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ジーコジャパン(18)・・またまた「ポゼッションという発想」の悪影響が目についてしまって・・日本代表対セネガル代表(0-1)・・(2003年9月10日、水曜日)

フ〜ム、ファディガが来ない・・モウサ・ンディアイエ(モウサ・ヌジャイ)が来ない・・チュウが来ない・・コリー、サール、シセも来ない・・そして最後は、当初来日の予定だったセネガルのスーパースター、エル・ハジ・デュフも来なくなってしまった・・。

 そんなセネガルの来日メンバーを見ていて、ちょいとモティベーションダウン気味の湯浅だったのですが、それでも、守備ブロックだけはW杯当時の主力は揃っているし、ディアワラという期待の新鋭もいるから、例によって堅いだろう・・まあ、セネガルの強さのバックボーンは「強固な守備ブロック」だから、それを基盤に攻撃でもある程度のチカラは魅せてくれるかもしれない・・なんていう期待もありました。

 それにしても攻撃陣が未知数。基本は守備的ハーフのパパ・ボウバ・ディオップが中心となり、アンリ・カマラと、ディオマンシ・カマラが前線で仕掛けていくというイメージでしょうか。とにかくジェフ二軍との無様なゲーム内容をくり返すようだったら、彼らのレピュテーションもまた、(ナイジェリアのように)地に落ちてしまうに違いない・・。

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 そんなことを考えながらゲームを見終わってまず思っていたことは、やはり相手がある程度強ければ、(選手個々やチームマネージメントに関する)日本代表の課題や問題点が見えてくる・・それにしても、やはりセネガルの守備は強かった(また攻撃も、カウンターから何度も決定的チャンスを作り出した!)・・というか、日本代表の攻めがだらしなかった・・後半は、柳沢(後半13分・・ヒデが演出したチャンス!)と本山(後半28分・・小野伸二のスルーバス一発!)が決定的シュート場面に絡むなど盛り返したから良かったけれど、前半は本当にどうなることかと思った・・なんていうところですかネ。

 日本代表は、特に前半、「ポゼッション」というプレー概念の影響が、悪い方向に出ていたと感じました。その悪い現象の骨子は、遅いタイミングの横パスや自信のないタテパスが目立つことで、ボールの動きが極端に遅くなっている・・だからセネガル守備ブロックに簡単に読まれてアタックされてボールを奪い返されてしまう・・とにかくタテへの仕掛けが遅いから(タテへボールを動かそうというチャレンジマインドが希薄だから!)セネガル守備ブロックに完璧な組織をつくられ、結局は、後方からの一発「ウラ突きパス」しか攻め手がなくなってしまう・・そんな仕掛けはセネガル守備選手たちの思うつぼだし、スピードのあるセネガル最終ラインだから、そんな単純な仕掛けで簡単に崩せるはずがない・・。

 ジーコの考えるポゼッションとは、タテへ仕掛けていくリスクの割合を、なるべく可能性の大きな方向へ高めるようにマネージしようというもののはずです。要は、しゃにむにタテへ仕掛けることで無駄にボールを失うのではなく、「最初の」タテへのチャンスがなくなったら、まず後方でしっかりとボールをキープしながら可能性の高いタテへの仕掛けを探ろう・・というイメージ。でも結局は、「より可能性の高い仕掛けを・・」というプレーマインドが一人歩きをはじめ、リスクを冒して仕掛けていくというマインドまでも大きく侵食してしまう・・そして、彼らのプレーから積極的なチャンレンジ姿勢が消失していく・・。

 まさにそれが、(特に前半での)日本代表の「攻撃プレー姿勢」でした。ボールを支配しながら落ち着いて仕掛けていこう・・という意図が前面に押し出され「過ぎる」ことで、選手たちの「タテへの仕掛けマインド」が停滞し、リスクチャレンジへの積極性が極端に落ち込んでしまう・・。

 もちろんそれは、監督の「プレーイメージ構築プロセス」によります。要は、「注意深さ」ばかりに重点が置かれるような、バランスを欠いた指示だったということです。もちろん後半は改善されたわけで、そこのところをジーコは、「最前線が戻り、そこで空いたスペースを後方の味方が突いていくなど、より積極的に、前線と後方のタテの協力作業へトライしていくように・・と指示した(内容の、湯浅なりの要約!)」ということでした。そういうことです。何せ前半は、まったくといっていいほど両サイドや守備的ハーフのオーバーラップが見られませんでしたからネ。まあ、あれだけボールの動きが遅ければ、前方にスペースができないのも当たり前ですけれど・・。

 ここで、一つだけ断っておきたいことがあります。それは、私が、この現象を、いまの日本代表には「攻めのカタチ(明確なイメージ)がない」などというワケの分からない表現で一括して片づけるようなことはしないいうことです。とにかく「ポゼッション」という考え方の背景に、自由にならざるを得ないサッカー攻撃において、よりハイレベルな仕掛けの可能性を探るための「スキル(アップ)志向」という発想があるのは確かなことなのです。その視点で私は、正しい意味での「ポゼッション・ビルドアップ」には賛成。でもそれが、リスクチャレンジ姿勢の減退につながるのだったら反対。要は、もっと「バランス感覚を・・」と言いたい湯浅なのです。

 まあ後半は、縦方向への活発な(素早いタイミングでの!)ボールの動きをベースに、日本もよく攻めましたから(リスクにチャレンジしましたから)、良いイメージの方が残ってはいますがネ。

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 この試合では、やはり中田英寿の、攻守にわたる高質なパフォーマンスが光っていました。チームリーダーとして存分の活躍です。とはいっても、前半は本当にフラストレーションがたまったことでしょう。何せ、自分のイメージするボールの動きが、まったくと言っていいほど演出できなかったのですからネ。それでも後半は、(ジーコの指示もあって?!)両サイド、また守備的ハーフの遠藤や稲本も、クリエイティブに押し上げていったことで、かなり自分のイメージに重なり合うサッカーができたようです。後半の中田の活き活きとしたプレーぶりからも、そのことが伺えました。

 そんななかで、彼が魅せるゲームコントロール(ゲーム演出)の真骨頂ともいうべき「タテのポジションチェンジ」が心地よかった。遠藤が行けば、その後方に中田ヒデのカバーがある。そのことは、右サイドの山田にしても同様。彼らにとっては、中田英寿のカバーリングほど心強いことはない・・。彼らの攻撃参加に、後ろ髪を引かれないダイナミズムが見られるのも道理です。

 また逆サイドのアレックスの場合は、主に稲本がうまくカバーしていました。とにかく、そんなタテのポジションチェンジ(=リスクチャレンジ)こそが、チャンスメイクのリソース(資源)。だからこそ後半の日本代表の攻めに勢いが乗ったというわけです。

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 遠藤の出来も良かったですよ。たしかに何度か、自分から積極勝負を仕掛けていくからこその(前向きの!)ミスはありました。とにかく全体的な出来は、本当に高みで安定していると感じます。それも、彼自身が考えつづけながら(自分主体で)プレーしているから他なりません。そのダイナミックなプレー姿勢は、心強い限りです。

 だからこそ私は、遠藤と小野の交代に「危機感」をつのらせていました。まあ、とはいっても、その時間帯のセネガルは、一点を守り切るというプレー姿勢になっていましたから、組織的に攻め上がってくることはありませんでしたが・・。

 もう一つ気のなったのが、やはりアレックスの守備。前半の彼は、アンリ・カマラに何度も振り切られていました(カマラにやられていたから、まったくオーバーラップもできなかった・・)。また試合終了数分前には、二度もつづけて、マークミスからフリーヘディングを放たれてしまった・・。ここでいう「フリーヘディング」とは、マークする相手に対し、十分に身体をあずけることが出来ていなかったということです。それは、ホンモノの勝負では決して許されない、まさに致命傷になるマークミスでした。

 全体としては安定していた日本代表の最終ライン(もちろん稲本と遠藤も入る守備ブロックも安定していた!)。だから逆に、アレックスの不安定さ(ディフェンスの粗さ)が目立っていたということですかネ?! まあ、もう少し詳細にプレー内容を分析しなければなりませんから、帰京してからビデオで確認することにします。もちろん遠藤と稲本、また中村俊輔たちの全体的な評価もやり直すことにしましょう。

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 とにかく、セネガルが「強さ」を魅せてくれてちょっと胸をなで下ろしていた湯浅でした。このメンバーに冒頭のクリエイティブスター連中が絡めば、また彼ら独特の魅惑的なサッカーを展開してくれることでしょう。

 今日は、こんなところで、新潟のホテルからアップすることにします。それではまた・・

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 あっと・・私の「ボランティア講演会」の告知を忘れていました。これはもうシリーズ化したものなのですが(以前はあまり告知しませんでしたが・・)、サッカー好きの人たちが集まって(湯浅のハナシを肴に?!)盛り上がる異文化コミュニケーションイベントというわけです。私はボランティアで講演するわけですが、(私の行動原則でご理解いただいているように?!)カネをもらっていないからといって講演をスッぽかすことは100パーセントありませんので・・念のため。

 ということで、下記が、主催者(NPO法人 横浜スポーツコミュニケーションズ)による告知文です。

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     フットボール道場 at TIROS

   湯浅遊走流 蹴球術奥義皆伝 其の弐

   踊る大監督 〜わがまま選手を封鎖せよ〜 

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 短かった夏も終わり、Jリーグはセカンドステージ真っ盛り。

欧州のリーグは新シーズンに突入し、ジーコはマッチメイクの妙で

国内初勝利を修めた・・・。

 全てのチームがそれぞれの成功を掴まんと努力を重ねているが、

その先頭に立つべき監督のうち、果たして何人がその挑戦を

最後まで貫き徹すことができるのか?

 

 今回のフットボール道場のテーマはずばり監督論!

 湯浅健二氏を師範とともに、古今東西の監督を題材に、

そのコーチングおよびチームマネージメントの哲学や手法に

ついて語り合い、この報われることのない男たちについての

考察を深めます。

 題して「踊る大監督 〜わがまま選手を封鎖せよ〜」!!

 心して参加すべし!!

 

 

■日 時■

 2003年9月26日(金)

 開 場 18時30分

 開 演 19察05分

 終 了 20時45分

 懇親会 21時00分〜22時30分

 

■ゲスト■

 湯浅 健二氏(ドイツ協会公認コーチ)

 

■会 場■

 フットボールカフェ TIROS

 港区芝大門1-16-8 大門葵ビル地下

 電話03-3578-0377

 JR浜松町駅北口徒歩3分

 都営地下鉄大江戸線・浅草線大門駅徒歩1分

 大門交差点コンビニ・サンクス隣メガネドラッグの下

 マップはこちら

 http://mypage.naver.co.jp/yscom/text/map_tiros.html

 

■料 金■

 道場参加費 2000円(ワンドリンク付、税込)

 懇親会   2000円(食事およびお飲み物代、税込)

  ※ 懇親会のゲストの参加予定はありませんので、

    予めご了承下さい

 

■定 員■

 40名

  来場者多数の場合は、事前申込された方を優先いたします。

  ぜひ、下記の要項をご覧の上、お申込下さい。!

 

■事前申込方法■

 メールで参加者全員の下記情報を・uォ入して

 yokohamascom@yahoo.co.jp までお申込ください。

 なお申込多数の場合は先着順とさせていただきます。

 

  @名 前

  A連絡先(メールアドレスor電話番号)

  B所 属

  C懇親会の参加or不参加

 

■主 催■

 NPO法人 横浜スポーツコミュニケーションズ

■後 援■

 フットボールカフェTIROS

 

 本イベントに関するお問い合わせは横浜スポーツコミュニケーションズ下記アドレスまでお願いいたします。

 

問合せ先:yscom@naver.co.jp

公式HP:http://mypage.naver.co.jp/yscom/




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