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ジーコジャパン(6)・・ちょいと「個のパフォーマンス」にもスポットを当ててみましょう・・(2003年4月18日、金曜日)

あららっ・・。いま(木曜日の午後)の時点で、アクセス数が既にサーバーのキャパを超えてしまっているから、もうレポートをアップができない。ということで、二回目レポートの掲載は金曜日になってしまいました。ご容赦アレ。

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 さて今回は、主に「個人のパフォーマンス」にスポットを当てたレポートを・・。

 とはいっても、そのベースは、やはり「グループ」。昨日レポートしたように、小笠原とアレックス(後半は奥)、福西と中田浩二で構成する中盤カルテットの攻守にわたる優れた機能性が光り続けていたというわけです。

 まず小笠原。グラウンド上での自己主張が発展をつづけています。後半には、こんなシーンがありました。ボールをもった瞬間、例によって素早いタイミングでの仕掛けのタテパスをイメージする小笠原。ただ、タテのスペースを狙うべき(右サイドのタテスペースへ爆発フリーランをスタートすべきだった)アレックスが様子見になってしまう。これでは、瞬間的に韓国選手たちに詰められてしまうのも道理。仕方なく切り返し、横への展開パスを回す小笠原。次の瞬間でした、「どうしてタテへ抜けないんだ!」と、こぶしを突き出して文句を言ったんですよ。もちろん、次のスペースへ動きながら・・。

 アントラーズでは、そんな自己主張シーンを目にするケースも増えているのですが、代表でも・・。

 小笠原のイメージは「常にタテ」。どんなところ、どんな状況でも常にタテスペースをイメージしながらボールを扱うというアントラーズでの仕掛けリズムを、脳裏に描写していたというわけです。それに対しアレックスは、足許でパスを受けてからのドリブル勝負をイメージしていた?! そこが、互いの仕掛けイメージをシンクロさせていくために十分に時間をとることができない代表チームの難しいところ。中田英寿が入れば、またちょっと「ニュアンス」の違う仕掛けリズムになるだろうし、そこに中村俊輔や小野が入ってきたら・・。まあ余談ですが・・。さて、小笠原の自己主張です。

 そんな、小笠原が魅せた自己主張の心理ベースは「自信」に他なりません。「オレは、チームに貢献している!」。そんな体感エネルギーが、自己主張を加速させるのです。そして、その心理エネルギー(=自信)の大きな部分が、守備での貢献によって生成されていった・・。

 前半からフルパワー。ボールホルダー(次のパスレシーバー)への忠実なチェックは言うまでもなく、次のパスをターゲットにした全力ダッシュ(アタックアクション)、はたまたボールがないところでの忠実なマーキング(何度も、味方最終ラインを追い越してまでも、ボールがないところでの忠実マークをつづけた!)等々。そして実際に、身体を張った粘り強い競り合いからボールを奪い返すシーンを何度も魅せてくれます。スマートなインターセプトだけではなく、泥臭いスライディングも織り交ぜて・・。

 それだけではなく、チームメイトが「次のボール奪取」を狙えるような忠実チェイシング(チェック)アクションでもハイレベルな発想を見せつけてくれる。そんな実効あるディフェンスこそが、チームへの貢献をもっとも体感できる瞬間だということです。だからこそ次の攻撃でのリスキープレーにも、自信をもって取り組める。

 強烈な意志を前面に押し出す実効あるディフェンスという自己主張・・攻撃でのリスクチャレンジという自己主張・・言葉とジェスチャーを駆使した味方への要求という自己主張・・等々。そんな、責任が伴う主張こそ、自らを発展させていくための唯一の糧なのです。

 不確実性要素が満載だから、最終的には自由にプレーせざるを得ないのがサッカーだし、逆に「実効プレー(=リスク)」にチャレンジしなければミスも目立たないのもサッカーですからね(ミスを犯すかもしれない勝負を避けるのだから当たり前!)。

 様子見になって攻守の「流れ」に乗れないシーンが続出したら、(自他ともに?!)フラストレーションがたまるばかり。この試合では、そんな今までのネガティブイメージを払拭するかのように、攻守にわたる積極プレーを繰り広げた小笠原。これだったら、様子見シーンが出てきても、次の爆発をタメている・・ということになる。

 とはいっても、まだまだ才能を100パーセント表現できているというわけではありません。ドリブル突破チャンスがあるのに展開パスを回してしまったり(後半10分の勝負ドリブル&スルーパスで魅せた素晴らしい能力を持っているのに・・)、ワンツーコンビネーションを仕掛けていくための「突っかけドリブル」もまだまだ。また、「オレにパスを付けろ!」という勢いを感じさせる「パスを呼び込む動き」もまだまだだと感じます。彼だったらできる。正しい発展ベクトル上をひた走る小笠原。もっと、もっと自己主張を!

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 さて次はアレックス。たしかに、まだまだ気を抜いてしまうシーンはありますが、全体としては、攻守にわたって実効ある積極プレーが展開できていたという評価です。

 ドリブル勝負という彼の持ち味を発揮できるシーンは希でしたが、このゲームでは、ウルグアイ戦からの好影響か(反省か?!)、左サイドに張り付くのではなく、縦横無尽に動きまわって効果的なプレーを展開していました。彼もまた、守備からゲームに入るというイメージでプレーしていたのです。味方守備ブロックを追い越すような、ボールがないところでの忠実ディフェンスも魅せるアレックス。だからこそ守備ブロックが安定した。

 特にディフェンスでの一対一の強さが特筆。足も速いし、うまい追い込みと効果的なアタックタイミングなど、ボール奪取テクニックも十分。前気味のハーフが、あれほどの実効レベルでディフェンスにも貢献できれば、チームの可能性は確実に広がる。まあ現代サッカーでは当たり前ですが・・。とにかく、見ていて安心できるミッドフィールダーです。

 後半からは彼がフォワードへ上がったことで、前半ではどうしても限界が見えていた前線にも仕掛けのポイントができはじめます。最前線における「確信の演出」。それがあったからこそ、チームメイトたちの押し上げにも勢いが出てきたということです。

 中盤でインターセプトした福西が、そのままワンツーで攻め上がっていく・・前線の左サイドでうまくボールをキープした奥から、ここぞ!の勢いでオーバーラップした中田浩二へラストパスが通る(ペナルティーエリア内でフリーシュートのチャンス!)・・最後方からオーバーラップした服部へのロングパスが通る・・奥とのワンツーで抜け出し、相手に競り勝った名良橋から、決定的なバックパスが、まったくフリーになった中山ゴンへ出る(フリーシュートするも、大きくバーを越えてしまう)・・。そして最後は、そんな勢いが、永井のラッキーゴールとなって結実する・・。

 中田浩二、福西、はたまた両サイドの服部と名良橋。(特に後半)機を見計らって前線へ仕掛けつづけた守備ブロックの選手たち。その心理ベースも、中盤カルテットの高い守備意識に対する信頼でした。まあ、ちょっと行きすぎで(臨機応変に入れ替わるバランサーが残っていない状況で前へ重心をかけすぎて)韓国にカウンターを食らうシーンはありましたがネ。不確実なサッカーですから、それを100パーセント防止するなんてことはできるはずがない。逆に、そんな「100%セキュリティー」という発想が選手たちのマインドに入り込みはじめた(侵食しはじめた)瞬間から、チームの退歩がはじまってしまうものなのです。

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 中田浩二と福西。彼らの安定した中盤ディフェンスがあったからこそ、最終ラインが、ある程度の余裕をもって韓国の攻撃を受け止められた。また攻撃でも交代にサポートに上がっていくなど、攻守にわたる二人のコンビネーションイメージは光っていた。もちろん、小笠原、アレックス(後半は奥)との攻守にわたるグループワークを基盤にして・・。

 冒頭で書いたように、「中盤カルテット(グループ)の優れた機能性」こそが、個のパフォーマンスを最大限に発揮させるためのベースなのです。

 ちょっと中盤ディフェンスのことばかり書きすぎのように思いますが、それが機能してはじめてオフェンスパワーを増幅させられるのは確かな事実だから仕方ない・・。それに、この試合での日本代表の攻めは、やはり・・というか、中田英寿を筆頭に、ヨーロッパ組が(その何人かが?!)抜けたことによるパワーダウンは否めませんでしたからね。

 とにかく、韓国のホームであるにもかかわらず、内容でも立派なゲームを展開し、勝利までもぎ取ったジーコジャパンに対し、惜しみない拍手をおくっていた湯浅でした。

 また機会を見て、攻撃や最終ラインについても、ポイントを絞ってレポートするつもりですので・・。




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