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W杯レポート(5)・・まだまだ課題はあるけれど、とにかく「主役の一人になるべきブラジル」の白星スタートを喜んでいる湯浅です・・ブラジル対トルコ(2-1)・・(2002年6月3日、月曜日)

どうも皆さん。昨日の夜中、2300時から2430時までスカパーの情報番組に出演し、彼らが用意してくれたホテルで仮眠をとって、翌朝0900時から1200時までのレギュラー情報番組に出演してきました。

 今日は、「観戦休息日」ということにしたのは正しい選択ではありましたが、その代わりに、スカパーからの番組出演をオーケーした次第。それに夜には、ラジオ文化放送のスタジオに入り、1時間半番組に出演します。今日は、その他にも、週刊プレイボーイの原稿、東京中日新聞の原稿、また私のHPの原稿を上げなければいけません。ちょっとオーバー気味・・?? まあ、とにかく後で、落ち着いてから、自分の為したことの意味を評価することにしましょう。

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 さてスカパー出演の後、すぐに自宅へ戻り、食事をとってからクロアチア対メキシコを観戦。この試合については、やはり・・というか、クロアチア選手たちが「歳をとった」という印象が強くて・・。残念でなりませんが、以前のような、自由自在のクリエイティブサッカーを堪能する・・というわけにはいきませんでした。対するメキシコにしても、「イメチェン」というところまでは発展していない・・。

 ということで、メキシコが先制し、クロアチアのディフェンダーが退場になったところで、ラジオ文化放送に出演するために、四谷まで移動した次第。

 そして、文化放送のスタジオの前に設置されたプラズマディスプレー大画面の前で、ラップトップ(マッキントッシュ・パワーブックG4)をヒザにおき、ブラジル対トルコの観戦をスタートしました。

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 ブラジルでは、中盤の「重心」、エメルソンが、考えられないアクシデントで戦線離脱してしまいました。「遊び」のミニゲームで、ゴールキーパーをやり、横っ飛びにボールを押さえようと変に倒れて肩を脱臼してしまったということですが・・。

 まあ、そんな「遊び」は日常茶飯事だし、それがチームを一つのまとめる「心理的な機能」をもったり、選手たちのリラックスした雰囲気を演出しますから、絶対に必要なんですが・・。とにかく「不運」だったとするしかありません。この「遊びゲーム」について、もし、「大会期間中なのだから、できる限り危険因子を排除すべき云々・・」等といった議論が出てきたとしたら、本当に馬鹿げたことです。

 でもブラジルが心配。何といってもエメルソンは、中盤の重心(=陰のゲームメイカー)でしたからネ。それが、代表チームに、どのような影響を与えるのか・・。

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 さてブラジル対トルコ。

 ここのところ、トルコもヨーロッパのサッカーシーンで、存在感をアップさせています。ということで、予想したとおり、たしかにブラジルが押し気味だとはいえ、トルコも、しっかりと攻め返すというエキサイティングな展開になります。

 押し気味のブラジルだし、何度かロナウドが抜群の突破力を魅せるなど、やはりブラジルかな・・なんて思っていたのですが、15分も過ぎたあたりから、トルコも、組織的な攻めを展開するなど、クオリティーの高さを見せつけはじめたのです。いや、面白い展開になりそうな・・。

 ブラジルで気付くのは、やはり、ボールの動き。パスはつながるし、しっかりと「アクティブプレーゾーン」を動かしはするんですが、どうも、最終の勝負を仕掛けていくタイミングが早すぎる・・そしてそれが、あまりにも個人勝負(ドリブル)に頼りすぎている・・と感じるのですよ。もっとボールを走らせなければ、相手守備の薄いゾーンをついていくというスマートな仕掛けができるはずがない・・。

 この試合では、ジュニーニョ・パウリスタが「2.5列目」でバランサーを務めているのですが、どうも「その後方にいるべき陰のゲームメーカー」の不在が目立ってしまって・・。要は、前が詰まり気味になったときに、ペースチェンジを演出する中盤リーダーがいないということなんですよ。やはり「エメルソンの穴」!? まあ、仕方ないですよネ。何といっても、アクシデントの発生が昨日のことなんですから・・。

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 それにしても、トルコが魅せつづける、全員での組織ディフェンスは、良い、良い。とにかく、アブナイ・・と感じたら、二列目のバスチュルクでさえ、最後まで「ボールのないところ」でのマークをつづけます。ブラジルの「ボールのないところでの勝負の府フリーランニング」は素晴らしいのですが、それが「単発」だから、トルコ選手たちも、マークのイメージを描きやすい・・ということです。もっとボールの動きを活発にすれば、絶対に「穴」ができてくるものなのですがネ。要は、ブラジルの「最終勝負の仕掛け」が明確に見えてしまう・・ということです。

 そんな「ミエミエの仕掛け」でも、突破して、シュートチャンスを作り出してしまうチカラは本当に大したものなんだけれどな〜・・なんて思っていたら、前半の39分に爆発しましたよ、ブラジルの「一発勝負」が。演出家は、左サイドで「ミエミエのパス」を受けたロナウド。そこへ二人のトルコディフェンダーが寄っていきます。それでもロナウドは、パスをしたり、味方とのコンビネーションプレーで仕掛けていく気などはまったくない。「ここはドリブル勝負だ!!」。

 普通だったら、確実に潰されてしまう状況なのに、やはりそこはロナウドでした。ズバッと、マークする相手を「サイドに外し」、そのまま、フィーリングあふれるラスト・センタリングを、トルコゴール前へ送り込み、それが、相手の二人のディフェンダーの「間隙スペース」にポジションをとっていたリバウドへ、そのクロスボールがピタリと合ったという次第。ミエミエの単発勝負でも、最終勝負シーンまでいってしまうブラジル。それは、それでとにかく素晴らしいの一言なんですがネ。

 また、リバウドの惜しい中距離シュートや、単独ドリブル勝負からのロナウジーニョの決定的チャンスなど、ブラジルの「レベルを超えた単発勝負」が目立ちに目立ちます。

 これは、何とかブラジルがゴールを奪って逃げ切る展開になるのかな・・なんて思っていた前半ロスタイム。やってくれましたよ、バスチュルクが・・。

 ブラジルが攻撃を組み立てはじめようとしたところを、タイミングのよい「集中ディフェンス」でボールを奪い返したトルコ。そこでボールをもったバスチュルクが、タメに、タメる「前進キープ」を披露します。チョン、チョンとボールを押し出しながら前進するバスチュルク。ブラジル守備ブロックの「視線と意識」を引きつけます。

 この「ワナ」に引っかかった選手のなかにカフーもいました。ブラジルが「さあ、攻めるぞ」というところでボールを奪い返されたため、ちょっと上がり気味のポジションから戻ってこなければならなかった、ブラジル右サイドのカフー。彼こそが、最後のシュートを決めたトルコのハッサンを、最終シーンでマークしなければならなかったディフェンダーだったのです。それが結局、最後はボールウォッチャー気味になってしまって・・(または、「パスなんてこないよ・・」と、タカをくくったのかも・・)。その瞬間に、前にいたハッサンが爆発スタート。もう誰もマークできません。そして・・。とにかくシュートは「見事!」の一言でした。

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 後半の立ち上がり。ブラジルは良いペースで試合に入っていきます。でも、やはり「早すぎるタイミングでの一発最終勝負」が目立つ傾向には変わりはない。フムフム・・。

 それだったら、もっと、外から攻めれば、中央突破も有効になってくるのに・・なんて感じていたときのことです。やってくれましたブラジルが(ちょいと、同じような表現が多くてすみませんネ・・)。

 中盤でのタメから、左サイドでフリーになっていたリバウドがボールを持ちます。それが勝負の瞬間でした。中央ゾーンにいたロナウドが、「明確なイメージ」に誘われた爆発ダッシュトをスタートしたのです。マークするトルコディフェンダーの背後を「回り込む」ような「扇形コース」を描くような全力フリーランニング。その瞬間、そのトルコディフェンダーにとって、ロナウドは「消えて」しまったに違いありません。

 そして、回り込んだロナウドが、そのまま、トルコゴール前の、二人のディフェンダーの間にできたスペースへと突進していくのです。そしてそのスペースへ、リバウドからカーブセンタリングが糸を引いたことは言うまでもありません。素晴らしい、本当に素晴らしい同点ゴールではありました。

 「そうだよ! そんな風に、シンプルに外へ開いて、シンプルなタイミングでクロスを上げればチャンスになるんだよ! なんたって、そのタイミングさえイメージできたら、パスレシーバーだってしっかりと動くんだから!」なんて、リキを入れて思っていた次第。

 そんな「シンプルなリズム」が、勝負のフリーランニングを生む。そのフリーランニングが、「最終パスを呼び込むパワー」を放散するっちゅうわけです。

 その後は、もうブラジルのペース。でも、ベンチが、どんどんと選手交代をしてしまい、結局それが、(これまで、それしかなかった!?)「前への勢い」までも殺いでしまったと感じます。左サイドのデニウソンは、ドリブル突破「しか」イメージにない・・。トップの中央に入ったルイゾンは、ボールをもっても、またボールのないところでも決定的な仕事ができる雰囲気さえかもし出せない・・。中盤に入ったバンペッタは、まったく攻守の牽引役になれない・・。

 そしてゲームが包含するエネルギーが、どんどんと沈滞していく・・。「これは引き分けだな・・」。そんなことを思っていた後半終了間際。一瞬のトルコのミスから!?(ごめんなさい・・このシーンは、ラジオの番組打ち合わせで、正確に見ていませんでした)、ブラジルのルイゾンが、まったくフリーで抜け出します。そして、そのルイゾンを、後ろから追いかけてきたトルコのディフェンダーが、ユニフォームを引っ張って引き倒したのです。

 結局PKの判定だったのですが、引き倒したのは、明確にペナルティーエリアの前でしたから、「あれ」は、そのポイントからのフリーキックというのが正しい判定でした。まあレッドカードは当たり前ですがネ。

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 ということで、薄氷の勝利を拾ったブラジル。これから誰が、エメルソンの「穴」を埋めるんでしょうか。まあそれも含めて、これからブラジルが、どこまで自分たちのサッカーを、大会期間中に発展させることができるのか・・。興味がつきないじゃありませんか。

 そのことに「だけ」注目するのも、一興ではあります。

 とにかく、大会主役の一人になるべきブラジルが、白星スタートを切れたことは、本当によかった・・と思っている湯浅です。もちろん、ドイツと関係の深い選手が多いトルコにも、大いなるシンパシーがある湯浅なのですがネ・・。

 トルコはチカラのあるチームです。必ずや、予選を勝ち抜いて決勝トーナメントに駒を進めてくることでしょう。ブラジルの発展とトルコの決勝トーナメントへの進出に対し、限りない期待を込めてキーボードを打つ湯浅でした。

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 この原稿は、文化放送の生番組、ラジオ「J-Wave」への電話出演、東京中日新聞のための二つのコラムを終えた後で書きはじめたため、終わったのは0200時でした。誤字、「てにおは」、繰り返し等々、読みにくい所も多々あったでしょうが、最後まで読んでいただいて感謝している湯浅でした。

 では、オヤスミなさい・・。




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