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ジーコジャパン(20)・・ちょいと肩の力を抜いた雑談・・また「彼の地」での休日レポートも・・(2003年10月9日、木曜日)

「ナカータ! ナカータ!」。

 昨日のゲーム後、競技場からホテルへ帰るためにタクシーを拾おうと路上に立っているところで、居合わせたチュニジア人サポーターに声をかけられました。それにつづいて、「日本は、ホントにいいサッカーをやったぜ・・」とか、「当然の勝利だよ・・」とか、簡単な英語で声をかけてくるのですよ。ここはいいチャンス! そのなかの一人をとっ捕まえて(英語をカタコトでもしゃべるヤツを物色して一本釣り!)簡単にハナシを聞きました。

 「どうしてナカータなんだい? ジャポン、ジャポンじゃないのかい?」

 「もちろん最後はジャポンだけれど、やっぱりナカタは一番有名じゃないか・・というよりか、オレはナカータしか知らないから、やっぱりナカータイコールジャポンということになっちゃうんだ・・」

 「観はじめてすぐに、どれがナカタか分かったよ・・キャプテンマークをつけていたし、プレー内容も目立っていたからネ・・特に、自信にあふれたプレーぶりが存在感を感じさせていたと思うよ(His confident play has very good presence・・なんていうカタコトの英語ですが、意味は十分に通じる!)」なんてことも例の彼が言っていました。

 やはり、監督でもプレーヤーでも、一国のサッカーを象徴する存在がいるかどうかは、その国のサッカーの国際ポピュラリティーにとって決定的な意味を持つというわけです(ポピュラリティー=一般認知度・・人気・・評判・・一般受け・・大衆性・・通俗など!)。

 とにかく「ナカタ」は、今のジャパンブランドを支える背骨になっているということです。

 私がドイツへ留学していた1970年代。(フットボールネーションにおいて)日本は、サッカーの世界では「存在しない」に等しい国でした。それが奥寺康彦がブンデスリーガで活躍するようになってから、ガラリと状況が変わります。当時彼が所属した「1.FCケルン」はドイツのブンデスリーガチャンピオンにまで上りつめ(1977年・・もちろん奥寺も優勝レギュラーメンバー!)、次の年には、今のチャンピオンズリーグに当たるチャンピオンズカップにも出場しました(準決勝まで進出!)。そのことで、「ジャパンブランド」を、ほぼ100パーセント担う日本人選手というところまで上りつめたのです。「オクデラ」という選手が、日本サッカーのイメージアップにどれほど寄与したことか・・。

 同じことは、奥寺と同じ時期にブンデスリーガで大活躍した元韓国代表監督チャ・ボンクンにも言えます。彼のお陰で、韓国サッカーに対する「目」が確実にポジティブ方向へと変容を遂げたのです。

 数年前、どこかのメディアで、中田英寿についてこんなコラムを書いたことがあります。

 仲間のドイツ人コーチの間でも高く評価されているナカタ・・その評価のコアは、「チームプレーと個人勝負プレー」そして「攻撃と守備」のハイレベルなバランス・・彼は、「ブルガリア代表のレチコフ」にも匹敵する選手だ・・日本ではレチコフは知られていないけれど、フットボールネーションでは、ブルガリアの大スターだったストイチコフの才能を、クレバーに極限まで引き出したのが彼だったという最高の評価を得ていた・・「チームプレーの影の中心」としてのレチコフに対する評価は非常に高かったのだ・・ナカタのプレーイメージが、そのレチコフに重なり合う・・そのことについては、友人のドイツ人コーチたちも一様にアグリーだった・・欧州エキスパートたちにも高く評価され、日本サッカーの「イメージリーダー」にもなっている中田英寿・・それは、本当にスゴいことだ・・いま日本サッカーは「ナカタ」という宝物を手に入れた・・ボクは、イタリアではなく、ここドイツで、そのことを体感させられた・・等々。その文章を、今更ながらに思い出している湯浅だったのです。

 もちろん今では、「上手いだけの選手」から大きく脱皮しようとしている中村俊輔や、オランダの小野伸二、ドイツの高原直泰、イングランドの稲本潤一など、ジャパンブランドを支える多くの選手が出てきています。心強い限りじゃありませんか。また日本代表チームは、サッカー史に残る「世界ブランド」の一人であるジーコが率いているということもありますからネ。

 外国の「現場」との接点が多い関係で、「外」に出るたびに、彼らの、日本サッカーに対する(そのアピアランスやポピュラリティー、またサッカー内容に対しても!)貢献度を「体感」している湯浅でした。もちろんサッカー内容についてだけは、大きな振幅のなかにあるわけですがネ・・。

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 昨日のコラムをアップしてベッドに入った後、上記したことも含め、さまざまな発想がアタマのなかを駆けめぐりはじめてしまいました。疲れてアタマが回らなくなったはずだったのに、ベッドに入った途端に覚醒してしまって・・。まあそれでも2-3時間したら、急にブラックアウト状態になってしまったようで、気付いたら朝でした。

 でも、本日の朝から出掛けた観光トリップの最中も、様々な思いが・・。例えば・・

 たしかに後半の小野伸二は、攻守にわたって積極的で優れたプレーを披露した・・それはフェイエノールトで魅せた最高のパフォーマンスに匹敵する・・それでも、どうも「最後の瞬間」にける信頼度がイマイチ高まらない・・それは、(例えばW杯ベルギー戦とかの)「ここぞの勝負所で相手マークを放して決定的ピンチになった・・」というシーンが、トラウマになっているからなのかもしれない・・後半のチュニジアは、まったくダイナミズムを失ってしまったから、ボールがないところで勝負を決めるというシーンを演出できるはずがなかった・・だから日本選手たちが、ディフェンスにおいて一番難しい状況に陥ることもなかった(余裕をもって相手攻撃を受け止められる!)・・それでも相手が強く、ギリギリのハイテンション勝負となったら、確実に一試合に数回は、ボールがないところでの決定的な勝負シーンが訪れる・・そこで、目立たない実効プレーを自分主体で実行していけるかというホンモノの勝負勘(強固な意志力!)が問われる・・その部分では、タイプとして「基本的なプレーイメージが中盤守備主体」の選手の方が安心できる・・とはいっても、昨日の小野のパフォーマンスは、本当に復活と呼べるくらいよかった・・これでジーコが、そのことを、チーム内の健全な競争環境(健全な緊張環境)の整備に、どれくらいうまく活用できるかにテーマが移っている(ちょいとテーマが右往左往!)・・等々。

 またその他の選手たちについても、こんなことを思いめぐらせていましたよ。

 前半に何度かあったピンチでの(その時点で守備ブロックに参加していた)各選手たちのプレー内容をもっとしっかりと把握しなければ・・やはり最後はボールがないところでの(目立たないところでの)守備プレー内容が問われる・・茂庭にしても中澤にしても、「目立つボール絡みシーン」ではそこそこ安定した強さを魅せてくれた・・またこちらが気付いた範囲では、ボールがないところでの読みディフェンス(予測ベースの勝負アクション!)もうまく機能していた(それは、味方による中盤ディフェンスの内容が改善されたからに他ならない!)・・それでも、前半の中盤以降からは、(チュニジアの攻撃パフォーマンスが極端に減退したから!)日本の守備ブロックが本当の意味でチャレンジを受けるというシーンはほとんど出てこなかった・・だから微妙な評価は難しい・・要は、守備での評価は、一般的に非常に難しいということ・・もちろん、身体能力やテクニック、はたまた局面での勝負コンテンツ(1対1での競り合いの強さや決定的フリーランニングに対するマークの確実性など)に対する評価は比較的簡単だけれど・・それに対し、勝負所におけるボールがないところでのアクション内容までも正確に評価するのは難しい作業になってくる・・そこには、ボール絡みの相手やボールなしでアクションを起こす相手だけではなく、味方の守備アクションなども複雑に絡んでくるから・・等々。

 まあ、その他にも、三浦淳宏や加地、稲本や中田英寿、中村俊輔やツートッププレー内容について、明確に「外郭が定まらない状態」でのイメージ評価にアタマを巡らせていたという次第。一つの現象が、敵味方のプレー意図と実際のプレー内容が複雑に(有機的に)絡み合っているというサッカーでの評価は、本当に難しい。まあ、だからこそハマり込んでしまうというわけですがネ。

 とにかくそんな思考プロセスが、二日後のルーマニア戦に臨むうえでの有意義な(?!)イメージトレーニングになっているはずだと思いたい湯浅でした。

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 さて、チュニジアの首都チュニスとその周辺について、写真をミックスしながら短くまとめます。

 まず試合当日の昼間に散策したチュニスのメディーナ(旧市街の一画)。そこは、チュニスのモダンなメインストリート(右の写真・・キャフェや様々な店が軒を連ねる)の先にあります。そこは狭い路地が複雑に入り組んだ、まさに古い、古〜い街並み。昔ながらの風情が漂っています(左の写真)。その雑多な雰囲気には、アジアも含め、どの発展途上国にも共通したモノがあると感じていた湯浅でした。

 また今日私が訪れたのは、チュニス郊外にあるカルタゴの遺跡(地中海に面した遺跡は、たしかに特別な雰囲気がある)や、素晴らしい景色で有名なチュニス郊外の保養地シディ・ブー・サイドなど、チュニス郊外のリゾート地帯(高級住宅街)です。

 特にシディ・ブー・サイドは、すべての建物のカラーリングが青と白で統一され、周囲と美しいハーモニーをかもし出していました。一見の価値アリとドイツの友人に言われていたこともあって訪れたのですが、白と青で統一された建物、うまくミックスされた自然、そしてそれら全体を包み込むように広がる地中海と、まさに「百聞は一見にしかず」の美しさでしたよ。

 まあそんなところですが、記述内容が簡単すぎてスミマセン。もう少し情報を収集して詳しくディスクライブ(表現)すべきなのでしょうが、どうも集中力が途切れがち。ということで、ホントに簡単な記述になってしまいました。申し訳ない・・ご容赦・・。

 

 

   では、次は期待のルーマニア戦レポートまで・・。




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