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ジーコジャパン(19)・・後半は安定したサッカーだったけれど、攻撃ダイナミズムなど、まだまだ何かが足りない・・(チュニジア対日本代表、0-1)・・(2003年10月8日、水曜日、現地時間)

「どうも、どうも・・」。

 ここは、チュニジアの首都チュニスにあるオリンピックスタジアム。試合開始まで、まだ2時間以上もあるのですが、不慣れなところですからネ、雰囲気を確かめるためにも早めに来場したというわけです。そこで、日本サッカー協会の関係者やジャーナリス仲間の方々と「再会」。そこでの「どうも・・」という簡単な言葉のウラには、よくここまで来たな・・なんていう互いを労う(ねぎらう)意味合いも含まれているというわけです。

 特に今回は、チュニジアにルーマニアですからね。ヨーロッパのハブ空港があるフランクフルトやバリ、ロンドンなどとは違い(ドイツやフランス、イギリス、またその周辺西ヨーロッパ諸国とは違い!)、到着するまでには、そこからまた様々な「労力」が必要になるというわけです。だから「どうも」に含まれる「ご苦労様・・」の意味合いもより強調される。私は、ドイツのビジネスパートナーに依頼して安い航空チケットやリーズナブルなホテルを用意してもらいましたが、特に単独で行動するフリーランスジャーナリストや、はるばる観戦に来た方々の苦労は推してしるべしなのです。

 私は昨日の夜にチュニスに到着。まあ日本からフランクフルトを経由しての連続的な移動でしたから、インターネット接続の確認と食事の後は、まさにホテルのベッドに倒れ込むように爆睡に突入したという次第。

 12時間くらい連続して眠りましたかね。日本での睡眠不足だけではなく、今回は飛行機のなかでもあまり眠れなかったモノで、本当に爆睡してしまいました。でももちろん試合当日の今日は、朝から市内探索・・。まあ明日の観光もふくめて、写真とともに報告するつもりです。

 あっと、余談のついでに、私のHPのウェブマスターの方へ連絡・・。インターネットは、ホテルのプロバイダーを借りているのですが、メールサーバーに接続してメールをダウンロードできるものの、逆に送信ができません。一体どうして・・?? 明後日には、私のプロバイダーのステーションがあるブカレストですから大丈夫だとは思うのですが・・。

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 またまた前置きが長くなってしまって・・。

 さてゲーム。今回の私の主要テーマは、何といっても中盤カルテット。それも、稲本と守備的ハーフコンビを組む小野伸二の中盤での機能性です。

 ジーコ監督は、「小野が復帰するにしても、(うまく機能している)現在のチーム内の競争を勝ち抜かなければならない・・」という立派なコメント(もちろん監督としては当たり前の姿勢!)を出していました。でもフタを開けてみたら、フェイエノールトでは攻撃的ハーフとしてもまだまだのパフォーマンスにとどまっている小野を先発起用です。それも、守備的ハーフして・・。とにかくまずそのポイントをしっかりと観察しようと思っているわけです。

 まだまだ世界のなかでは一流の域に達していない日本代表。だからこそ、確実な(実効ある)ホンモノの守備意識だけではなく、相手からボールを奪い返すという(本当の)守備の目的を達成するための実質的なディフェンスパフォーマンスが問われる・・。そのポイントで、遠藤も含む「周り」を納得させられなければ・・。まあ観てみましょう。

 次のポイントが、全とっかえとなった最終守備ライン。特に私は、三浦淳宏と茂庭に期待しています。茂庭については、今でもドイツ人のコーチ仲間に質問されますよ。今年7月のコーチ国際会議でも、「モニワは、いま何やっている? まだ日本代表に入らないのか・・?」なんてネ。

 「あれ」は、どの試合だったか・・。いま資料がないから正確に確認することは無理なのですが、たぶん昨年5月にフランスのツーロンで行われたU21(?!)トーナメントだったと思います。そこでドイツ代表と戦ったときに茂庭が魅せた素晴らしいパフォーマンスが今でもヤツらの記憶に鮮明に残っているというわけです。私も、そのときドイツにいてテレビ中継(ユーロスポーツ)を観たのですが、身体能力にの高さや確かな技術だけではなく、とにかく読みの良いクレバーディフェンスが目立ちに目立っていたことを覚えています。ドイツ人のコメンテーターも、「またモニワだ・・ヤツがいるせいで、何度ドイツの攻撃の芽が摘まれたしまったことか・・」なんて嘆くこと。そのコメントも印象深いものでした。さてこの試合では・・。

 それにもちろん、「ポゼッション」という発想が、ジーコジャパンの攻撃をどのくらい「縛るのか」にも注目です。まあそれについては、タテへのチャレンジ傾向を、タテパスの内容と頻度という評価基準で見てみることにします。

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 さてどうしたものか・・。

 ゲームの立ち上がり、日本の中盤ディフェンスがうまく機能せず、ホームスタジアムという心理ベースを背景に「勢い」を加速するチュニジアに押し込まれるだけではなく、ピンチまでも迎えてしまうのです。また、攻撃イメージももうまく噛み合わない。だから、ことごとくチュニジアディフェンスの網に引っかかって簡単にボールを奪い返されてしまう・・。

 中盤ディフェンスは、やはり「ねらい所」をうまく機能させなければなりません。そのためには、どこかで相手ボールホルダーをしっかりと「抑え」なければならならない。相手のボールコントロールの抑え・・パスコースの抑え・・。ボールホルダーに対するチェス&チェックがうまく機能しないから、次の勝負所での「狙い」が定まらず、間合いも詰められない・・。これでは中盤でのボール奪取がうまくいかないのも当然です。そんなだから、相手の前への勢いを抑制することができずに押し込まれ、決定的ピンチも迎えてしまう・・。

 またボールを奪い返してからの攻撃が、やはり・・というか、安全志向に引っ張られ過ぎだと感じます。要は、安全ばかりを意識した(=ミスを恐れたといった方が正解!)横パスが目立つのですよ。だから、次の仕掛けのタテパスのタイミングが遅れ、相手守備に読まれてしまう・・。

 とにかく少しでも、(ミスが怖くて)安全な横パスを出す(安全な横パスに逃げる)ような雰囲気が出てきたら明らかな危険信号です。もちろんジーコは、そんなことを意図していないのでしょうが、それでも、ポゼッションという発想が一人歩きしてしまったら、当然選手たちは「安全方向へ逃げる」ものです。自分一人が責任を負いたくありませんからね。特に日本人にはこの傾向が強い。

 リスクチャレンジのないところに発展なしという普遍的な概念があります。もちろんそれも、サッカーに正確に当てはまる。でも日本人は、(あくまでも一般的に!)それを実践していくことが苦手。監督がポゼッション(≒安全に)という発想を強調した瞬間に、選手たちに「逃げる口実」を与えてしまうというわけです。だから日本の場合は、監督の「バランス感覚」が特に重要な意味をもってくる・・。

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 ・・ってなわけで、前半の30分くらいまでは、皆さん見られたとおりに押し込まれつづけるだけではなく、攻撃でもまったくといっていいほど相手ゴールへ迫っていけない日本代表なのです。こちらはフラストレーションがつのる・・。

 それでも、前半も残り15分くらいになって、徐々にゲームが落ち着いてきます。そしてそれに伴って、日本代表のボールキープ率も上昇していく。まあキープ率をいくら高めても、リスクチャレンジ志向が減退しているのだからチュニジア守備ブロックを振り回したチャンスを作り出すところまではいけないのも道理ですがネ・・。

 まあ日本代表にとっては、攻守にわたるマイナス要素が先行した拮抗状態といった展開になっていったわけですが、そんな雰囲気のなか、日本代表が、唐突に先制ゴールを奪ってしまうのですよ。前半39分。ややラッキーなスルーパスが通り、それが、柳沢の飛び出しタイミングとピタリと合ったというわけです。あの場面で柳沢が、飛び出してくる相手GKをしっかりと外したシュートを決めたのは、見事でした。「あの」柳沢の飛び出しと、冷静なシュートは、セリエからの恩恵?!

 そしてその後、やっと日本代表のサッカーにも「自分主体に活性化した勢い」が出はじめ、それが後半の安定したゲーム内容につながっていったというわけです。ただ、安定したとはいっても、あくまでも守備面がメイン。攻撃では、相変わらず「強すぎる安全志向」が目立つことで、どうしてもチュニジア守備ブロックを崩していけません。

 それにしても、前半20分過ぎからのチュニジアのパフォーマンスダウンにはビックリ。あれほど急激に足が止まってしまうとは・・。彼らにはリーダーがいない?! まあそういうことなんだろうな・・前半の立ち上がりのあの勢いはどこへいってしまったのだろうか・・後半には、また最初から飛ばしてくると思ったのに・・。

 まあ逆な見方をすれば、日本が徐々にパフォーマンスをアップさせていったということも言えます。そのパフォーマンスアップ現象の表現としては、「ボールホルダーへのチェイス&チェックと次のディフェンスの噛み合わせの向上によるディフェンス機能性アップを基盤に、中盤のコントロール性能が格段に良くなった・・」てのが妥当でしょうかネ?! とにかくそのことが、チュニジア選手たちの「気力」を大きく減退させたのは確かな事実でした。「何度やってもうまくいかない・・途中で潰されてしまう・・今度も、スペースへ飛び出してもダメだろうな・・」。心理・精神的な悪魔のサイクル・・。そしてゲームの流れが、どんどんと日本代表へと傾いていく。

 そして、日本代表の中盤でのボール奪取がうまく回りはじめたことで、またチュニジアが守備を完全に「開き」はじめたことで、日本代表も、決定的チャンスを作り出しはじめます。加地の抜け出しへのスルーパスが決まったシーンは、まさに決定的・・また右サイドからのラストクロスに、ニアサイド勝負に出た藤田が突っ込んだシーンは、この試合でのベストチャンスだった・・決まっていれば、まさに「藤田ゴール!」だったのに・・。

 まあ、最後は危なげのない日本代表の勝利ということになったけれど・・攻撃の吹っ切れたダイナミズムとか、まだ何かが足りない・・。とにかく、帰国したらすぐにでも、ニュートラルな視点でビデオを見直してみなければ・・。

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 小野伸二は、攻守にわたって安定したパフォーマンスを魅せてくれました。稲本とのパートナーシップも上々。

 私が小野について観察したのは、ボールがないところでの守備が基本です。最初の頃は不安定でした。マークはしているのだけれど、そのまま振り切られたり、ドリブルで抜き去られたりというネガティブシーンが何度か・・。それでも時間が経つにつれて、プレーが抜群に安定しはじめます。

 (必要とあらば)何度も、最終ラインを追い越したり、そのなかに入ってまでも相手を効果的にマークしつづけたし、危急状況では、全力ダッシュで最終ラインのカバーに入ったりもした(この、意図が満載された全力ダッシュがキモなのです!)・・また相手の展開に応じて(味方のチェイス&チェック状況に応じて)味方のプレスの輪をリードしたりもしました。頼もしかったですよ。

 でもやっぱり、彼自身の「ボール奪取シーン」が少なすぎる。その意味では、(まあ活動範囲の広さも含めて)遠藤の方が確実に上です。とはいっても小野には、高い攻撃センスも備わってますからネ(ジーコはそこをメインに見ている?!・・私は、守備力を中心に評価しなければならないと思っている!)。

 まあ小野伸二に対する評価も、まだまだ流動的だということです。ルーマニア戦が楽しみ・・。

 全体的にはまたまあまあの出来だった最終ラインについても、(前半立ち上がりでは不安定シーンも何度かあった・・その後は、日本代表の中盤守備の安定に伴って、安定した読みディフェンスが機能した・・など)もう一度ビデオを見直して評価したいと思います。

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 その他にも、高みで安定し、中盤のリーダーとして攻守にわたって素晴らしい活躍を魅せた(運動量でもチーム随一!)中田英寿・・攻守にわたって、これまた高みで安定しはじめたことで、自らのこの才能を存分に発揮できるようになった中村俊輔・・中盤でのボール脱主の仕掛け人としてダイナミックなプレーを魅せた稲本潤一・・相変わらず最前線での汗かきプレーが冴えただけではなく、チャンスメイクでもうまく機能していた鈴木・・ゴールを決めた柳沢・・等々、コメントしなければならないことはありますが、それもまた帰国してから、ルーマニア戦の内容ともに、まとめ直すことにしますので・・。

 ということで、時差もありますから(ちょっと意識が定まらなくなってきた・・)本日はここまでということで・・。




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