トピックス


ヨーロッパの日本人・・今週は、まず高原直泰から・・(2003年2月23日、日曜日の早朝)

あららっ、ハンブルクが完敗を喫してしまって・・(0-2)。相手は、現在最下位のカイザースラウテルン。彼らのホームです。これで、11試合負けなし(5勝6引き分け)の記録がストップしてしまいました。

 カイザースラウテルンは、今回のドイツ出張中に、シャルケとの一戦を観ました(シャルケのホームゲーム)。この試合でのカイザースラウテルンは、粘りのプレーをつづけ、終了直前の同点ゴールで「2-2」の引き分けに持ち込むことができました。それでも内容では、やはり上位と下位との差を感じたものです。それが、この試合での彼らは、上位グループに属するハンブルクを相手に、完全にゲームを牛耳ってしまいます。前半だけでも、4-5本は決定的なチャンスを作り出しましたよ。そして後半はじまった早々の(後半6分)、ロクヴェンツの先制ゴールとクローゼの見事なダイレクトシュートで、ハンブルク相手に、見事な勝ち切りを演じたというわけです。

 カイザースラウテルンの前線は、言わずと知れたクローゼとロクヴェンツのツートップ。二列目に、ドミンゲスとリンコン、そして三列目の守備的ハーフコンビを、アンファングと、バイエルン・ミュンヘンから出戻ったスフォルツァが組むといった布陣です。

 この試合では、特にドミンゲスとスフォルツァが目立ちました。ポルトガル代表で三試合出場したという選手ですが、彼のドリブルが素晴らしいアクセントになっていました。そしてスイス代表の重鎮スフォルツァ。そんなに目立つわけではありませんが、攻守にわたる貢献度では、誰よりも目立つ存在でした。

 私がシャルケで見たときは、この二人はいませんでした。だから、目を見張るパフォーマンスアップの最大の要因がこの二人だったとするのが自然だと思う湯浅です。

 対するハンブルク。前半はまったくうまく機能していませんでした。それには、ここまでの成果に担い手の一人だったマルトリッツが、ケガで(?!)早々とグラウンドを後にしたことが痛かった。そのことで、中盤のダイナモ(発電器)であるベンジャミンの、攻撃での押し上げが消極的になったと思うのです。ガンガンと押し上げてくるカイザースラウテルンの攻撃を受け止めるのに四苦八苦していたということです。

 また、ハンブルクのクリエイティブリーダーであるべきカルドーゾの出来も低調の極み。前節のヴォルフスブルク戦では先制ゴールを挙げたものの、実質的なプレー内容自体は、まったく納得のいくものではありませんでした。その悪い流れが、この試合でもつづいていたと感じます。何せ、守備に入っても中途半端だし、スピードで置いていかれちゃう(それも、ベンジャミンが押し上げられなかった要因の一つ!)。また攻撃では、彼がスピードをダウンさせてしまう傾向が強いし、以前のようなリスクチャレンジプレーは影を潜め、単なる中継プレーばかりが目立つ、そして絶対的な運動量が少なく、意志を込めた全力ダッシュもほとんどない・・ってな具合。

 これだったら、彼を外してメイエルを入れ、バルバレスを二列目にした方が何倍もいい・・なんて思っていたら(ホントにそう思っていた時だったら自分でも驚いた!)、本当にヤーラ監督が動きましたよ。カルドーゾに代えてメイエル。そしてバルバレスが二列目の中央へ。後半13分のことです。でも、その交代の直後に、クローゼに、素晴らしいシュートで二点目を決められてしまって・・。

 さて、メイエルと高原のツートップに、二列目のバルバレスが絡んでいくという布陣ですが、それは、高原がデビューしたハノーファー戦の後半で試したものです。その時は素晴らしく機能し、2-0の劣勢から同点に追いついたものです。

 「そうなんだよ。アレも一つの有力なオプションということなんだ・・」。ドイツ出張中に話したハンブルクのコーチ、ロイタースハーンがそう言っていたものです。それには、エースのロメオが復帰してきたら・・というニュアンスも含まれているに違いない?!

 とにかく、バルバレスが「明確な二列目」に入ってからは、やっとハンブルクのゲーム内容が改善し、効果的な攻めが組み立てられるようになったことだけは事実でした。まあそれには、カイザースラウテルンが既に二点をリードしたということもあるのですがね。ゲーム終盤には、バルバレスのヘディングからチャンスが生まれただけではなく、バルバレス自身の決定的シュートチャンスもありましたよ。でも結局はノーゴールで試合終了ということになってしまいました。

 そんな流れですから、当然、高原のプレーも良くなってきましたよ。前半は、まったくといっていいほど良いシーンを作り出せなかった高原でしたが、やっと「良いカタチ」でボールを受け、最終勝負を仕掛けていけるようになったのです。左サイドで相手を振り回して素晴らしいクロスを上げるという見せ場も作りましたしね。とはいっても、高原の全体的なパフォーマンスは、まだまだ・・。

 「行ける」能力はあるのだから、マハダビキアみたいに、もっと振り向いて、強引にドリブル勝負を仕掛けていってもいい。もちろん、組織プレーとのバランスを保ちながら・・。やはり高原は、組織プレーベースの個人主義者であり、決してマラドーナではないということです。

 基本的には私は、高原についてはそんなに心配していません。ボールがないとろでの活発な動きや、高い組織パスプレーマインド、ここが勝負というところでのリスキープレーにチャレンジしていく勇気、また前線からの守備参加意識など、プレーヤーとして基本中の基本である、自分から仕事を探す姿勢を十分に備えていますからね。

 さて、ロメオが復帰予定の、次節ベルリン戦。ハンブルクはどのような布陣で臨んでくるのでしょう。私は、前述の「アイデア」の確立が高いと思っています。確かにロメオは、ゴール前のエゴイストですが、それでも能力は高いから、高原とも、面白いコンビネーションが見られるに違いないと思っている湯浅なのです。

---------------

 さてスフォルツァ等の優秀な新加入選手たちが機能しはじめ、サッカーの質が格段に良くなりはじめているカイザースラウテルン。たしかにまだ最下位ではありますが、下位7チームは、「勝ち点4差」のなかでひしめき合っていますからね。まだまだこれからです。

 ハノーファー96の動向も含めて、これからもっと「降格リーグ」にも注目していくことにしましょう。

 
 眠くて、ちょいと乱文気味のような・・ご容赦アレ・・。



[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]