移動とゲーム観戦がつづくなかで(ほとんど自宅へは戻れず!)、東京中日新聞の連載(夕刊は毎日、またスポットで朝刊にも!)、朝日新聞の土曜版「Be」での連載、サッカーマガジンでの連載、週刊プレイボーイでの連載、そして一番大事な私のHPでの連載をつづけていましたし、その合間をぬって、ラジオ文化放送や「J-Wave」、はたまたスカパーへの出演などもこなしていましたから・・。大変ではありましたが、それぞれの「コンテンツ」にある程度納得できているという意味も含め、達成感はありました。
そんな生活も、明日が最後になります。ドイツ対ブラジル。まあその後に、私のビジネス関連も含め、様々な事後処理が待ってはいるんですがね。あははっ・・。
先ほど、「とにかく、どんな結果になっても、最後の最後までとことん楽しもうゼ」なんて、ドイツの友人と電話で話したところです。今朝仕上げたサッカーマガジンの記事も、ドイツにも大いにチャンスがある・・という私の背景ロジックを紹介した後に、『ドイツのことになると、どうしてもナイーブになってしまう筆者なのだ。この原稿は、決勝戦の前に書いているのだが、とにかく、「天才集団」と「職人集団」が織りなす、偶然と必然が交錯するドラマを心ゆくまで楽しもうと思っている。』という文章で締めた次第。
あっと・・、睡眠のことですが、昨夜は、午前4時頃まで原稿を書き、限界だと思ってベッドへ潜り込んだのですが、それでも朝の7時には目が覚めてしまって・・。それでも、いくつかの原稿を書いた後、午後には2時間ほど爆睡しましたよ。これが気持ちよかった。起きたときの爽やかなこと。さてこれで、三位決定戦を心から楽しめるに違いない・・。
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昨日の「プレビュー」でも書いたのですが、「三位」というポジションには、歴史に残りやすくなっている・・というだけではなく、実利(成績に応じた大会分配金)という視点でも、価値が大きくなってきています。
もちろん韓国にとっては、ホームゲームですし、アジア最初の「世界ベストスリー」ですからね。もちろんそのことは、トルコにしても同じ。素晴らしい世界デビューを果たした彼らのことですから、そのレピュテーションを確固たるものにするためにも、ここは勝って大会を終えたいところでしょう。とにかく、エキサイティングマッチを期待しましょう。
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さて試合・・なんて書きはじめたのですが、その最中のトルコの先制ゴール。この得点は、韓国の精神的支柱、ホン・ミョンボのミスから、ハカン・シュキュールがボールを奪って決めたのですが、はじまって10数秒というところでした。立ち上がりの・・というゴールなのか、それとも、この試合全体を象徴するゴールなのか・・。
その後の(9分でしたか)イー・ウヨンによるフリーキックからの韓国の同点ゴール。そしてその数分後の、マンスズ(イルハン?)によるトルコの勝ち越しゴール。フ〜〜!
要は、両チームのディフェンスに、緊張感が「少し」だけ欠けた立ち上がりだったということです。
守備を、忠実に、ダイナミックにプレーするためには、本当に強い心理・精神的なチカラ(心理・精神的なバックボーン!)が必要になります。何といっても、基本的には、相手の攻撃に対し、受け身に「対応」しなければならないというのが守備ですからネ。選手たちは、その「基本的な心の構図」のなかで、読みや、互いの有機連鎖プレーなど、できる限りのクリエイティビティー(創造性)を発揮しなければならない。もちろんそこには、味方のミスをカバーするという「自分主体」の自己犠牲プレーにも全力を尽くさなければなりません。本当に強い精神的なバックボーンが必要になるのが守備というわけです。
だからこそ、優れたコーチは(彼らのマジョリティーは守備出身!)、ディフェンス選手たちに対する心理マネージメントを(もちろん守備が、より強固な戦術イメージが必要だという事実も含めて!)優先するのです。何といっても、攻撃は「いい加減ではない自由」が基本ですからネ。
そんな心理マネージメントの優劣が、「最後の瞬間に、足が半歩でるかどうか」というギリギリのプレーに如実に現れてくるというわけです。
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それでも15分を過ぎたあたりから、両チームに、勝負の雰囲気が出てきます。もちろん、その評価のベースは、両チームのディフェンス。それぞれのプレーに、ギリギリの競り合いに対するイメージが、やっと明確に描かれるようになってきたと感じるのです。
そしてゲームが、緊張感にあふれたエキサイティングなものになっていきます。互角の展開・・というか、一点を追う韓国の勢いがトルコに勝っている・・それでも、一つひとつの攻撃ユニットの「質(=一人ひとりの技術とボールの動き等のピクチャーのレベル)」では、やはりトルコに分がある・・それに、トルコ守備の総合力の方が確実に上・・とはいっても、リードしているトルコだから、どうもバックアップの押し上げに、十分な勢いが感じられない・・といった展開でしょうか。
ということで、32分に挙げたトルコの追加ゴールは、ロジカルな帰結ということでしょう。スコアラーは、またまたマンスズ。これでトルコが「3-1」と韓国を突き放します。また直後のコーナーキックのシーンでは、ベロゾールの正確なキックを、ファーポストサイドからハカン・シュキュールが爆発的なヘディングシュートを見舞ったり(韓国GKが、足で防ぐ!)、前半終了間際には、一発のロングボールから、またまたハカンが、決定的なシュートまでいってしまう・・。フムフム。
二点目、三点目ともに、韓国のほんの「ちょっとしたミス」を突いたマンスズとハカン・シュキュールのコンビが、簡単に最終勝負に持ち込んでしまいました。基本的な状況はカウンター・・というか、韓国中盤のミスを、トルコ選手たちが見逃さなかった・・。まあ、様々なゲーム状況イメージの積み重ねとしての「経験の差」と呼ぶべきゴールではありました。
トルコは、守備固めを基本的なゲーム戦術として試合に臨んでいます。それでも徐々に、押し上げるところは、しっかりとバックアップしていくようにペースアップしていきます。特に前半の最後の時間帯での彼らのクリエイティブな攻撃は素晴らしいの一言でした。もちろん、「トラップ時のエスプリ」が満載された、素晴らしい組織パスプレーをベースにしてネ。
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後半のサッカーですが、もう両チームともに、完全に緊張感を欠いてしまって・・。それでも、緊張感を欠いているからこそ見えてくる「個の差」という視点もありましたがネ。まあ、こうなってしまっては、ベンチはもう何もできない。
サッカーは、やはり「本物の心理ゲーム」であり、「ボールのないところで勝負がきまる」ということです。これだけ両チームともに、攻守にわたって足が止まってしまっては、もう局面の1対1勝負だけ・・ということです。だから「個の差」も見えてくるというわけです。
最後の10数分間。韓国は、もう前後のバランス関係なしで攻め上がり、ロスタイムに1点を返します。まあ、でもね・・。
今大会でのトルコ。「組織と個」がハイレベルにバランスしたスマートなサッカーで大成功の世界デビューを果たしました。これで国内リーグも大いに盛り上がることでしょう。トルコの友人たちを祝福しなければ・・。
韓国については、もう語るまでもありません。これをベースに、より深くサッカー文化が浸透して欲しいと願わざるを得ない湯浅です。
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試合後の、仕事を終えた男たちのセレモニーは爽やかでしたヨ。
さて明日は横浜・・。心からゲームを楽しむぞ!