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ヨーロッパの日本人・・ヨーロッパ出張出発前日の今日は、できる限りレポート・・それでも、高原、稲本、小野、中田、柳沢、そして中村まで一気にカバーしましたよ・・(2003年10月5日、日曜日)

今週は、できるかぎりヨーロッパの日本人たちをレポートすることにします。何せ、明日ヨーロッパへ出発しなければならず、ちょいと時間が・・。

 ではまず、高原直泰が所属するハンブルガーSVから。いまのところ、私の情緒パワー(サポートマインド)を活性化してくれる唯一のクラブです。このチームを観るときは、ロジックベースの観察・分析と同時に、感情的な部分もアクティベイト(アドレナリンの分泌!)されてしまう。そんな「マイチーム」を持ったのは、本当に久しぶりのことですよ。

 私のドイツ留学中は(1976-1981年、ケルン体育大学)、監督が「あの」ヘネス・ヴァイスヴァイラーで、奥寺康彦も所属していた「1FCケルン」がマイチームでした。それでも、監督がヘダゴットに代わり、オクもベルリンへ去ったことで、それまで「隠れマイチーム」だったハンブルガーSVが私の心のチームに格上げされたという次第。

 そこでは、親友が北ドイツ出身で、熱烈なハンブルクファンだったことが一番の心理背景でしたかネ。当時(1970年代後半から1980年代の前半にかけて)のハンブルクは、ギュンター・ネッツァーがマネージャーに就任し(彼についてはインターネットで情報を収集してください!)、監督にブランコ・チェベッチ(セベッチ)を獲得しただけではなく、ケヴィン・キーガンも獲得するなど、とにかくドイツサッカーの顔でしたよ。

 また選手も、マンフレッド・カルツ、ホルスト・ルーベッシュ、フェリックス・マガート(現シュツットガルト監督)、ヤコブス、ロルフ、ノグリー等々、錚々(そうそう)たるメンバーを擁し、何度もリーグを制しました。私が読売サッカークラブのコーチをしていた当時の1983年には、ヨーロッパチャンピオンとして(その年のチャンピオンズカップ決勝でユーヴェントスに1-0で勝利!)トヨタカップへもやってきました。

 もちろん私は、完璧に入れ込んで応援しましたよ。だからこそ、ブラジルのグレミオに負けたときの落胆たるや、もう筆舌に・・ってな具合。そこでは、試合経過も大きく影響しました。1点をリードされたハンブルクが85分に同点に追いつく・・誰もが、もうゲームはハンブルクのモノだと確信して入った延長・・そこで、一発のカウンターから、レナトの個人技で決勝ゴールをブチ込まれてしまう・・ってなドラマチックなプロセスでしたからネ。

 それでも、自分が、試合後にはすぐに視点を変えていたことを覚えています。そんなふうに感情を揺り動かされるような瞬間は、現代社会じゃ、そうそう経験できるものじゃない・・だからこそ、歓喜と落胆、必然と偶然が交錯するシナリオのない(神様スクリプトの)ドラマであるサッカーの魅力には普遍的な「何か」がある・・なんて再認識していたというわけです。

 それはもう20年近くも前のことですが、そんなハンブルクが、高原のおかげで、私のマイチームとして復活したというわけです。限られた年間予算だから、バイエルンやドルトムント、ヘルタ・ベルリンやシャルケ04、はたまたレーバークーゼンなどと、選手の基本的なクオリティーで肩を並べるわけにはいきませんが、だからこそ、頭を使って全力投球をする姿が(ナイーブな湯浅にとって)新鮮に映るというわけです。

 いまハンブルクの試合を観るときは、高原のパフォーマンスを冷静に評価するコーチの眼だけではなく、試合の行方に対する情緒パワーも活性化されてしまうのですよ。まあ、ゲーム内容のロジックな分析(理性)と、試合結果に対する悲喜(感情)が同時進行しているという興味深い内的なプロセス。それもまた、私にとって貴重な学習機会です。

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 あっと・・前段が、長く、長〜〜くなってしまった。さて試合です。ブンデスリーガ第8節、ハンブルガーSV対ボルシア・メンヘングラッドバッハ。

 本当にアタマにきていました。もちろん、先制ゴールを奪われたという「結果」に対する怒りなのですが、それがイージーミスからの失点だったから、内容に対する憤りもとどまることを知らない・・。

 メンヘングラッドバッハの先制ゴールは前半18分のことです。左サイドをディフェンスのイージーミスで突破されただけではなく、折り返されたクロスボールをクリアミスし、相手のゴールゲッター、ファン・レントに簡単にゴールを決められてしまった。またその数十秒後には、ハンブルク最終ラインの重鎮でキャプテンでもあるホークマのボールコントロールミスで相手にボールをかっさらわれ、絶対的ピンチに陥ってしまう(GKと一対一)・・でも相手のシュートがバーを直撃したことで事なきを得る・・。フ〜〜ッ、ラッキー!!

 とにかくハンブルクは、ゲーム内容が良くない。全体的なボール支配率では上回っているものの、その内容がよくないのですよ。互いの意図がシンクロしないし仕掛けの起点もできない・・期待のヤロリームにしても、ボールを落ち着かせることができないだけではなく、簡単にボールを失ったりという体たらく・・。まあメンヘングラッドバッハのチーム戦術がうまく回っていたということもありますが(ハンブルクの攻めのクセに対してどのように守り、どのように攻めるかの決まり事がうまく機能!)・・。

 この時点で、ヤーラ監督が動きます。「待ち」ではなく、とにかく「積極的に仕掛ける姿勢」を前面に押し出すベンチ。多分それも、開幕からの手痛い結果の連続から学習したことなんでしょう。「リズムが悪いと判断したら、とにかくすぐにでも動く(チームに刺激を与える)!」。ここでのヤーラ監督の動きは、ディフェンスのヴィッキーに代えて攻撃の高原直泰を投入する・・ヤロリームは中盤の底へ下げて、そこからゲームを組み立てさせる・・前のチャンスメイクはバルバレスに統一する・・これでヤロリームとバルバレスによる「背骨」をしっかりと構成する・・というものでした。前半32分のことです。あっと・・、この試合でも高原はベンチスタートでした。

 でも、その直後に、ハンブルク右サイドの突撃隊長マハダビキアがケガで退場するというアクシデントに見舞われます。結局ヤーラ監督はこの二試合でラッキーボーイだったラインハルトを投入せざるを得なくなるわけですが、どうもここのところ、ツキにも見放されたようなネガティブ現象がつづき過ぎる・・。

 ということで、その後も、攻守にわたって歯車が噛み合わないハンブルクなのですよ。ボールの動きが緩慢で、相手に読まれているところへパスをまわしてしまうハンブルク。これでは、簡単にボールを失ってカウンターを食らってしまうのも道理。とにかく、危ない場面が連続します。何せハンブルクは、全員が前へ重心を移していますからネ(それもまたメンヘングラッドバッハの思うつぼ!)。

 さて後半。私は「ハーフタイムの奇跡」を期待していたのですが、基本的な展開に大きな変化はなく、メンヘングラッドバッハのクレバーで忠実な守備ばかりが目立つ展開がつづきます。ここでハンブルクのベンチが、またまた動く。今度は、カルドーソの投入です。攻撃タイプ選手の交代ではなく、守備的ハーフのマルトリッツとの交代。

 とにかく積極的な采配が目立つハンブルクのベンチ。ヤーラ監督は、選手交代で、グラウンドへのメッセージを送りつづけるというわけです。「もっと、もっと積極的に攻めつづけろ!!」。このところの「発想の変化」を、今度、コーチのアルミン・ロイタースハーンに聞いてみよう・・。

 でも、実際に交代がなされる直前、ハンブルクがラッキーなゴールを奪ってしまうのですよ。それまで、どうしても詰まり気味の仕掛けで決定的チャンスを演出できなかったハンブルクの攻撃。でもゴールは唐突に入りました。スコアラーはバルバレス。意を決して最終ラインから押し上げ、バルバレスからの横パスを持ち込んでシュートしようとしたウイファルジでしたが、そのシュートは、相手のうまいアタックに完璧に止められてしまいます。でも相手のクリアボールが、ラッキーにも、バルバレスの足許にコロコロと転がっていったのです。そしてバルバレスが、得意の左足で、スパッという切れ味鋭いコントロールシュートを放ったというわけです。ボールは、美しいカーブを描きながら、メンヘングラッドバッハゴールの左サイドネットへ吸いこまれていきました。スーパー同点ゴール!!

 もちろんそのゴールの直後に、カルドーソとマルトリッツの交代が実行されます。ホームだし、とにかく勝ち点3が欲しいハンブルクというわけです。そんな強烈な意志が、ゲームの流れに影響を与えないはずがない・・。案の定、それを境に、ゲームペースが、ガラリと変容していったのです。

 守備タイプ選手の代わりに、どんどんと攻撃的な選手をグラウンドへ送り出すハンブルクベンチ。それは、経験に裏打ちされた「ショック療法」。ハンブルクの選手たちは、完全に「守備ブロックが薄い!」と感じているから、ロメオを除く全員が、ボールを奪い返された瞬間から積極的にディフェンスに参加してくるのですよ。そこには、まさに全員守備、全員攻撃という「トータルサッカー」の雰囲気がありました。それこそが、ハンブルクベンチの狙いだったというわけです。

 昨年の日韓ワールドカップでも、同じような「強烈な刺激」があったじゃありませんか。ヒディンクが率いた韓国代表・・。

 とにかくその後、ハンブルクの「押し込み」に本来の迫力が戻ってきたことは言うまでもありません。要は、局面での(ボール絡み&ボールなしの)リスクチャレンジ姿勢が格段に向上したということです。もちろんそのバックボーンは、自らも含め、全員が「次のディフェンスに就く!」という確信レベルの高揚です。

 後半におけるゲーム内容の変貌は、本当に興味深い「グラウンド上の現象」でした。もちろん、そんな「ベンチのリスクチャレンジ」が、いつもうまくいくとは限りません。この試合では、その「刺激」がうまく機能しましたがネ。特に、中盤守備の重鎮であるマルトリッツが、「守備のできない」カルドーソと交代したという「刺激」は強烈だったようです。ヤロリーム、高原、バルバレス等が、必死に守備へ戻りましたからネ。またカルドーソにしても、守備での運動量が普段の倍はありましたよ。それこそ、ゲームのなかでの大きな発展。だから、74分にバルバレスがヘディングでたたき込んだ決勝ゴールは、まさに順当な結果だったというわけです(カルドーソからヤロリームへの素早い展開パスも素晴らしかった!)。

 高原の出来も、本当によかったですよ。全員のマインドが攻守にわたってダイナミックに変容しているプロセスに乗らない手はない・・ってな具合に、攻守にわたって自分主体のアクティブプレーを披露しました。二度ほど、良いカタチでボールを持った(パスを受けた)にもかかわらず、ロメオへパスをしてしまった(結局ミスパス!)シーンは、微妙ではありますが、やはり自分でシュートまでいくというイメージの方が良かったように思われましたがネ。まあ彼自身が、一番よく分かっていることでしょう。

 とにかく、攻守にわたるボールがないところでのダイナミックプレー、ボールを持ってからの積極的な仕掛けドリブルやクレバーで正確なパスプレー等々、高原直泰は、どんどんと「様々なカラ」を破っていることを実感させてくれました。来週水曜日のチュニジア戦が、いまから楽しみで仕方ない・・。

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 さて、非常に安定した中盤ディフェンスをベースに、攻撃でも(前半40分の攻め上がりシーンなど)部分的に存在感を示すことができている稲本。でもこの試合では、ちょっと、攻守の勝負所へ絡んでいくマインドが減退気味だと感じました。要はリスキーなプレーへチャレンジしていくマインド(積極的な意志)が、ちょっと目立たなくなっているかな・・と、感じられるというわけです。安定はしているのですがね・・。

 とにかく稲本ほどの才能なのですから、「落ち着いた安定」よりも、不安定であっても、常にダイナミックに変化しつづけるパフォーマンス傾向の方がいい・・。とにかく、常に「もっと・・もっと・・」という強い意志を前面に押し出す姿勢の方が、「安定」などよりも大事だと思っている湯浅なのです。

 もちろん稲本は、現在のフルアムの調子の良さの一端を担っています。でもチームは生き物ですからネ。変化こそ常態・・なのです。変化こそが、選手たちの発展のエネルギーの源になるのです。この試合で稲本と交代したレグヴァンスキーも、良いパフォーマンスを魅せましたし、先発で稲本とコンビを組んだペンブリッジも良い選手です。この背番号5(レグヴァンスキー)と、6(稲本)と、7(ペンブリッジ)によるポジション争いこそが、稲本の、より一層のステップアップの原動力になるに違いない?!

 ところで今回の日本代表ヨーロッパ遠征。そこでの稲本は、久々の「黄金カルテット」のなかで小野伸二と守備的ハーフコンビを組むことになるのでしょうか。今でも私のオピニオンは、以前サッカーマガジンで発表した「文章の内容」から大きく変わったわけではありません(まあ中村俊輔については、イメージが大きく好転してはいますが・・)。

 稲本が小野と組むことになれば、彼は、より多くのエネルギーを、遠藤がこなしていた汗かきディフェンスに費やさなければならなくなる・・。もちろん守備的ハーフコンビが、守備プレーで「あうんの呼吸」を発揮できるくらい、「実の効果レベル」での守備パフォーマンスに対する相互信頼関係があれば問題はないのですがネ・・。

 まあ、その意味でも、今回のヨーロッパ遠征でのゲーム内容が楽しみで仕方ない湯浅なのです。

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 さて「次の試合をどちらにするのか」で悩みましたよ。小野伸二を観るか、中田vs柳沢を観るか・・。

 でもやはり、ちょっと心配な小野伸二を観察するのがプライオリティーだろうなと、フェイエノールト対RBCの試合を観はじめたという次第(でも中田も柳沢も先発ではなかったので・・)。この試合でも小野は、二列目(=攻守にわたって最高のプレー自由度を与えられた選手)の基本ポジションでスタートしました。さて小野は、積極的なプレーで、組織的な仕掛けコンビネーションをドライブできるのか・・。

 でも結局は、「もっと味方のボールホルダーがパスを出しやすいように、そこへ寄れ! もっと前線からチェイスしたりインターセプトを狙ったりしろ!」など、思わずそんな声が出てしまうのですよ。この試合での小野も、例によって、ボールから遠ざかってしまう(勝負パスを狙った)フリーランニングや、攻守にわたって無為な様子見(単に足を止めたプレーの空白状態!)になってしまうシーンが目立ってしまう。これでは、仕掛けリズムを演出したり、ボール奪取アクションを主導するグラウンド上のリーダーになどなれっこない。とにかく彼のテーマは、(中村俊輔と同様に!)たくさんボールに触ること(攻守にわたって、とにかくなるべく多くボールに絡みつづけること!)なのに。

 前半8分ころですかネ、カイトのポストプレーで落とされたボールが彼のところに回ってきました。そこから右サイドへの素早く正確な展開パスが飛ぶ・・。そんな展開まではよかったのですけれど、その展開パスを出した小野は、足を止めてボールの行方を見ているだけでした(意識の空白状態?!)。何故、素早くパスレシーバーへ寄っていったり、次のスペースへ押し上げたりしないのか。やはり彼は、まだまだ自分自身で仕事を探すという姿勢に大きな課題を抱えている・・。観ている方のフラストレーションがつのります。

 でも、蓄積されたフラストレーションが、前半15分の先制ゴールシーンで小野伸二が魅せた「間接アシストプレー」で霧散してしまうのですよ。やはり天才・・。

 とにかく、スッと左サイドのスペースへ開き、曲芸のようなダイレクトで、走り抜けていたファン・ペルジーへの(彼が走り抜ける決定的スペースへの)ダイレクトパスを送り込んだプレーは、まさにスーパーでした。そしてそこから、小野のプレーが活気づいてきます(ポールがないところでのアクションの活性化=ボールタッチ頻度の高揚!)。それだよ・・!なんて声が出たのですが・・。

 でも、やはり相手マークを背負うような「タメ」のリスクチャレンジや、相手を抜き去ってしまうようなドリブルチャレンジは、まったく出てこない。だから、どうしても安全な中継プレーばかりになってしまう。また何度か、後方タックル(もちろんファール!)を仕掛けられたことも、下がって(味方ボールホルダーへ寄って)パスをもらうプレーに対して消極的になりはじめた心理的な背景にありそうです。そして再びに、ボールに触れなくなっていく小野。フ〜〜。

 結局小野は、相手とぶつかって足を痛め、後半28分にベンチへ下がります。それにしても、その数分前に魅せた、左サイドからの「タイミングで相手を外す」ドリブルで抜け出して上げた「柔らかい」クロスボールは、見事の一言。ピタリと、中央で待つカイトのアタマに合わせられました。そんなプレーを見るにつけ、ボールに触れば触るほど、またボールを持ってリスクにチャレンジすればするほど、かれの才能が、より効果的に発揮される・・。だから、今の彼のプレー姿勢が残念で仕方ない・・。

 もう何度も書いたように、彼には、うまく編集されたビデオを使ったイメージトレーニングが必要です。そう、考えなくてもアクションが出てくるくらいしつこくイメージを発展させつづけるのですよ。サッカーに限らず、全てのスポーツにおけるプレー内容は、蓄積されているイメージの幅と質によって決まってくるのですからネ。

 チュニジアとルーマニアで小野がどんなプレーを展開するのか・・。これまた楽しみで仕方ありません。

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 さてパルマ対サンプドリア。観はじめたのは、後半10分あたりから。そして後半22分に柳沢敦が、後半28分には中田英寿が登場してきました。グッドタイミングじゃありませんか。でも彼らのプレー内容は・・。

 まあ中田は、何度かパスミスもあったけれど(相手の決定的カウンターにつながるような決定的ミスパスもあった!)、やはり存在感は群を抜いていました。それまで攻撃を組み立てることさえ叶わなかったパルマが、彼が入ったことで、明確に攻撃パワーを高揚させていったのですからね。確実なボールキープから、前線へのロングパスを決めたり、確実な展開パスをまわしたり(もちろんパス&ムーブも!)など、実際の効果的プレーでの貢献もありましたが、それだけではなく、中田が入ったことでの心理・精神的な雰囲気アップも体感していた湯浅です。「中田が入ってきた・・アソコにボールを出せば、確実なキープから良いパスが出るとか、とにかく仕掛けの起点になってくれる・・またヤツのことだから守備でも確実な貢献をしてくれるに違いない・・」という安心感が、味方のプレーマインドを解放した?! まあ、そういうことでしょうか。

 それにしても中田は、二試合つづけて交代出場です。さて、どうしたんだろう。またプランデッリ監督と・・?! そんなことは誰にも分かりませんが、まあそれもまた中田にとっては良い「刺激」なんでしょう。まあ大したものだ。

 対する柳沢ですが、流れのなかで相手のマークを外して上げたクロスボールが決定的チャンスにつながりました。でも見せ所は、その一本だけでした。オレが・・オレが・・という、「こちら向き」のポジティブな意欲は明確に感じるのですが、どうも、周りとのイメージコンビネーションがまだうまくシンクロしていない・・。まあ、これからです。

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 さて最後が中村俊輔。書き終わったら、アップしてから寝ることにします。

 とにかく、中村俊輔のパフォーマンスが、ビックリするくらい高みで安定していると感じます。ボールがないところでの動きの質、量ともにいい・・ボールをもったときのシンプルプレーと勝負プレーのメリハリがいい・・忠実なパス&ムーブがいい・・とにかくボールタッチ頻度が高く、その実効レベルが非常に高くなっていることに驚かされる・・また守備でも効果的なプレーが展開できている・・ボール絡みでも、ボールがないところでも・・。

 そんな、ダイナミックなボールなしの動きや実効あるディフェンスプレーが、彼のブレイクスルーを明確に認識させてくれます(テレビ画面から一度消えても、ここで出てくる・・という予想通りに再び画面上に登場するのですよ!)。だから、安心して期待できるというわけです。心地良いことこの上ありません。

 ところで、この試合(ペルージャ対レッジーナ)のライブ中継をご覧になった方はご存じでしょうが、中継の途中、長い時間映像が途切れたのですよ。それでも私は、その間も中村が攻守にわたって良いプレーをしていることを確信できていました。いや、本当に心地よい・・。

 とはいっても中継の途切れは長い。私は明日出発ですから録画は見られません(・・というか、これがオリジナル映像だとしたら、録画放送も、同様に途切れたままなんでしょうか・・)。ちょいと疲れてきたから、このままアップしてしまおうかな・・なんてことまで考えはじめた湯浅なのですよ。

 中村俊輔に関するコメントをつづけましょう。コッツァがケガということで彼に先発が回ってきたわけですが、意識が高まっている中村は、そのチャンスを、しっかりと「チャンスとして認識」していたようで、確実にモノにしました。彼も、本場の激烈な競争環境にもまれたことで、心理・精神的にも逞しくなったということでしょう。やはり環境こそが人を育てるというわけです。

 とはいっても、勝負ドリブルなど、単独の仕掛けプレーではまだまだだし、ボールがないところでの(攻守にわたる)強烈な意志が満載された全力ダッシュも少ない、はたまたディフェンスでのアタックがまだ甘いなど、課題は山積みです。とはいっても、実効あるプレーをつづけているからこそ(参加条件を満たしたからこそ)見えてきたホンモノの課題(本当の意味での競争条件!)ですからネ。やはりい今までとは内容が違うというわけです。

 中継の映像がもどった後半。中村のプレーが、攻守にわたって、どんどん先鋭化していったと感じました。攻守にわたる全力ダッシュも目立つようになったし、身体を張った守備での競り合いでも簡単には負けない(簡単に諦めなくなった!)、また単独ドリブル突破にも積極的にチャレンジするようにもなった。

 後半15分過ぎのカウンターシーンは圧巻でしたよ。左サイドでタテパスに追いついた中村俊輔。全力で走りながら、ディ・ミケーレへ「タテへ抜けろ!」と指示を出し、そのままちょっとドリブルして、ここしかないというタイミングとコースの鋭いタテパスを、走り抜けるディ・ミケーレの前方スペースへ送り込んだのですよ。最後は、ディ・ミケーレのコントロールがミスになってしまいましたが、とにかく素晴らしいプレーでした。

 そんな中村でしたが、後半24分に、守備要員であるパレーデスと交代してしまいます。要は、レッジーナベンチが、引き分け狙いの守備固めを決断したということです。でも、ペルージャに先制ゴールを奪われたら、追いつくだけの「攻撃の才能」が足りないのでは・・なんてことも思っていた湯浅です。その後、ディ・ミケーレが退場になってしまいましたしネ。本当に心配でした。でも結局は、粘りの引き分けに持ち込んだレッジーナでした。

 それにしても中村俊輔のブレイクスルー現象。彼についても、チュニジアとルーマニアでのパフォーマンスが楽しみです。




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