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03-04チャンピオンズリーグ・グループリーグ最終戦・・またまた、ギリギリドラマのオンパレード・・(2003年12月12日、金曜日)

どうも皆さん。やはり、チャンピオンズリーグレポートもアップしておかなければと思い立ち、キーボードに向かいました。何せ、グループリーグ最終戦ですし、ギリギリのドラマのオンパレードでしたからね。書き残しておくことへの意欲が活性化されてしまったというわけです。とはいっても、ここのところ記録しておかなければならない試合が連続していることもあって、ちょいと疲れ気味ですから、とにかく「軽く&楽しんで」レポートすることにした次第。

 さて、ドラマ・・まあ、何といってもグループ「A」ですかネ。

 前節までの状況を「軽く」復習しておきまししょう。順位は、グラスゴー・セルティック(勝ち点7、得失点+2)、アンデルレヒト(勝ち点7、得失点-1)、リヨン(勝ち点7、得失点-1)、バイエルン・ミュンヘン(勝ち点7、得失点±0)の順。この状況での最終節の対戦カードは、リヨン対セルティック、バイエルン対アンデルレヒト(最初のチームが常にホームです)。そんな状況ですから、両マッチともに、血わき肉おどるギリギリのドラマが展開されたことは言うまでもありません。

 いやホント、手に汗握って観戦していましたよ。もちろん私はバイエルンの応援。情緒的な「ノリ」ですから、戦術的な内容に対する分析が(戦術コンテンツに対する観察イメージが)後回しになるのも仕方ない・・。要は、どちらかというと「ボールを目で追い」、局面の競り合いに一喜一憂していた湯浅だったということです。

 とはいっても、全体的なゲームの流れについては、イメージ的には掴んでいたつもりです。それは、こんな感じでしたかネ・・。

 立ち上がりは良いペースで攻め上がるバイエルン・・ゼ・ロベルトやバラックが何度か決定的なチャンスを作り出す・・組み立て・展開の中心は、やはりバラック・・また彼は、ここぞの勝負所では、どこからともなく最前線に顔を出してくる(二度、三度と決定的ヘディングを放つ!)・・そんな「消える勝負所プレー」こそが彼の真骨頂・・そんなバラックの仕掛けプレーを効果的に支えていたのが守備的ハーフパートナーのハーグリーブス・・この試合では、サンタ・クルスとピサーロが組む(二列目の)チャンスメイカーコンビが効果的プレーを展開している・・でも左サイドのゼ・ロベルトはどうも冴えない・・。

 でも、15分を過ぎたあたりからアンデルレヒトの守備ブロックが落ち着きを取り戻し、(特に)ボールがないところでのバイエルンのアクションを抑え込むことでバイエルンの攻撃の芽を摘んでいく・・立ち上がりのように「流れのなか」でのチャンスメイクはうまく機能しなくなったけれど、今度は、コーナーキックやフリーキックといったセットプレーからの単発チャンスに賭けるイメージが強くなっていくバイエルン・・対するアンデルレヒトも徐々にワンチャンスを作り出しはじめるが(中距離シュート!)ゴールを奪うまではいけない・・そんな膠着状況がつづくなか、ドラマは唐突にやってきた・・前半終了間際の42分、クロスに合わせようとしたピサーロが突き倒され、バイエルンにPKが与えられたのだ・・冷静に、しかし力強くアンデルレヒトゴールに突き刺すマッカーイ・・結局それが、このゲーム唯一のゴールとなったけれど、そこからホンモノのドラマがはじまった・・ってな具合でした。

 とにかく、後半の「ギリギリのせめぎ合いドラマ」は見所満載だったのですよ。そして観ている(バイエルンをサポートする)こちらは身が縮まる思い・・。それは、それは手に汗握る展開になりました。

 もちろん後半は、アンデルレヒトが押し込み、バイエルンが必死に守るという展開になったことは言うまでもありませんよね。そこでのバイエルンは、ある意味、「心理的な悪魔のサイクル」に陥っていたといっても過言ではなかったのかもしれません。バイエルン監督のオットマール・ヒッツフェルトが、「選手たちは、昨年シーズンの二の舞を心底怖がっていた・・」と言っていたということですが、まさにそんな展開になったということです。昨年の二の舞・・一次リーグ敗退・・。

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 ボールを奪い返してタテパスを出しても、前線が孤立しているからすぐにボールを奪い返されて押し込まれつづけてしまう・・守備にしても、相手ボールホルダー(次のパスレシーバー)に対するチェイス&チェックアクションが緩慢だから、どうしても相手の攻撃を追い込むというところまでいけず、簡単にクロスボールを送り込まれてしまったりする・・それは、心理的な確信レベルが低落気味だから、読みをベースにした素早く確実な守備アクションが影を潜め、受け身で消極的なプレーに終始してしまっているということか・・要は、ディフェンスの起点(相手ボールホルダーの抑制ポイント)を作り出せないから、アンデルレヒトに、いいようにボールを動かされ、どんどんと攻撃の起点(仕掛けゾーンでの、フリーのボールホルダー)を作り出されてしまうということ・・たしかに、スルーパス&フリーランニング(パス&ムーブなど)による仕掛けコンビネーションや、意を決した突破ドリブルなどで守備ブロックがズタズタに切り崩されてしまうなんていう崩壊シーンはないけれど、大柄でヘディングが強いアンデルレヒトに、簡単にクロスを入れられてしまうのだからピンチの連続になってしまうのも道理・・なんていう、冷や汗の展開がつづくのですよ。観ているこちらは、本当に気が気ではない。

 とはいっても、そんなじり貧の展開のなかで、何度か、戦術的な好奇心を刺激する「現象」がありました。それを確認した瞬間、目が洗われたような気にさせられたものです。そんなポジティブ現象を演出したのは、押し込まれているバイエルン・ミュンヘン。彼らが、ある「小さなプレー」をキッカケに、全体的にゲームを押し返し、チャンスまで作り出した時間帯があったのです。本当に興味深いシーンでした。

 キッカケになったのは、戻って(中盤の低い位置で)タテパスを受けたマッカーイの、クレバーなボールキーププレー。要は、味方の押し上げを「確実に待てるプレー」だったというわけです。スッ、スッと、アタックしてくるアンデルレヒト選手をかわすマッカーイ。周りのバイエルン選手たちは、そんなボールキーププレーを観ながら、「ヤツは、確実にボールをキープしてくれる・・」と確信できたに違いない・・だからこそ、バラックやハーグリーブス、はたまたサリハミジッチやリザラス等も押し上げることで、前方に「パスレシーブポイント」を演出することができた・・。

 そんな一連の「流れ」をキッカケに、バイエルンが全体的に押し上げ、逆にアンデルレヒトを押し込んでいったのです。要は、ほんのちょっとした「心理的なキッカケ(確信レベルの高揚)」によって、バイエルン選手たちが「悪魔のサイクルという袋小路」から抜け出し、攻撃を活性化することができたというわけです。

 マッカーイの確実キープ・・。そんな、ほんのチョットした「キッカケプレー」がゲームの流れを全体的に逆流させてしまったというわけです。これもまた、サッカーがホンモノの心理ゲームだということの証でしょう。だからこそ興味深いシーンだった・・。

 でも、バイエルンが、そこで作り出した決定的チャンスを決め決めなかったということで、その後は、再び、アンデルレヒトの「失うモノが何もない心理パワー」が勢いを増幅させてバイエルンを押し込んでいくのですよ。あの、押し返した時間帯がまるでウソのように・・。

 そんな展開を見ながら、「バイエルンの強者たちは、押し込まれている状況を打開し、ゲームをダイナミックに均衡させるためには、中盤ディフェンスのダイナミズム(活力)をアップさせるしかないということを知らないはずがないのに・・」なんて思っていましたよ。

 とはいっても、ダイナミックな守備を展開するためには、味方との息が合わなければならない。要は、一人が頑張っても、周りが呼応しなければ効果的なディフェンスプレーを展開できるはずがないということです。サッカーは、有機的なプレー連鎖の集合体ですからネ。だからこそホンモノの心理ゲーム・・。特にディフェンスでは、互いのプレーが正確に「リンク」することが求められます。だからこそ、その連鎖状態を維持するためにグラウンド上のリーダー(強烈なリーディングパーソナリティー)が決定的に重要なタスクを担うというわけです。でもバイエルンには、以前のマテウスやエッフェンベルクのようなリーダーが見あたらない。やはり、バラックはまだまだ?! そんなハズはないとは思うのですが・・。

 アンデルレヒトが繰り出す、クロスボールやセットプレーからの仕掛けによって次々とピンチを迎えるバイエルン。「オイオイ、何とかしろよ! もっと球際を抑えなきゃ・・」なんていう悲鳴に近い声が出てしまうのも当然といった、フラストレーションがたまる展開がつづいてました。そしてそれが頂点に達したのが、残り数十秒というところで飛び出した、イアチュチョウクのボレーシュート場面。

 その瞬間「アッ、やられた・・」と覚悟を決めたものです(引き分けではグループリーグ敗退!)。でも、その強烈なシュートは、オリバー・カーンが弾いてくれた・・。そのセービングは見事でした。ボレーシュートに対する鋭い反応もさることながら、そこでのセービングのテクニックや、どちらの方向へボールを弾くのかという冷静な判断なども特筆ものでした。それは、サニョールが確実にフリーで追いつくことを確信した、右サイドのスペースへのセービングだったのです。

 そんな「鋭いゴールキーピングアクションのなかでも保ちつづける冷静さ」こそが、オリバー・カーンに対する高い評価のバックボーンにあるということです。試合後に、選手たちのほとんどが、素晴らしいゴールキーピングをつづけたカーンを祝福していた(感謝していた)シーンが印象的でした。

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 このゲーム以外にも、同じ「Aグループ」のもう一試合、リヨン対グラスゴー・セルティック戦(結局リヨンのドラマチックPKが決まってリヨンが決勝トーナメント進出!)、「Bグループ」のアーセナル対ロコモティーフ・モスクワ戦とディナモ・キエフ対インテル戦(私もサポートするアーセナルが決勝トーナメント進出! またディナモ対インテル戦が1-1の引き分けに終わったことで両チームともに予選落ち!)、グループ「C」、グループ「G」、グループ「H」などなど、ドラマチック勝負マッチがてんこ盛りのグループリーグ最終日でした。

 でも今日はこのあたりで・・何せ夜中には、ワールドユース準々決勝(日本対ブラジル)もありますしネ・・。




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