互いに攻め合うエキサイティングマッチになった韓日戦。全体的には、クレバーで高質なプレーをつづけた日本代表が、様々な意味を内包する「内容」で少しだけリードするというゲームになりました。だから、後半ロスタイムでの永井のゴールは、まさに正当な報酬だった・・。
「ソウルでも攻撃的なサッカーを展開する・・」。試合前のジーコ監督が、そう言っていたということです。攻撃的なサッカー・・。よく使われる表現ですが、その本質的な意味は、何といっても中盤での「アグレッシブな守備」に他なりません。要は、中盤を(ボール奪取の内容をベースに)支配することで、より攻撃的なサッカーを展開できるということです(ボール奪取の内容がプレーヤーに自信を与え、次の仕掛けがよりダイナミックで高質なものになる!)。
この試合では、韓国が押し込んでくる時間帯でも、心理的に押し込まれ、バタバタすることはありませんでした。そして自信をもった中盤ディフェンスを基盤に(また高いテクニックベースのボールコントロールに対する自信を基盤に)再び押し返していく・・。
中盤ディフェンスのキーは福西と中田浩二の守備的ハーフコンビ。もちろんそれにアレックスと小笠原も、忠実に、そして有機的に中盤ディフェンスに絡んでくる。「有機的に」の意味は、ボールホルダー(次のパスレシーバー)への忠実なチェックをベースにした次の読みディフェンスがしっかりと機能していたということです。
この試合で、明確な発展プロセスを感じさせてくれたアレックスについてショートコメント。前回のウルグアイ戦では、左サイドに張り付いていた彼でしたが、この試合では、まさに縦横無尽に走り回り、攻守にわたって実効あるプレーを展開しました。そんなダイナミックプレーもあって(もちろん小笠原も含め!)、日本代表は、二列目の二人(アレックスと小笠原・・後半は奥と小笠原)、三列目の二人(中田浩二と福西)、そして最終ラインが、三列の「守備ラインの網」を張り、有機的に連鎖する組織ディフェンスを展開できたし、互いのカバーリングもうまく機能した・・だからこそ、韓国の攻撃の芽を効果的に摘み取ることができた・・そしてだからこそ、最終的な仕掛けで、最前線の二人に(中山ゴンと山下・・後半は中山ゴンとアレックス)、まさに「日替わり」のように、チームメイトたちが後方から絡んでいけた(効果的なタテのポジションチェンジ!)・・。
中盤プレーヤーたちの高い守備意識がベースになっていたからこそ、福西や中田浩二だけではなく、両サイドの服部や名良橋も、タイミング良く最前線まで押し上げていけたということです。彼らが最終勝負シーンに絡んでいったケースでは、オレが最終勝負を仕掛けていってやる!という強烈な意志をふりまきながら、常に決定的スペースでの勝負をイメージしていると体感したものです。後ろ髪を引かれるという中途半端なマインドなど、露ほども感じない・・。
この試合で日本代表が作り出したチャンスのほとんどは、後方からの押し上げ(オーバーラップ)がベースになっていました。特に後半は、左サイドスペースへ走り上がり、正確なクロスで最終勝負を演出した服部、前後半を通じて、吹っ切れたオーバーラップから決定的チャンスを作り出した名良橋(特に後半の中山ゴンのフリーシュートを演出したシーンは、このゲームでのベストチャンス!)、はたまたタイミングを見計らった飛び出しにトライしつづける福西と中田浩二。頼もしい限りです。
たぶん彼らは、ジーコに対して、「オレたちだっているんだゾ!」という自己主張をしていたのでしょう。何といってもジーコは、欧州組を大前提にしたチーム作りをイメージしていますからね。初のアウェーゲーム。そして、内容でも立派なゲームを展開した「セカンドチョイス」の選手たち。昨年のアルゼンチン戦でもそうでしたが、そんな彼らの自己主張がチームを活性化したと感じました。そんな「国内組と海外組のせめぎ合い」という視点で、日本代表チームの発展プロセスが面白くなってきたと思っている湯浅なのです。なんといってもサッカーチームは、「活発な生き物」でなければいけませんからね。もちろんジーコの言う、「同じ選手たちがプレーすることでコンビネーションの質が上がっていく」という発想もあります。要は、チームマネージメントにおいてもっとも重要なファクターは優れた「バランス感覚」だということです。さて・・。
この試合でのもっとも重要なポイントが、素晴らしい機能性を魅せた中盤ディフェンスにあったと思っている湯浅なのですが、ちょっと時間がないもので、とにかくまずファーストインプレッションだけはアップしておこうと、必死にキーボードを叩きました。
今回も、(明日にでも)ビデオを見直しながら、小笠原が魅せつづけた、攻守にわたる自己主張の発展プロセス(後半に魅せた、身振りを交えた前線へのクレームのシーンなど!)、中田浩二と福西が、次、その次と予測しながら(自ら仕事を探しながら)展開した素晴らしいディフェンスコンビネーションと、攻撃へのクリエイティブな参加プロセス、そんな確実な中盤ディフェンスを「イメージベース」にすることで安定感を魅せていた最終ラインの機能性、はたまた、活発なボールの動きをベースにして素早く仕掛けていくオフェンス等々、ポイントを絞ってレポートすることにしますので・・。