ビジネスをオフにした今日は、朝から何試合もチャンピオンズリーグ第二節を観戦しつづけていた湯浅だったのですが、徐々に、(注意深さばかりが前面押し出された)退屈なゲームを観すぎたことが原因の集中力の欠落状態に陥ってしまって・・。そんな気抜け状態の観戦は、まさに不健康そのものじゃありませんか。観戦での「心理的な悪魔のサイクル」?! まあ、そういうことかもしれません。
これではいけない!と、心理状態を活性化するために、先日ビデオに録画しておいたリーガエスパニョーラ(バレンシア対レアル・マドリー)を観ることにしました。そしてすぐに、「これは・・!!」という強烈な刺激を受けてしまったというわけです。
これまで、レアルについてはポジティブなコメントを書いていたわけですが、そんな彼らのサッカーに、深い問題の芽が見えはじめたのです。そのことについては、「より強い相手と当たったときに、中盤ディフェンスの問題点が見えてくるに違いない・・」という内容を書いていましたよネ。そしてバレンシア戦を観ながら、やはり、いつかは正対しなければならない「真実の瞬間」がレアルに訪れたと確信したというわけです。
要は、カンビアッソとベッカムの守備的ハーフコンビでは、相手が強くなった場合、その攻撃を抑え切れない・・ということです。相手のレベルが上がれば、必ず中盤守備に「ほころび」が出てくる・・。
この試合でのレアル守備ブロックは、まさに「ザル」状態。中盤の底が、相手攻撃の芽を抑制できないものだから、最終ラインも不安定になってしまう・・。アイマール、ビセンテ、ロペス、ミスタ等による仕掛けを十分に抑えることができないレアル守備ブロックを観ていて、これは大変なことになるかもしれない・・なんて思ったものです。
それは、状況を分析すれば当然の成り行きでした。何とっても、ボールがないところで決定的アクションに入っている相手を、しっかりとマークできていないのですからネ。だから最終ラインは、ハッと気付いたら、二列目、三列目からフリーで飛び出してきた相手選手までもケアーしなければならなくなってしまう。
私は、目を凝らしてベッカムとカンビアッソのプレーを観察していました。カンビアッソは、守備的ハーフ専業で、ベッカムは、組み立ての起点としても機能する・・というイメージなんでしょう。そんな基本的なプレーイメージもあって、ベッカムは、タテに走り上がる相手や、逆サイドからベッカムのゾーンへ入り込んでくる相手をタイトにマークせずに、「ボール絡みシーン」でのディフェンスばかりに精を出す。これでは守備ブロックが安定しないのも当然じゃありませんか。またカンビアッソにしても、ボール絡みディフェンスの得意なタイプの選手ですからネ。要は、今のレアルの中盤の底に「マケレレ」がいないということです。
本日の深夜に生中継されるポルト対レアル・マドリーでは、ケガをしたベッカムは出場しないらしい。代わりに、より「らしい」守備的ハーフが入る?! でも、いるんですかネ、そんなタイプの選手が・・。
とにかく、レアル・マドリーの「ゲーム内容」を観ていて、これから彼らが直面するに違いない「イバラのプロセス」に対する興味が、大きくアタマをもたげていました。もちろん、ケイロス監督のウデに対する興味も含めてネ。さて・・。
あっと・・、今日アップされたスポナビのコラムで、(高原直泰も含む)ドイツ・ブンデスリーガのことを書きました。是非「そちら」もご一読アレ。
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さて、エスパルスとレッズが激突したナビスコカップ準決勝の第一戦(エスパルスのホームゲーム!)。ゲームを観はじめてすぐ、こんなことを思っていました。本当に、レッズのワンチャンス反応プレーはすごい・・。
前半、ゲームを全体的に支配するホームのエスパルスに対し、まさに蜂の一刺しという表現がピタリと当てはまるような鋭い仕掛けを繰り出していくレッズ。もちろんカウンターがメインですが、なかには、組み立ての流れのなかで一瞬のスキを突くといった仕掛けもありました。とにかく、どんなチーム戦術でも、全員のイメージが統一され、それに徹した忠実プレーが展開された場合は、確実に勝負強さが発揮されるものだという普遍的な概念を反芻していた湯浅だったのです。もちろん、その「本質的なゲーム内容」が、将来につながるものかどうかという議論は別にしてネ・・。
最初にレッズが作り出した「ワンチャンス反応プレー」は前半11分。右サイドで、マークするアレックスの一瞬のスキ(ボールウォッチング)を突いて飛び出した田中達也に、相手守備ブロックをワナにかけるドリブルで突っかけていた山田暢久から、ピタリのタイミングのスルーパスが出たのです。そして最後は、ニアポストスペースへ飛び込んできたエメルソンへのラストパスが通ったという決定的チャンス(シュートはGKの正面へ飛んでしまった・・でも絶対的チャンス・・惜しい!!)。またもう一つは、エスパルス陣内にちょっと入ったところでのレッズのフリーキックシーン。これまた田中の「ボールがないところでの決定的フリーランニングスタート」に、キッカーの山田が、ピタリと反応した(素晴らしい一発スルーパスを決めた!)という絶対的チャンスでした(ギリギリのところでエスパルスディフェンダーに防がれた!)。
最初のシーンでは、落ち着いた山田の仕掛けドリブルと、田中達也のベストタイミングのスタートに歓喜の雄叫びをあげるのと同時に、ボールウォッチャーになって田中を「行かせて」しまったアレックスの守備に、チェッと舌を鳴らしていました。日本代表の試合でも、何度も、ボールがないところでの「気抜けマークミス」を目撃していましたからネ。
ホンモノの勝負ゲームであんなマークミスをしたら、まさに致命傷になってしまう。だから私は、日本代表の中盤選手たちのセレクションでも、「実効ある(ホンモノの)守備意識」という絶対的な評価基準を当てはめるべきだと言っているのです。日本代表は、まだまだ世界の二流。だからこそ、(90分間、集中が途切れることなく)忠実でハイレベルな「守備意識」が決定的なファクターになるのです。あっと・・話題がそれてしまいました。さてゲーム。
エスパルスが、やや押し上げ、レッズが(前述のような)鋭いカウンターを仕掛けていくというゲーム展開のなか、唐突に先制ゴールが入ってしまいます。エスパルスのアン・ジョンファンが素早い動作から放ったミドルシュート。前半23分のことです。結局それが、このゲーム唯一のゴールということになってしまいました。
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その後の試合展開は、もちろんレッズが押し上げるというものに変容していきます。
そこでのレッズの攻撃内容に、(リードされているということもあって?!)ちょっと「解放の兆し」を感じていた湯浅でした。山瀬が中心になって、(後方からのオーバーラップなど)タテのポジションチェンジもみられるようになったし、後方の選手たちも、積極的に最終勝負シーンへ絡んでいくようになったのです。それも、両サイドバックだけではなく、守備的ハーフの鈴木も絡んだカタチで・・。山瀬効果?! いや、それをいうのはまだ早い・・。
後半、レッズの前への勢いは、どんどんと加速していきます。もちろんそこでは、エスパルスの守備傾向が強くなった(全体的に下がり気味になった)という見方もできる・・。本当に、サッカーの観察には、ホンモノの「バランス感覚」が要求されるのですよ。
とにかく押し込みつづけるレッズ。とはいっても、中盤でボールをもっても横パスばかりだし、前にスペースがあっても、ドリブルでスペースをつなごうとする姿勢さえみえない等、(前述した)前半の最後の時間に感じさせてくれたような変化の兆し(山瀬効果?!)が消え失せてしまって・・。
まあ、そんな「変化」はなくても、レッズには大迫力の「個の突破力」がありますからネ。組織的な仕掛け(素早く広いコンビネーションで相手守備ブロックのウラを突く!)というイメージはないけれど、一発クロス勝負と、足許パスを受けた田中やエメルソンが仕掛けていく、レベルを超えた迫力のドリブル突破チャレンジがあるというわけです(特に、田中達也の突破力の発展には目を見張るものがある!)。
とはいっても、そんな変化のない最終勝負では、ことごとくエスパルス守備ブロックに読まれて潰されてしまうという手詰まり状態に陥ってしまうのも道理・・。
残り10分弱というタイミングで、平岡が二枚目イエローで退場処分を食らってしまったのですが、それでも最後まで、エスパルス守備ブロックのバランスを崩すようなシーンを演出することは叶いませんでした。森岡と伊東輝悦を中心としたエスパルス守備ブロックの集中力にも拍手です。
第二戦はレッズのホーム。またまたエキサイティングなドラマが展開されるに違いありません。残念ながらその日私は、チュニジアのチュニスで日本代表のゲームを観戦中。まあ、帰国してからゆっくりとビデオで確認することにしましょう。
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ところで、10月15日に、またまたボランティア講演をすることになりました。
それは、「川崎サッカー市民の会」という市民団体が企画・運営するサッカーイベントです。10月1日から、毎週水曜日の1900〜2030時まで行われるとのこと。その一環として、10月15日に、私も講演することになったという次第。「欧州サッカー事情」という私の講演の後には、浅野哲也さん(サッカー解説者、元日本代表)、植田朝日さん(日本代表サポーター)、大杉さん(俳優)等が参加するパネルディスカッションもあるそうです(私は最初の45分間の基調講演だけ)。
場所や、時間などについては「こちら」を参照してください。また、会場となる幸市民館のホームページもありますので・・。