戦。

 状況は、まさに昨日の予選B組。これについては、昨日のレポートを見てください。

 もちろん私は、トルコが出てくると思っていますよ。いくらブラジルとはいっても、状況は昔とは違いますから、「メンバーを落として」くるなんてこと、できるハズがありません。ここで、カッタるい試合をやったり、コスタ・リカに敗れて二位にでもなろうものなら、確実に、次の決勝トーナメントでの「調子」は凋落してしまうでしょう。いちどフォームを乱したら、そこから立ち直るには、ものすごいエネルギーが必要なのです。ということでブラジルは、しっかりとしたサッカーをするに違いない。

 サッカーチームは、先日も書いたとおり、本当に微妙なバランスの上に立つ「生き物」なんですよ。ちょっとでも、心理的なバランスが崩れた瞬間に、崩壊の一途をたどるということです。だから監督の仕事は(もちろんプロクラスの話ですが・・)、戦術的なことはもちろんですが、その「心理マネージャー」としてのウデが、チームの浮沈に、ものすごく大きく影響してくるというわけです。まあそのことは、あまり大きくは語られませんがネ。

 大きく語られないのは、もちろん、その「マネージメント」が、表面に出てこないからですし、外部の人間には決して分からないことだからです。

 監督や選手と「近い」人々が、「言葉」を介して想像するなんて、基本的には出来るものじゃありません。その場にいて、正確に「発言」を聞き、対峙する人々の「表情」も含めた雰囲気を感じていなければ、絶対に「体感」できるものではないということです。

 あっと、またまた、ちょっと書きすぎました。では試合レポートに入りましょう。いま、テレビ画面は、両ゲームのキックオフを伝えたところです。

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 そうしたら、あららっ・・、はじまって10数分で、すでに「行方」が見えてしまったじゃありませんか。

 ブラジルが「2-0」とリードし、もう一つのゲームでは、早々と、トルコが2点を先制してしまったのです。これで、ブラジルが一位、トルコが二位で決勝トーナメントに進出してくることは確実に・・。コスタ・リカと中国のチカラを考えれば、彼らが、その逆境を跳ね返せるとは思えませんからネ。

 ブラジルは、ロベカルとロナウジーニョを休ませ、パルマのジュニーニョと、元レイソルのエジウソンを先発で使います。そして、全員が全力プレー。これは、彼らにとっては、勝負サイクルの一環であり、そこでペースを落とすことの「悪魔のワナ」をよく知っている。だから、彼らのプレーからは、決してダレた雰囲気を感じることはありません。彼らは、完璧に「再生」したようです。

 ご存じのとおり、ブラジルの再生は、ロマーリオを外すというプロセスからはじまりました。現代サッカーでは、守備をしない選手は、もう生き残れません。それが最前線の選手だとしても・・。彼らも、ボールホルダーへのチェック、チェイシング、はたまた後方からのパスコースを切るプレーなど、忠実に、積極的に守備に参加しなければならないのです。いかにそれが「間接的」なプレーだとしてもネ。

 今は昔の「天才」たち。私も、ノスタルジーを感じます。それでも、時代が大きく変化していることを無視するわけにはいかないということです。

 昔、ヘネス・ヴァイスヴァイラーが言っていたものです。「戦術的な発想は、もうすべて考え尽くされた。これからは、スピードアップと運動量がキーポイントになるだろうな。当然、選手たちの役割も、よりマルチなものになっていくよな・・」。

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 試合は、たまにコスタ・リカが、例によっての鋭い攻めを展開するとはいっても、全体的には完全にブラジルが掌握し「5-2」で終了です。

 でも一時は、コスタ・リカが「3-2」と詰め寄った時間帯もありました(この瞬間、コスタ・リカが二位で決勝トーナメントへ!)。でも結局は、ブラジルのゲームペースが落ちることはありませんでした。

 ブラジルの再生ですが、それには、怪我で戦線離脱してしまった「エメルソン」の穴を、ジウベルト・シルバ、そして「あの天才」、ジュニーニョ・パウリスタのコンビが埋めているという事実を無視するわけにはいきません。

 特にジュニーニョ。一時期は、チャンスメーカーとして脚光を浴びた彼が、トルコ戦から(以前から!?)、守備的ハーフのシルバと、二列目のリバウドの「間」で、まさに最高のバランサー(本物のボランチ!)として機能するようになったのです。いや、それは、苦労したトルコとの試合のなかでの成長だったと見るのが正解でしょう。私は、厳しいトルコとの開幕ゲームだったからこそ、チームのイメージが(それぞれの役割に対する明確なイメージが)統一された・・と見ます。

 それにしてもブラジル。唯一無二の優勝候補として再生してしまったではありませんか。

 これからも、彼らの「トーナメントでの成長」を追っていくことにします。

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 さてこれで、見かけの勝ち点状況が(=数字的な予想が)、サッカー的なロジック(偶然と必然の交錯!)で覆されたのは、二日連続ということになります。昨日の、南アフリカとパラグアイの逆転劇と、この日のトルコとコスタ・リカの逆転劇のことです。でもまあ、トルコの進出は、必然要素の方が強かったと思いますが・・。

 逆に、サッカー的なロジック(この場合は必然要素!)からすれば、決勝トーナメントに進まなければならない存在だったフランスとアルゼンチンは・・。まあ、例よって「偶然と必然が交錯する、歓喜と落胆のドラマ」ということですかネ。

 さて、明日の日本戦はどうなるでしょう。このグループは、四チームすべてが、「まだ」決勝トーナメント進出の可能性を残しています。日本代表の選手たちには、昨日と今日起きた、二つのグループでの「ドラマの意味」をしっかりと把握して、明日のチュニジア戦に臨んで欲しいと思う湯浅です。まあ、私が言うまでもないでしょうがネ。今の日本代表だったら、「必然要素」をベースに決勝トーナメントに進出すると確信している湯浅なのですが、さて・・。

 一位抜けするのか、二位抜けするのか、それとも・・。とにかく彼らが決勝トーナメントに進出したら、ブラジル、トルコという強力なチームと、一発勝負を戦うことになります。相手にとって不足なし!

 もしこの二チームのどちらかと対戦できることになれば、そこでの「立派な闘い」を通し、日本代表の選手たちだけではなく、これからの日本サッカーを担っていく若手選手たちにとっても、何ものにも代え難い「体感」を残してくれると確信する湯浅です。

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 さて、予選G組みの「決勝トーナメント」がはじまりました・・けれど・・。

 もうプロセスは書くのをやめます。とにかく、こんなすごい展開だから、戦術的な分析なんて眼中になく、とにかく勝負の行方を追うだけになってしまって。久々に、「様々な要素を包含するギリギリのドラマ」を、心ゆくまで堪能した湯浅でした。たまにはいいでしょ?

 とにかく、イタリアが二位とはいえ、予選リーグを突破したことは嬉しい限りです。

 それにしても、世界のサッカー勢力図の「揺動」。それについては、前にも、選手移籍も含む「国際化」と、世界規模の情報化が背景にある・・と書きました。もしかしたら、数十年後のサッカー世界では、「そうそう、サッカーがこうなったキッカケになったのは、日韓ワールドカップだったよナ・・」なんて言われるようになるのかも・・。

 とにかく今回は、様々な意味で、「変化の大会」になったということです。変化こそ常態・・諸行無常・・。ナルホド・・




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