トピックス


ヨーロッパの日本人・・今週の第二弾は、小野伸二のショートレポート・・(2003年5月5日、月曜日)

あららっ、小野伸二が前半だけで交代してしまった・・。

 今節のエール・ディビジ。チャンピオンズリーグ圏内を目指すフェイエノールトが、強豪のユトレヒトと対戦しました。ホームのユトレヒトもUEFAカップ圏内を狙っていますから(この時点で5位)両チームにとって重要なゲーム。フェイエにとっては、久しぶりの強い相手との対戦ということになりました。

 私は見ていないのですが、小野伸二は、リーグ戦でチャンピオンズリーグのイスを争っているアヤックスとのカップゲームで(守備的ハーフのプレーに徹した?!)良いプレーを展開し、勝利に貢献したとか。たしかに、彼にとって復帰戦となるこの試合でも、攻守にわたって「ある程度」安定したプレーを展開してはいました。でも・・。

 攻守にわたって積極的に仕事をさがしつづける姿勢は格段に向上した。でも勝負所への絡みでは・・。

 守備では、味方とのポジショニングバランスを取りながら、相手ボールホルダー(次のパスレシーバー)への忠実で素早いチェックに入ったり、ボールがないところで走り込む相手を最後までマークしたりという目立たないディフェンスプレーだけではなく、インターセプトや、相手トラップの瞬間を狙ったアタックなど、ボール奪取への積極マインドも感じます。もちろん、その積極マインドは(意志が満載された)全力ダッシュとなってグラウンド上に厳守してくる。フム、フム・・。

 また攻撃では、例によっての素早いボールコントロールからの(ボールタッチのエスプリプレーでは突出した才能を感じる!)シンプルなつなぎパスや組み立てパスなど、攻撃の起点プレーでも相変わらず安定している。前線へのタイミングのよいタテパスや、仕掛けのサイドチェンジパスなども魅せました。それでも・・。

--------------

 この試合は、フェイエにとって苦しい展開になります。何といっても強豪のユトレヒトのホームゲームですからね。

 立ち上がりの2分に、ファン・ペルジーが素晴らしいミドルシュートを決めたまではよかったのですが(直後には、うまいパスカットからカルーが抜けだし、相手GKと1対1になる絶対的チャンスもあった!)、前半11分には、素晴らしいミドルパスから相手フォワードに抜け出されて同点ゴールをたたき込まれてしまう。それだけではなく、一進一退の展開がつづいていた前半22分には、フェイエの若大将ファン・ペルジーが、ラフプレーで一発退場になってしまう・・。

------------

 そんな展開のなかで、私は、どうも小野伸二が、攻守にわたる勝負所にうまく絡んでいけてないと感じていたのですよ。

 守備では、(上記した)組織的な連鎖ディフェンスにつながるような(次に味方が狙えるような)守備プレーは、ある程度はうまく機能するものの、彼自身がボールを奪い返すシーンはほとんどなく、一人足りなくなくってから何度かあった相手との1対1の競り合いでも負けてしまう・・。特に、(前半終了間際)ペナルティーエリアに入った右サイドの競り合いで簡単に切り返され、決定的なラストパスを送り込まれてしまったシーンはいただけない。味方からの信頼を失ってしまう典型的なケースです。

 また攻撃でも、自らがコアになった仕掛けを演出できない、勝負所に絡んでいけない。ドリブル突破チャレンジはないし、ワンツーで抜け出すような、勝負のパス&ムーブもまったく出てこない・・。

 グループ戦術的なチーム貢献プレーでは安定しているものの、どうも不満ばかりが残ってしまう「実効レベルという視点」での小野のプレー内容ではありました。ということで、一人足りないフェイエのファン・マール・ヴァイク監督が、小野の代わりにアクーニャを投入した判断も理解できる・・。アクーニャは、特にディフェンスで貢献していましたよ。

 それにしてもフェイエノールトはよく勝った。ブッフェルの、小さなスペースでの勝負能力の高さに大拍手でした(コーナーキックから、こぼれ球パスを受けて一人かわし、小さなモーションでシュート!)。

 まあ小野については、怪我明けということで「勝負ゲームの感」を取り戻せていなかったと考えることにしましょう。

 この勝利で、アヤックスとの「二位争い(チャンピオンズリーグのイスをめぐる競り合い)」に残ったフェイエノールト。これからもギリギリの緊張マッチがつづく。だからこその小野伸二のパフォーマンスアップに期待したい湯浅です。

 PS:(このコラムをアップした後の)本日のニュースで、小野がハーフタイムで嘔吐したという報道がありました(だから交代したとのこと・・ナルホド)。また、この数日、目眩がしていたとの報道も・・。大事に至らなければいいのですが。とにかくまず精密検査。彼の健康を心から祈ります。

---------------

 尚、高原直泰に関するレポートは、木曜日にアップ予定のスポナビ・コラム(湯浅健二の質実剛健・・ドイツブンデスリーガ)で書く予定ですので・・。




[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]