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W杯レポート(24)・・さて準決勝もう一つの勝負マッチ・・ものすごくエキサイティングな攻め合いになりました・・ブラジル対トルコ(1-0)・・(2002年6月26日、水曜日)

今朝のソウルから埼玉への移動。そこでは・・何も起きませんでしたよ。あははっ・・。

 さて試合ですが、ブラジルのロナウジーニョが出場停止になっていることを除き(代役は、レイソルでも活躍したエジウソン)、両チームともに、まあベストメンバーといえますかネ。

 (明日発売の!?)サッカーマガジンにも、「いまのボクの脳裏には、今大会屈指のエキサイティングマッチが映し出されている・・」なんて書いたのですが、とにかく期待が高まります。

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 はじまって早々に、世界トップの証明ともいえるプレーが飛び出します。タテのポジションチェンジ。演出家は、ブラジル最終ラインの重鎮、ルシオでした。立ち上がり2分のことです、ブラジル最終ラインのルシオが、ガン!と最前線まで飛び出し、一人を抜いて、最終勝負シーンを作り出してしまったのです。

 昨日のドイツもそうでしたが、このように、最終ラインの選手たちでも、まったく後ろ髪を引かれることなく「上がり切る」ことができる・・。それも、「世界」の証明だということです。

 立ち上がりでの試合内容は拮抗していますが、そのなかでは、トルコが展開するハイレベルな組織プレー(組織的な守備と、活発なボールの動き)が光っています。それに対してブラジルは、例によっての個人勝負ばかりが目立ってしまって・・。ボールがまともに動くシーンは、本当に数えるくらいです。とはいっても、それは、トルコのクレバーな守備の賜とも言えます。ポジションをしっかりと取りながら、決して無理なアタックを仕掛けることなく、忠実にマークをつづけるなど、あくまでも基本に忠実なディフェンスを展開するんですよ。まあ、ブラジルのことをよく研究しているということなんでしょうが、そこでは、とにかく安易なアタックは、まったく見られません。まあ、立ち上がりですからネ。さて・・。

 19分。立ち上がり以降、ちょっと押され気味だったトルコが、決定的なチャンスを作り出します。それも流れのなかで・・。

 左サイドを攻め上がったトルコ。そこで無理をせずに、バックパスを出し、そこから余裕を持ったクロスがブラジルゴール前へ送り込まれます。それを、「ちょっと下がった」オザランが、ビジッとヘディングシュート。これは危なかったですよ。まあ、ブラジルGKのマルコスが、横っ飛びにセーブして事なきを得ましたがネ。いや、本当に危なかった。

 このシーンですが、直前までブラジルディフェンダーに身体を預けるように最前線に張っていたオザランが、バックパスの瞬間(つまりクロスが上がる直前!)スッと下がったんですよ。1-2メートルくらい。そこに、ブラジルのディフェンダーが「詰め」ていかなかった・・。それが、まさに墓穴を掘る直前までいってしまったというシーンでした。

 でもその直後には、ブラジルが、抜群にスピーディーな「タテへの攻め上がり」から、最後は、「意図的」にフリーになった右サイドのカフーへ、決定的なラストパスを通してしまいます。相手守備を引きつけたラストパスの演出家はロナウド。まったくフリーでボールをもったカフーが、フリーシュート! GKに弾かれてしまいしまたが、素晴らしい「組織ベース」のチャンスメイクではありました。

 そしてその数分後、またまたブラジルが決定的チャンスを作り出します。左サイドから、リバウドがシュートを打ち、それをトルコGKが弾いたところを、再びロナウドが叩いたのです。それを、またまたトルコGK、レクベールが防いでしまって・・。このシーンは、まさに決定的でした。

 その後は、両チームともに攻め合うといったエキサイティングな展開になります。いや、まさにエキサイティングそのものといった攻撃サッカーを展開するんですよ、両チームともに。

 ブラジルは、中盤での組み立てに時間を割かず、とにかく誰でもいいから、直線的にトルコゴールへ!・・っていうマインドを感じる!?・・というか、この試合では、ブラジルのボールの動きが活発になってきていると感じます(立ち上がりでのブラジルに対する印象が、私のアタマのなかで微妙に変化していった時間帯!)。まあ、アクティブプレーゾーンを動かすというマインドに、ブラジルが目覚めたのか、それとも、単にロナウジーニョがいないからだけなのか・・。ロナウジーニョがいたら、彼がボールを持ったら、常に「起点プレー」しかしませんからネ。

 ということで、ピンチを何度も迎えたトルコでしたが、それでも彼らの攻めから放散されるクリエイティブな勢いが衰えることはありません。とにかく、どんなピンチを迎えても滅入ったりせず、どんどんと攻め上がりつづけるトルコ。

 彼らの「勝負ゾーン」は、かなり広いと感じます。ブラジルのペナルティーエリアまで進入しなくても決定的なシーンを作り出してしまうのです。それを象徴する一つのシーンです。

 右サイドの低い位置でボールを持ったアキュール。その瞬間、最前線のハカン・シュキュールが爆発ダッシュをスタートします。マークし切れないブラジル守備陣。そしてそこへ、まさにピタリのタテパスが通されたんですよ。ハカンのトラップミスで、最後はディフェンダーが追いつけたんですが、この「最終シーンでのマーク」に、ブラジル守備の問題が見え隠れしていたりして・・。集中力が安定しないブラジル守備ブロック!?

 でも、そんなピンチの後、今度はブラジルが、つづけざまにチャンスを作り出します。リバウドの決定的な中距離シュート! それは、トルコの天才GK、レクベールのウデの見せ所ではあったのですが、それにしてもリバウドのシュート力(中距離シュートの感覚!)はスゴイ。

 またブラジルは、その後も、ロベカルが突破して右足でシュートを放ったり、左サイドから(ロベカルから)の、決定的なニアポストスペース勝負のラストクロスが飛んだりなど(ターゲットは、最後の瞬間に、ニアポストスペースへ超速ダッシュをスタートしたロナウド!)、とにかくブラジルの危険な最終勝負が目立ちはじめた時間帯でした。

 それにしても(ブラジルが連続してチャンスを作り出したから!?)、トルコGK、レクベールの抜群のゴールキーピングも目立っていましたよ。彼はフェネルバチェ所属なんですが、今大会での活躍で、トップネーションからのオファーが来るのは確実!?

 前半の最後は、まさにブラジルの時間帯でした。それでも、大したものだったのは、トルコの攻め上がる勢いがまったく衰えなかったことです。これは、本当に、今大会のベストゲームになるかも・・なんて感じていました。

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 さて後半。立ち上がりから、またまた互いに攻め合うという展開になります。そのなかでトルコが、例によっての組織プレーから、最後は惜しいクロスを放ったりして・・。

 それでも先制ゴールはブラジルでした。後半3分。左サイドをドリブルで上がるジウベルト・シルバから、寄ってきたロナウドへパスが通ります。そしてそこから、ロナウドが夢のドリブルを披露したのです。まさに足に吸い付くドリブル。トルコのディフェンダーたちも、簡単には当たれません。そして最後は、ドリブルの「動作の流れのなか」でシュートを放ってしまうロナウド。さて、天才GK、レクベールの出番ですが、結局は触ることはできましたが、ボールは、彼の手をすり抜け、トルコゴールの右隅に吸いこまれていきました。ロナウドが魅せた特異なリズムのドリブルから生まれた目の覚めるようなゴールでした。

 その後は、攻め上がるトルコに対し、一発のカウンターを狙うブラジルという展開になっていきます。こうなったらもうブラジルのものか・・。

 その後も全員で攻め上がるトルコ。彼らの組織マインドが陰ることはまったくありません。とにかくよくまとまったチームだ・・なんて思い、シンパシーが倍増していったものです。

 とはいっても、ブラジルのカウンターの切れ味は鋭い。ロナウドに代わったルイゾンが、怒濤のカウンターから、二度も、決定的フリーシュートのチャンスを迎えてしまいます。でも決め切れない。まあ普通だったら、そんなチャンスを外しつづけたら、次にくるものは・・なんていうことになるのですが、この試合でのブラジルは、最後の最後までソリッドなサッカーを展開しました。二度ほど、マンスズとハカン・シュキュールに、決定的なチャンスを作り出されましたけれどネ・・。

 それにしてもトルコ。彼らの立派な戦いは、世界中に感動を与えたことでしょう。それは、攻撃ばかりではありません。彼らが展開した「組織的ディフェンス」も感動ものでした。ボールが奪える!!と感じたときの「選手たちの集中プレス」。まさにそれは、彼らの組織マインドの象徴でした。今後の彼らに期待です。

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 さてこれで、ワールドカップ七不思議の一つが消えることになりました。決勝でのドイツ対ブラジルの対戦。このカードが、過去のワールドカップで一度も実現しなかったことは、本当に不思議ですよネ。

 このゲームについては、また落ち着いてから、考えるところをまとめようと思っていますので・・。では今日はこの辺りで・・。




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