でも時間がタイトだったもので、前半は見られず仕舞い。いま後半がはじまったところです。「1-0」で、カメルーンがリードしている状況。ハーフタイムでの前半リプレイでは、エムボマが先制ゴールを決めたようで・・、それも、タテパスを受けたエトーの個人突破をキッカケにして・・またまた典型的なカメルーンゴール!? フムフム・・。
前半のアイルランドは、動きが「重かった」ということですが、天候はどうなんでしょうか。暑そうですが・・。それでも後半は、一点リードされていることもあって、アイルランドが積極的に攻め上がっています。開始早々には、ロビー・キーンからのセンタリングから、決定的なヘディングシュートが飛び出したりして・・。
でも、そのヘディングシュートの直後からは、押されていたカメルーンが、例によって、個人技「だけ」でアイルランド守備ブロックを翻弄し、攻め込みはじめます。彼らも、「守ったらマズイ!」と気付いたということなんでしょう。その一連のゲームの流れのなかで、ボールを奪ったジェレミが、決定的なシュートを放ったりして・・。
これはアイルランドにとっては厳しいゲームになるな・・、何といってもカメルーンは、守備だけは、冗談抜きで超一流だから・・。たしかに「守備でのクリエイティブな読み」は確かなレベルにあるのですが、それ以上に、彼ら高い「個人能力」が目立ちに目立ちます。1対1での競り合い状況で、アイルランドの選手がドリブル突破を成功させられる場面は、ほとんどといっていいほどありません。
これは厳しくなる・・なんて思っていた後半7分。やりましたよ、アイルランドのホランドが。見事な、本当に見事な中距離シュートを決めたのです。カメルーン守備の不用意なヘディングクリアが、ホランドの目の前に飛んでしまったという状況だったのですが、それにしても、ホランドのシュートは「丁寧」の極みでした。コースを見定め、そして腰を入れ、(低く!)抑えに、抑えたシュートが、ゴール左隅へ飛び込んでいきました。
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その後は、両者、一進一退のゲーム展開。それでもアイルランドの、攻守にわたる「全員参加のコンビネーション」が、徐々に「イメージがシンクロしたリズム」を奏ではじめていると感じられるようになってきます。例えば攻撃では、パスのタイミングも含めて、選手一人ひとりの「次」に対するイメージが相互に「シンクロ」しはじめている・・ということです。もちろん、クロスをベースにした最終勝負を、全員が鮮明にイメージして・・。
それにしてもカメルーンの「一発勝負」は怖い。後半21分には、一発のタテパスから、エトーが競り勝ち、そのままシュートまでいってしまうんですよ。中盤でのボールの動きは「沈滞」そのものなんですが、それでもしっかりとキープできるのは強み。そんな「一発のタメ(なんて表現が適当かどうか・・)」から、これまた「一発フリーランニング」へのスルーパスを決めてしまう。とはいっても、彼らの場合、複合した「有機的な連鎖プレー」は少ないですから、忠実にマークさえしていれば・・ってことです。もちろんそれでも、速さで「行かれて」しまうケースがほとんどなんですがネ。
まあ、これまで何度も書いたように、この「高い個人能力」が、彼ら(セネガルを除いたアフリカ諸国!?)の発展にとって、「両刃の刃」になっているということです。「ある程度」の成功をおさめるから、そのやり方を「変える気にはなれない」・・というわけです。もちろん、そんな考え方も、彼らの「心理的・物理的な特徴」を考えたら正しい部分もある・・とも言えますし(だからヴィンフリード・シェーファー監督も、彼らの基本的なチーム戦術に大きな変更を加えようとはしない!?)、観ている方にとっても、エキサイティングで面白いことこの上ないことも事実ですがネ・・。
「ロジカル」に過ぎるサッカー・・。それに対し、「アンロジカル」な部分が強調され過ぎるサッカー。まあ、要は、両者の「バランス」が理想イメージだということです。
その後、アイルランドの「ポストシュート」、惜しいフリーキックなどがありました。そして、アイルランドの精神力が、完全にカメルーンを凌駕した試合終了間際の時間帯。でもそのまま試合終了のホイッスルが吹かれました。
攻守にわたる個人能力の高さを見せつけたカメルーンに対し、あくまでも、全員参加の「調和したチームプレー」で、特に後半は互角以上の立派なゲームを展開したアイルランド。ここでは「ロイ」のことは過去のこととして触れずにおきましょう。
ではこれから、札幌ドームへ向かいます・・。
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次は、「A組」もう一つのカード、デンマーク対ウルグアイ。
これも、移動の関係で、前半の途中からということになりました。でも、まあ、予想された「ゲームの流れ」ということで、ほんのショート・ショートコメントだけにとどめましょう。
それは、エネルギッシュでシステマティックな中盤守備を展開するデンマークが押し込み、ウルグアイが、レコパを中心にしたカウンターを狙うという展開ではじまりました。
それにしてもレコパはレベルを超えている。もちろん、トップのダリオ・シルバとのコンビですよ。その他に絡んでくるウルグアイの選手たちは、どちらかといえば「オトリ」、または「こぼれ球狙い」。前半だけでも、3本はありましたかネ。レコパを中心とした危険なカウンターが。とにかく、2-3人で決定的なシーンを作り出してしまうんですよ。
あっと・・、デンマークの「組織オフェンス」も、もちろん危険です。あくまでもロジックに、素早く、広くボールを動かしつづけ、最後はピンポイントのクロス攻撃を狙う・・。そうです、まさにアイルランドと同じイメージのスタンダードサッカーを展開しているのです。そして、前半終了間際の見事なゴール。
左サイドで、グロンキアとトマソンが「大きなワンツー」を決め、ウルグアイの3人のディフェンダーを置き去りにしてしまう。そのワンツーの「幅」は20メートルはありましたかネ。あれ程の「大きなワンツー」だったら、まあ、どんなチームでも、一瞬「ボールウォッチャー」になってしまうでしょう。そして、左サイドの大きなスペースへ飛び出し、「ツー」のパスを受けたグロンキアが、これまた「ツー」のパスを出した後の、教科書通りの「パス&ムーブ」を実行し、ウルグアイのマーカーを置き去りにしてしまったトマソンへ、ここしかないという「ラスク・クロス」を決めたというわけです。それにしても、トマソンのダイレクトシュートは見事の一言でした。
そのとき、テレビ観戦していたメディアレストランが、大きな歓声に包まれました。「ヤー!!」とか「ワオッ!!」とかネ。ドイツ人が多いんですよ。これからドイツの初戦ですからネ。たしかに、ヤツらはフットボールネーションからきたサッカーの強者たちだ・・なんて思っていました。
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後半の2分、ウルグアイ中盤の「ダイナモ(発電器)」、ダリオ・ロドリゲスが、浮き球の横パスを見事にボレーで叩き、「ゴール・オブ・ザ・デイ!」とも呼べる美しいシュートを決め、同点とします。いや、ホント、見事!
その後は、一進一退・・というか、やはりデンマークが、全体的にはペースを握っているといった展開です。トマソン、ヨルゲンセンなど、技術レベルが高い選手に、トーフティングに代表される「汗かき」プレーヤーが、うまく絡んでいく・・。もちろん、トマソンにしても、ヨルゲンセンにしても、ボール絡みだけではなく、ボールのないところでも、また守備でも、ダイナミックな積極プレーを繰り広げます。まあ彼らが、デンマークが展開する「ダイナミックなバランスサッカー」のイメージリーダーということなんでしょう。
そんな、全員攻撃、全員守備のダイナミックサッカーからすれば、また全体的なゲーム内容からすれば、終了間際に挙げたデンマークの決勝ゴールは、やはり「順当」とするのが妥当でしょう。
さてこれで、次の「セネガル対デンマーク」の試合が、本当に楽しみになってきました。私は、この試合が「Aグループのキーカード」になると前々から予測していましたから、しっかりと「FIFA」に対してプレスチケットを申請してありましたよ(もちろん許可!)。多くの原稿を抱えての「移動」は厳しいものになりますがネ(翌日は、札幌でアルゼンチン対イングランドですよ!)。フ〜〜。
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さて最後は、ドイツ対サウジアラビア。湯浅の「気合いレベル」は推して知るべしです。
というハイテンションで試合を見はじめたわけですが、「前にレポートした二試合」の4チームとは違い、より深い見方ができる・・なんて感じていました。やはり、チームを「知っている(もちろんよく観察しているという意味ですよ!)」というのは、分析のためには大事な要素になりますよネ。それがないと、どうしても「個人で目立つ選手」や、「全体としてどのような守備システムをとっているのか」とか、「どのサイドから、どのような傾向の攻めを組み立てているのか」といった「概要的な印象」が主になりますからネ。
さてドイツ。良かったですよ。まあ点差もそうですが、とにかく、ミロスラフ・クローゼという「才能」が、チームの一員として迎えられ、本当の意味での「主力」として活躍できはじめたことが大きい。
いくら才能があっても、プロのチームに「溶け込むまで」には時間がかかるものです。それがドイツ代表ともなればなおさらネ。私は、自分の目で、その「プロセス」を追ったこともあります。もちろん70-80年代のハナシですが、事情が大きく変わったとは思えません(もちろん、友人の現代表コーチとも、そのことについて話しましたが、まあ微妙なテーマなので明確には言わない・・)。
だからこそ、クローゼが、こんな短期間で、ドイツ代表の「定位置」を掴み取ったことを驚くとともに、その幸運を(もちろんドイツ代表にとっての!)喜んだのです。
クローゼは、ドイツ代表チームにとって、久しぶりに、大きなプラス戦力の「若手の新人」ということになります。ダイスラーがケガ気味だったから、バラック以来ということになりますかネ。
後は、ストッパーのメッツェルダー(先発メンバー)、そしてセバスチャン・ケール(ベンチで、この試合では出番なし!)に、早く「大化け」して欲しいと願っている湯浅です。そうすれば、徐々に「2006の骨格」が見えてくるじゃありませんか。
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さて試合ですが、最初からサウジが「格の違いに対する勘違い」からビビリ気味。どうも、攻守にわたって、吹っ切れたプレーができません。
まあ、サッカーは本物の心理ゲームだということの証明なのですが、だからサウジは、中途半端なカタチでボールを奪い返され、そのままカウンター気味の「素早く・直線的」な攻めを食らってしまう・・というわけです。また守備でも、ギリギリ厳しさが見えてこない。ミロスラフ・クローゼの先制ゴールが決まるまで、2-3本ありましたかネ、決定的なピンチが・・。
ドイツの攻撃は、とにかく手数をかけないシンプルなもの。「クロス攻撃(ヘディングシュート&こぼれ球ゲット狙い!)」と「ロング・中距離シュート狙い」に特化していると感じます。ちょっと極端な表現ですが、中盤での「ゲームメーカー&チャンスメーカー」がいないから仕方ない・・ということです。
この試合では、ハーマンが中盤の底を務め、その前に、バラックとベルント・シュナイダーの「二列目コンビ」が並びました。たしかにシュナイダーは、まあまあ「うまい」選手ではありますが、それでも二列目でタメを演出したり、中盤でのスペースをつなぐドリブルで相手守備ブロックを攪乱するなんていう「塩コショー・プレー」では、まだまだ。それは、バラックにしても同様です。だからこそ全員が、「統一されたイメージ」のサッカーを展開できているというわけです。まあ、メーメット・ショル、セバスチャン・ダイスラーという「クリエイティブな選手たち」がケガで戦列を離れたからの出来事ですから、「怪我の功名」って言えそうです。
そして彼らは、「だからこそ」守備に全力を注ぎ、シンプルな攻撃を、「忠実」に繰り出しつづけるのです。こうなったときのドイツは、強い・・(はずだ・・)なんてネ。
まあ次のアイルランド戦まで、彼らに対する深い評価はペンディングということで・・。
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さて明日は、朝一番のフライトで札幌から成田へ移動し、そのまま鹿島(ナイジェリア対アルゼンチン)へ直行です。家を出たのは「5月30日」なのですが(ソウルへ!)、そのときは、成田まで愛車を飛ばし、成田にある「貸しガレージ」に保管してもらっているというわけです。もちろん、オートバイで成田へ行くことは、事前に「天気予報」をしっかりと見てから決めましたよ。でも、本当に「天気」は大丈夫だろうか・・。ずぶ濡れでスタジアムへ行くわけにはいきませんからネ。では皆さん、また明日。