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ヨーロッパの日本人・・今週の最後も中田英寿・・締めにふさわしい、素晴らしいパフォーマンスでした・・(2003年3月24日、月曜日)

今週もまた、中田英寿に締めてもらいましょう。

 皆さんは、前節キエーボ戦の後にアップされた中田英寿HPの最新メールをご覧になりましたか? ボールのないところで勝負が決まる(勝負を決めたい!)。彼は、自らのゴール以上に、ラムーシの挙げた4点目が嬉しかったということです。ナルホド・・。

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 さてパルマ対ラツィオ戦。

 これって、前節キエーボ戦による(勝ったとはいえ、内容では凌駕されたキエーボの高質サッカーに刺激されたという意味での)心理的なポジティブインフルエンス(影響)ということなのかな・・?! それともアドリアーノが自分のプレーイメージを見つめ直したことが仲間に影響を与えたのかな・・?! それとも、組織プレーのリズムを乱しがちな「もう一人の才能」ムトゥーがいないことがポジティブに作用したのかな・・?! それとも、中田英寿とプランデッリ監督との「意見交換という現象」が、チームをポジティブに覚醒したのかな・・?!

 とにかく、パルマのサッカーが、攻守にわたって素晴らしい有機連鎖を魅せつづけるのを、驚きの目で追っている湯浅なのです。特にミッドフィールドでの守備が特筆です。一人がボールホルダー(次のパスレシーバー)を、忠実に、そして素早くチェックする。そこに、前線から戻ってきた仲間がサンドイッチにする。もちろん周りも、次、その次と、どんどんとプレスの輪を狭めていく。まさに、一人ひとりのボール奪取イメージが有機的に連鎖した共同作業じゃありませんか。そんな積極的なディフェンスマインドだから、それが攻撃にも好影響を与えるのは当然の帰結というわけです。

 やはりディフェンスが全てのスタートライン・・。その「事実」を再確認していた湯浅でした。守備における自分主体のアクション(ボールがないところでのクリエイティブなプレー)は、相手のボールの動きを明確にイメージすることが基盤。また有機的にボール奪取に絡めたという達成感も含め、だからこそ、次の攻撃でも、ボールがないところでの「パスを呼び込む動き」も(イメージ的に)活性化されるというわけです。

 この試合では、アドリアーノのシンプルな組織プレー(パス)が目立ちます。逆に言えば、これまでが、あまりに「個」に奔りすぎだった(ムトゥーとの相互ネガティブ心理作用?!)ということなのですが、とにかく、球離れの早いアドリアーノのプレー姿勢もまた、この試合でのキーポイントの一つでした。もちろん一対一の勝負シーンでは積極的に単独勝負を仕掛けていきますがネ・・。とにかく「組織と個のバランス感覚」が、格段に良くなったということです。

 それがチームにも好影響を与えたようで、ボールが面白いように動きます。たしかに、ラツィオ最終ラインが強いこともあって、「三人目」が効果的にスペースを使う・・というレベルまではいきませんが、それでも、見違えるほどに高揚した組織プレーを展開するパルマなのです。そんなダイナミック(力強い)サッカーだから、「結果」が伴ってくるのも当然。セットプレーから先制ゴールも奪いましたし、(三人目のスペース活用レベルがまだまだということで?!)決定的スペースを突くところまではいけないにしても、素早く広いボールの動きをベースに、何本も危険なミドルシュートを放ったりもしました。

 一体どんな刺激があったのだろうか・・。まあ、UEFAカップやチャンピオンズリーグのイスを狙うライバル同士の対戦ですし、何といってもパルマのホームゲームということもありますから・・。またもしかしたら、中田英寿と監督の「意見交換」が、周りにもポジティブな心理的影響を波及させた(考える機会をチームメイトに与えた)のか・・。それとも、プランデッリ監督が、基本的なチーム戦術を変えたのか・・。それにしても、ポジティブなイメチェンではあります。

 この試合では、ムトゥーとフィリッピーニが出場停止。代わりに、プレシアーノとジラルディーノが先発に名を連ねました。この二人の球離れは早め。だから左サイドでもシンプルにボールが動く。ムトゥーとフィリッピーニが組んだときの左サイドは、どうしてもボールの動きが停滞気味で、個の勝負が中心になってしまいますからネ。ということで、この試合では、左サイドバックのジュニオールも、活き活きとオーバーラップをしかけ続けていましたよ。

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 それでも後半早々ラツィオが、セットプレーから同点ゴールを奪います。まさに、ワンチャンスを生かしたラツィオ。勝負強さは健在です。さて・・。

 とはいっても、パルマのゲームリズムに大きな変化はない。彼らのプレーイメージは、本物かも・・。とはいっても、攻守にわたってものすごくハイペースですからね、最後までつづかないことも当然の成り行き。ということで、徐々にパルマのペースが落ちてきます。

 そのことがもっとも明確に現れてくるのは、やはり守備。それも、ボールホルダー(次のパスレシーバー)に対するチェックです。どうしても、詰め(寄りのスピード)が甘くなってしまうのです。そしてゲームの全体的なペースも落ちてくる。こうなったら、「個のレベル」で一日の長があるラツィオが盛り返してくるのも当然という流れになっていく。

 そんな流れのなか、後半27分に中田英寿がベンチに下がってしまいます。この交代の意味は分からない。彼のプレーペースが大きく落ちたとは思えませんでしたからね。

 この試合での中田は、中盤での効果的ディフェンス(ボールホルダーへの爆発チェックばかりではなく、何度も、全力の戻りからボールを奪取!)、シンプルな組み立てパス&爆発ムーブ、はたまたココゾの単独勝負など(交代直前の後半20分に魅せたキャノンシュートは、ほんの僅かにゴール左側へ!)、チームリーダーという風格が漂ようほど、攻守にわたって素晴らしい活躍だったのに・・。

 それでもパルマは、ロスタイムに決勝ゴールを奪います。バローネの中距離シュートをラツィオGKが前へこぼし、そこへ詰めたアドリアーノが滑り込みながら決めたゴール。これは嬉しいでしょう。ベンチも喜びを爆発させていましたよ。

 中田英寿が交代した後のパルマですが、たしかに全体的には相手にゲームを掌握されるシーンが増えたものの、パルマも、カウンターベースで押し返していました。そして何度かチャンスを作り出したことで、再び全体的なペースを上げていきます。そんな押し返しも、この試合で展開できたダイナミックサッカーによって確信レベルが高揚したからに他ならない・・。

 とにかくこの試合でのパルマの内容からすれば、まさに正当な勝ち点3ではありました。

 さて、これでムトゥーが帰ってきたら・・。興味がつのるじゃありませんか。

 あっと・・。この試合における私にとってのMVPは、中田英寿とともに、攻守にわたって素晴らしいプレーを展開したラムーシでしょうね。




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