トピックス


CL二次リーグ(B組)最終ゲーム・・アーセナルの「勝負弱さ」がかいま見えた?!・・バレンシア対アーセナル(2-1)(2003年3月20日、木曜日)

あ〜あ、アーセナルがやられてしまった・・。

 最高の才能連中が、小さなエスプリプレーを織り交ぜながらの組織プレーにも徹する。もちろん守備ブロックも、ビエラ、ジウベルト・シウバを「センター」に、抜群のクリエイティブディフェンスを魅せる。ゲーム内容では、欧州トップといっても過言ではないアーセナルなのに・・。結局今回も、ギリギリの状況では勝負弱さを露呈するアーセナル・・というイメージを払拭できませんでした。残念で仕方ありません。

 この試合では、ベルカンプが、例によって(?!)飛行機に乗りたくないということで遠征グループに参加しなかったということらしいのですが・・。そしてピレスが、前気味のスターティングポジションでチャンスメイカーになる。ベルカンプの代わりに、復帰したリュンベリが左サイドハーフに入る。でもやはり、ベルカンプの穴が・・。

 ピレスは、ハーフ中央ゾーンで、あくまでも中盤守備への積極参加をベースに、タイミングを見計らって後方から上がっていくというプレースタイルが得意ですからね。最初から前線にポジショニングすることで後方からパスを受けて前を向く・・そんなプレー傾向が多くなったこの試合でのスターティングポジションでは、どうも彼本来のプレーイメージが空回りしていると感じたモノです。

 試合は、アーセナルの攻勢ではじまります。もちろんそのベースは中盤守備。ビエラ、ジウベルト・シウバを中心に、サイドではリュンベリとヴィルトールが、はたまた前線から戻ってくるピレスが、チームのダイナミズムをどんどんと高揚させていくのです。それに対し、ホームであるにもかかわらず、うまく攻撃を組み立てられないバレンシア。

 まあ、僅差とはいえ、やはり総合力の違いだな・・なんて思っていたんですが、20分を過ぎたあたりから、バレンシアも押し返しはじめます。そしてゲームは、フィフティー・フィフティーという展開へ・・。「拮抗状態」というのではなく、互いの攻めが、最終ラインへ向けて仕掛けていくというところまで到達するのですよ。拮抗状態では、中盤での「もみ合い」に終始しますからね。そんな展開だから、ゲームが、エキサイティングという形容がふさわしい内容に高揚していきます。それでも、やはり最終勝負の危険レベルでは「個のチカラに優る」アーセナルに軍配が上がる・・。

 しかし先制ゴールは、バレンシアが奪い取りました。前半32分のことです。それまでアンリやヴィルトール、はたまたコーナーキックからジウベルト・シウバがと、何度か決定的なチャンスを作り出していたアーセナルに対し、攻め上がって相手最終ラインへチャレンジするところまで行けるけれど、どうしても崩し切るところまではいけなかったバレンシアですからね、まさに唐突ともいえるゴールだったのです。

 中盤の右サイドでボールをもったアイマール(やはり彼の創造力が活かされた!)。戻ってきたビセンテとのワンツーで抜け出し、二人のアーセナル選手の守備アクションだけではなく、アーセナル最終ラインの重鎮キャンベルの視線と意識まで引きつけてしまう。そして最後の瞬間、彼らの意識と視線を引きつけたことで最前線でフリーになったカリューへ、絶妙のスルーパスを通したというわけです。カリューが放った、正確なグラウンダーシュートも素晴らしかったのですが、まあ、アイマールにも「0.5点」。

 後半の立ち上がり(後半4分)。アーセナルのアンリが、ピレスとの大きな「ワンツー」を決めてパスを受け、例によっての正確な「ゴールへのパス」を決めて同点(ゴール右角へ!)。でもその8分後には、またまたバレンシアがカリューのヘディングシュートで突き放す。後半12分のことでした。

 そしてその後は、バレンシアが守備を固めたこともあって、アーセナルの攻めが抑え込まれるという展開になっていきます。また、交代出場したジェファーズ、カヌーもそんな悪い流れを断ち切るだけのパワーを発揮することができない・・。

 ここで彼らは感じていたに違いありません。ベルカンプがいてくれたら、もっと違うタイプの「攻撃の変化」を演出できたに違いない・・。とにかく、一点を奪いに行かなければならない状況であるにもかかわらず、ボールのないとろでの激しく大きなフリーランニングや、最前線からの激しいチェイシングなどが影を潜めてしまったんですからね。そんなところが(才能たちに、精神的なタフネスや泥臭さが欠けている?!)、彼らの勝負弱さの背景にあるのかもしれません。

 スマートに・・スマートに・・。そんなプレーイメージを超越した「泥臭い闘い」を、自分主体で仕掛けていかなければならない状況もある・・。

------------------

 さてこれでベスト8が出そろいました。アーセナルを除き、まあ予想通りということです。

 A組からは、バルセロナとインテル(ニューキャッスルとレーバークーゼンが落ち)。B組からは、バレンシアとアヤックス(アーセナルとローマが落ち)。Cグループからは、ACミランとレアル・マドリー(ドルトムントとロコモティブ・モスクワが落ち)。そしてDグループからは、マンチェスター・ユナイテッドとユーヴェントス(バーゼルとデポルティーボ・ラ・コルーニャが落ち)。

 準々決勝の第一戦は、4月の8日と9日。様々なタイプの戦術イメージがぶつかり合うトーナメント。今から楽しみで仕方ありません。まあそこに、「ドイツ的なサッカー発想」がミックスしていれば言うことなしだったのですがネ・・。




[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]