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ヨーロッパの日本人・・ちょいとモティベーションダウン状態なのですが、一応、自分自身のデータベースとしてまとめておくことにしました・・(2003年5月12日、月曜日)

それにしてもフェイエノールトは、ツキに恵まれている。3試合はありましたかネ、奇跡に近い勝利が(第26節デスラーフスハップ戦、第27節フィテッセ戦、第29節RBC戦など)。そして今節の「RKC」戦でも「2-1」というギリギリの逆転勝利を飾ったフェイエは「12連勝」ということになったそうな・・。

 それでも、今節のアヤックスも勝利をおさめたようですから、まだ「勝ち点1」リードされている状況には変化がない。まあ「ツキ」を入れれば、本当に奇跡に近い、チャンピオンズリーグ争奪戦での食い下がりっちゅうことでしょう。

 そして今節が終了した時点でのオランダリーグのランキングを見てみれば、上位三チーム(アイントホーフェン、アヤックス、フェイエノールト)とそれ以外のクラブ(四位以下のクラブ)との差が「30ポイント近く」まで開いてしまって・・。それがオランダリーグの現状ということです。だから最高の緊張感を維持しつづけるのが難しい・・。まあ、いつも書いていることですが。

 さてフェイエノールト。ホームで戦った今節の「RKC」とのゲームでも、ツキが・・。何といっても、後半の30分までに、3-4本の完璧フリーシュート場面を作り出されてしまったのですからね。もちろんカウンター状況。アヤックスとの競り合いがつづいていることで、とにかく勝たなければならないフェイエノールトが、ガンガン押し上げていく・・そして全員の重心が前にかかった状況でボールを奪い返されて決定的カウンターを食らったり、コーナーキックから、ゲームの流れを切ることができずにボールを奪い返されて必殺カウンターを浴びてしまう・・。

 最終ラインの2-3人を除いた全員が前へ重心をかけている状態がつづくフェイエノールト。だからこそ、冷静なバランス感覚が重要になってくるわけですが、それを意識してコントロールしようとする選手も見あたらない。また、相手にボールを奪い返され、カウンターを食らいそうになった状況にもかかわらず、脇目もふらず必死に戻る選手の数も足りない。これでは・・。

 それでも、最後の瞬間でのRKC選手のシュートミスやフェイエGKの奇跡のセービングなどで、かろうじて「1-1」の状況を保ってしまうのですよ(前半4分の先制ゴールはRKC、そしてボスフェルトの粘りのドリブルから前半終了間際にカルーがヘディングゴールを決めて同点!)。そして後半32分には、ファン・ホーイドンクのスーパーFKが飛び出して勝ち越し。もちろんファン・ホーイドンクのフリーキックは「必然」でしたから、ツキだけとはいえませんが、あれほどの絶対的ピンチを無失点で切り抜けたんですからネ・・。

 さて小野伸二。まだまだ納得できません。ここでちょっと「典型的な現象面」をまとめてみましょうか。まずディフェンスから。なんといっても彼は守備的ハーフですからね。

 中盤での、味方とのポジショニングバランスはいいし、相手ボールホルダー(次のパスレシーバー)へのチェックも忠実&効果的。それでも、相手との競り合い状況を制したボール奪取というシーンは希だし、スライディングがほとんどないから、意図的にボールを奪い返すというシーンも希。この試合では、立ち上がりの一回と、後方から「忍び寄った」ボール奪取シーンはありましたが・・。

 またボールがないところでのマーキングもまだまだ甘い。もちろん、味方が上がったケースでは、柔軟に最終ラインまで戻ってマークポジションに入りますがね・・。

 それでも、タテに走り抜ける相手に対するボールがないところでのマーキングが甘いと感じるのです。たしにか最終守備ラインが控えているわけですから、タテへ抜けていく相手を「行かせても」、ほとんどのケースでは「タテのマーク受けわたし」がうまく機能して大事に至らない。それよりも、前に残って(互いのポジショニングバランスを取って)中盤での球出しポイントを抑えた方が効果的ではあります。その判断は、ほとんどのケースでは的確なのですが、相手が最終勝負を仕掛けてくる場面は、状況がまったく違います。そのケースで、全力で二列目から走り上がる(決定的フリーランニングを仕掛ける)相手選手には、その流れが途切れるまで、最後までマークをつづけなければならないというのが基本なのです。何といっても、正面から全力ダッシュで迫る相手を、相手の最前線選手との兼ね合いで、正確にマークすることほど難しい作業はありませんからね。そんなシーンでは、やはり中盤の選手が「最後まで」マークしつづけなければならないのです。

 前半4分の失点は、まさにそれ。最初小野伸二は、二列目から走り上がる相手選手をマークしつづけようとします。それでも(追いつかないと思ったのか・・)途中で走るのを止めてしまう。そして結局(ラストパスにも絡んだ)その相手選手が、GKがはじいたこぼれ球を決めて先制ゴールを陥れてしまうのです。

 また前半には、小野がマークしていなければならかった選手に「眼前スペース」へ入り込まれてヘディングシュートを打たれるという決定的なピンチシーンもありました(フェイエGKが、ギリギリのところでセーブ!)。

 次に攻撃。ボールをもったときの、高質なテクニックに裏打ちされた落ち着きからの効果的な展開パスは、例によって高いレベルにあります。タイミングのよいタテパス、相手のアタックの瞬間を狙ったワンのパス、素晴らしいロングパスやサイドチェンジパス。またこの試合では、タイミングの良い押し上げからシュートを放ったり、ワンツー(パス&ムーブ)での抜けだしにもトライしていました。とはいっても、どうも相方のボスフェルトが(例によって)上がり気味に過ぎるし、小野の側のサイドバック、パーウエもどんどんオーバーラップしていってしまうので、そのカバーリングにも精を出さなければならないという背景もありましたが・・。彼に期待するのは、もっと決定的シーンへの絡みを・・というものです。もちろん後方から進出していく「見慣れない顔」として。スピードではなく、タイミングで抜き去るドリブル突破チャレンジ・・自らが「コア」になったワンツー勝負・・最終勝負場面での決定的タメからのスルーパス・・等々。

 この試合では、ボスフェルトの押し上げが目立っていたわけですが(ドリブル突破からの同点ゴールアシストや、後方からの爆発ダッシュでボールを奪い返した決定的シュートなど!)、小野だったら、少なくともボスフェルトと同等のパフォーマンスを魅せられるはず。ボスフェルトに、「小野の攻撃参加をカバーしなければ・・」と思わせるくらいの勢い(攻撃での実効プレー)を・・もちろん安定した中盤ディフェンスを基盤にして・・。

 監督から指示されている基本的な戦術タスクは分かっていますが、それでも、もっともっと運動量を増やすことで、「クリエイティブなルール破り」にもチャレンジしなければ、このまま小さくまとまってしまう・・と心配しきりの湯浅なのです。

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 さて中田英寿。

 動きの少ないゲーム展開のなか、また「右サイド」というチーム戦術的な制約のなか、この試合での中田は、何度も、基本的な能力の高さ(戦術的な発想レベルの高さ)を示すプレーを魅せました。もちろん攻守にわたって・・。彼の守備での「実効ある」貢献度は、例によって高いレベルにあります。まあ一度だけ、高い位置から戻ってカバーリングに入るアクションが遅れ、相手にシュートを打たれてしまいましたが、それにしても、本来その相手をマークしていなければならなかった味方が「ボールウォッチャー」になってすり抜けられてしまったのを、自分主体の判断でカバーしようとした結果ですからネ。

 そんな「局面プレーの質」では、まあまあ満足なのですが、いかんせん、チーム戦術的な「枠組み」がありますから、彼の「発想」が結果につながるのは希。その意味では、フラントレーションがたまる・・。

 歯切れの悪い表現なのですが、まあ、インテルとのアウェーマッチということだけではなく、少なくともUEFAカップのイスを確保するために何としても勝ち点をとらなければ・・という、ゲームの「条件的・環境的な制約」もありましたからね。攻守のやり方を大きく軌道修正するわけにはいかない・・。

 攻撃は、例によって個の能力頼りの最終勝負。何度、ボールがないところでの決定的動きを仕掛けていた中田が、その後に「フ〜ッ!」という溜息を吐くシーンを目撃したことか。何度、中田が仕掛けのコアになったコンビネーションの流れが断ち切られたことか。まあ仕方ない・・。

 もう何度も書いたように、中田の場合は、「より自由なタスク」で試合に臨ませても、まったく問題は生じないと思っている湯浅なのです。何といっても、自らディフェンスでの仕事を探しつづけるという「守備意識」と、実効レベル(実際の守備能力)の高さは折り紙つきですからね。守備能力にも長けた、限りなく「自由」に動きまわる(基本ポジションの制約がない)攻撃的ハーフ。さて、そのポジションに就いた(チーム戦術的タスクを与えられた)中田英寿の勇姿が見られるのはいつのことになるのやら・・。

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 今週は、中村俊輔、高原直泰、稲本潤一は出場せず(戸田は後半から出場したようですが、その中継はなし)、小野と中田のパフォーマンスもスッキリしない。ということで、レポートするモティベーションも極端にダウンしていたのですが、でもまあ、自分自身のデータベースとしてだけでも記録しておこうとキーボードに向かった次第。




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