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ジーコジャパン(14)・・さて、これからのジーコジャパンの発展が楽しみになってきました・・日本代表対コロンビア代表(0-1)・・(2003年6月23日、月曜日)

フ〜〜! またまた「タラ・レバ」のハナシになってしまいそうで・・。

 とにかく日本代表が、フランス戦につづいて実に立派なゲームを展開したことだけは確かな事実。このゲーム内容だったら、確実に、「世界」でのアピアランス(存在感)を大きく高揚させられたに違いない・・。何せ相手は、(彼らが置かれた状況的に)100パーセント以上のモティベーションでゲームに臨んできている南米の強豪、コロンビアですからね。その相手に対し、攻守にわたって、まったくひけをとることのない高質なゲームを展開した日本代表。来月ドイツで開催されるサッカーコーチ国際会議にも、胸を張って出席することができます。

 まず何といっても、ハイレベルな戦術的発想をベースにした組織的ディフェンスにスポットライトを当てなければ・・。決して安易にアタックを仕掛けていくのではなく、落ち着いて相手ボールホルダーのアクションを抑制し、次、その次と、ディフェンスの輪を狭めていく日本代表。一人ひとりの守備プレーが、まさに有機的に連鎖していると感じます。だからこそコロンビアも、得意の個人勝負に持ち込めず(ディフェンスの「薄い」ところでの1対1の勝負シーンを作り出すことがままならず)、だんだんとボールの動きも停滞しはじめてしまったというわけです。

 そして日本代表は、そこから生まれる自信を確信へと昇華させ、それを攻撃のエネルギーへと転換していったのです(特に後半では、内容的にコロンビアを完璧に凌駕していた!)。そんな、ゲーム中におけるチーム発展プロセスには、深い、深いコンテンツが包含されていました。

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 この試合では、稲本が出場停止。ただ代わって出場した中田浩二も、例によっての忠実でクリエイティブなディフェンスを魅せました。それには、中田浩二を、フランス戦の後半に交代出場させたジーコの判断が活きていた?! 「次の試合では稲本が出場停止・・ここは遠藤とのコンビネーションイメージを高めておかなければ・・」。

 相方の遠藤ですが、忠実な汗かきとして、またクリエイティブな守備的ハーフとして、縦横無尽の活躍を魅せてくれました。パラグアイ戦でジーコジャパンでのデビューを果たし、そこからは全試合出場(この試合では、最後の時間帯に奥と交代)。いまでは中盤の「土台」として欠かせないメンバーというところまで存在感を高めています。

 相手ボールホルダーに対する素早く効果的なチェック・・ボールがないところでの忠実マンマーク・・優れたボール奪取テクニック等々・・その、労を惜しまないダイナミックディフェンスに拍手喝采じゃありませんか。何度、二列目から飛び出してくる相手を素早く「掴み」、最終ラインを追い越してまでもマークしつづけるという忠実な守備シーンを目撃したことか。彼は、後方の人数が「余って」いたとしても、決して「行かせる」ことなく、最後までマンマークをつづけるというイメージで守備に入っています。だからこそ最終ラインも、抜群の安定感を保つことができただけではなく、「前での勝負」にも積極的にチャレンジしていけた・・。

 最終ラインでは、坪井がマンマークイメージで、宮本が最終ラインのカバーリング(スイーパー)イメージということですが、その視点での遠藤は、前気味のストッパーイメージとも表現できそうな・・。

 またこの試合で先発した小笠原も、中田英寿とともに、効果的な「自分主体ディフェンス」を魅せていました。そんな中盤での「実効ある守備意識」こそがこの試合でのキーポイント。その善循環があったからこそ、自信と確信を深め、次の攻撃にも勢いを乗せることができるようになっていった・・。

 要は、中盤での「比較的」高い位置でボールを奪い返せたから(そのことでコロンビアも全体的に下がり気味になったから)、次の攻撃により多くの人数をかけられるようになり、日本の組織プレーも冴えたということです。「個」ではまだまだ限界のある日本・・それでも、組織プレーのイメージレベルは、もうかなりのレベルに到達していますからね。

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 とはいっても、「結果」ではツキに見放されてしまった・・。

 後半は、互角以上の「内容」でコロンビアをタジタジとさせていた日本代表。でも、三本あった高原の決定的チャンスを決められず、逆にコロンビアにワンチャンスのゴールを奪われてしまう・・(まあ、坪井の目測ミスから、相手に完璧フリーのシュートを打たれたシーンはありましたが・・たぶん坪井は、ソイツに後ろから押されたことで、バウンドするボールがアタマを越えてしまった?!)。

 唯一の失点シーン。宮本と遠藤のコンビが一瞬ズレ、コロンビア選手にボールをかっさらわれて持ち込まれ、ゴールを奪われてしまった・・。もちろん、あの状況で、宮本と遠藤のパス交換の「軌跡」を予測してプレッシャーをかけた二人のコロンビア選手の「勝負感覚」も抜け目なかったわけですが、それにしても悔やまれる連携ミスではありました(あそこでの遠藤は、何が何でも相手を止めるべきだった・・)。

 バウンドしたボールが坪井のアタマを越えてフリーシュートを打たれてしまったシーン。そして失点シーン。彼らは、そのシーンを何度もビデオで見返すことで、その体感を「次」につなげなければいけません。そうです、「次」の同じようなシーンにおいて、瞬間的にそのミスが脳裏に描かれるようになるまで・・。そんなイメージ描写さえあれば、今度は、より効果的&確実に対処できるはず!

 とにかく、前述した選手たちのハイパフォーマンスだけではなく、楢崎の素晴らしいゴールキーピング、両サイド(山田とアレックス)のダイナミックな押し上げと危険なクロス、高原と大久保コンビが魅せた、可能性を感じさせる積極的な最終勝負などなど、素晴らしいコンテンツがあっからこそ悔やまれる敗戦ではありました。

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 さて、予選リーグ敗退という残念な結果に終わったジーコジャパン。それでも、大きく胸を張って帰国してください。私は彼らを誇りに思います。本物の勝負の場において、あれだけの存在感を示すことができたのですから。

 自身の「リスクチャレンジマインド」の高揚や、チーム内の雰囲気の活性化も含め、様々な視点での「バランス感覚」が深化をつづけていると感じさせてくれたジーコ。これからのジーコジャパンの発展が楽しみになってきました。

 ちょっとアタマの回転が鈍ってきました(はじめから鈍かった!?)。これから別の仕事もありますので今朝はここまでにします。機会を見て、様々な視点でコンフェデレーションズカップでの日本代表を分析したいと思っていますので・・。

 あっと・・今日はトルコ対ブラジルという注目カードも残っていますし、何といってもリーガ・エスパニョーラ最終節もあります(本当は「最終節もありました」ですが・・とにかく本日の夜のスカパー再放送まで、絶対に結果を見ずに仕事に没頭するのだ!)。

 ということで、乱筆・乱文、失礼。




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