トピックス


ナビスコカップ第二節・・若いヴェルディーの活気あふれるサッカーの方が目立っていました・・レッズvsヴェルディー(0-1)・・(2003年3月15日、土曜日)

ちょっと迷っていたので、原稿は、帰宅してから書くことにしました。

 いつもだったら、ゲームを観ているなかで、絞り込んだメインテーマが自然とわき出てくるものなのに、この試合では、局面、局面を、ボールがないところを中心に集中して観察したこと、そして局面プレーにおけるエッセンスに思いをめぐらし過ぎていた(?!)こともあって、うまくテーマが定まらなかったのです。ということで、モヤモヤ頭のままでクルマに乗り込んだ次第。雨が降るかもしれなかったので、今日は四つ輪での移動でした。

 そして渋滞のなかで考えつづけていました。「たしかに、チャンスの質では、若いヴェルディーの活きのいいプレーの方に軍配があがるな・・レッズの守備ブロックを振り回すというシーンも見られたしな・・それに対しレッズがチャンスを作り出したのは、セットプレーとか(エメルソンのヘディングは本当に惜しかった!)、こぼれ球の中距離シュートくらい・・レッズは、例によって前後分断サッカーだから、ヴェルディーの守備ブロックも守り易いことこの上なかったろうな・・何といっても、最終勝負を仕掛けてくるメンツとスペースが明確に見えるんだから・・ヴェルディー選手たちは、ヤツらが狙っている勝負所が見えるから、そこさえ明確にイメージしていればいいと守備についていたんだろう・・等々」。

 チャンスの質ですが、頻度は多くなかったとはいえ、たしかにヴェルディーの方が良かった。何といっても、攻撃に変化がありましたからね。とはいっても、その変化にしても、基本的には個人プレー(局面でのワンツーなども含む!)で演出したシーンがほとんどだったというのも事実です。だから、人数をかけるレッズ守備ブロックを簡単には切り崩していけなかった。

 対するレッズの攻撃は、まだまだ前後分断。最前線に永井とエメルソン。その後ろでチャンスメイクするエジムンド。そこへ、たまに山田や内舘、はたまた三上が絡んでくるくらいで、基本的には前線の三人で勝負をしかけていくという発想は変わりません。ヴェルディー守備ブロックも守り易かったでしょう。彼らは、エメルソンやエジムンドの仕掛けのクセも良く知っているでしょうからね。レッズ攻撃陣がなかなか崩していけないのも道理というわけです。

-----------------

 私はクルマのなかで別のことも考えていました。「やはり、本当の守備意識・・というか、本当に実効ある守備プレーという視点では、レッズはまだまだ・・それでも、そんな本物のディフェンス能力は、攻撃でのリスクチャレンジをくり返す結果として発生するギリギリの状況を何度も体感することでしか発展させることはできない・・」。

 この試合でのレッズ守備は、オールコートマンマークは、ヴェルディー最前線の平本への坪井のマークだけと、比較的柔軟にやっていると感じました。昨シーズンは頻繁に見られた、「早すぎる」段階でマンマークに入ってしまうというのではなく、互いのポジショニングバランスを取ること「も」意識し、効率的なマークの受けわたしから、勝負所でタイトなマンマークに入ろうという発想が見えてきたレッズ選手たち。

 でも逆にそのことで、中盤ディフェンスに甘さが出てしまったとも感じました。次のパスレシーバーに対する狙い(次のパスに対する読み)が甘く、ボールホルダー(次のパスレシーバー)へのチェックが後手、後手にまわってしまう。まあ、人数は「常に」揃っていますから最後は安定して対応できていましたがネ。

 守備ブロック選手たちの、攻撃へ押し上げていく姿勢が消極的ということもあって(もちろん監督の意識付けの結果でしょう)、守備での人数がいつも「余り気味」になっているレッズ。攻撃しているときでも、常に次の守備をイメージしてポジショニングしていると感じます。もちろん前述したように、そのことがレッズ守備ブロックを安定させているわけですが、逆にそのことで、攻撃の厚みを演出できないばかりか、中盤守備での緊張感にも欠けてしまう・・。

 エジムンドは、たしかに素晴らしい選手です。ボールを持てば、何かをやってくれるという期待感が自然と高まります。いくら「単発」とはいっても、彼が入ったことでレッズ攻撃がより危険なものになったことは確かなのです。それでも、「厚み」がないことで、やはり最後の仕掛けは頭打ち。エジムンドも身体で感じていたことでしょう。「こんな定型の攻めをつづけていたら相手守備ブロックを崩せない・・もっと、ボールがないところで最前線を追い越していくような押し上げがなければダメだ・・」。

 彼だけが、大きく動いて、前後左右にポジションを変えつづけていましたよ。何とか「変化」を演出しようとしてネ。彼が下がれば、内舘や山田が、彼よりも高い位置にポジションすることになりますからね。それでも、そこから最前線へ飛び出していこうとか、エジムンドとのコンビネーションを仕掛けようとかする意志が見えてこない。これでは、ヴェルディー守備ブロックはまったく怖くないでしょう。そして出てくる最終の仕掛けは、単発のドリブル勝負ばかり・・。

 それでも私は、組織プレーにもセンスの高さを魅せるエジムンドが入ったことで、(彼に引っ張られるように)レッズの攻めにも何らかの変化が出てきそうな雰囲気も感じていました。

 とはいっても、ハンス・オフトの、選手たちの次の守備プレーに対する信頼レベルは(守備意識に対する信頼レベルは)まだまだ低いでしょうから、何らかの「調整」が入ってしまうでしょうけれどネ。

 本物の守備意識。それを言葉で表現するのは難しいのですが、一番分かりやすい「攻撃から守備へ切り替わる状況」を例に取ると、こんな感じになりますかネ。例えば、ボールウォッチャーに陥ってしまうことがない・・とか、相手にボールを奪い返されそうになった瞬間に、自然と次のディフェンスアクションがイメージされる・・とか、決して「アッ、遅れてしまった・・」と戻るアクションを止めてしまうことがない・・とか・・。そんな高い意識がベースにあってはじめて、ボールに対するチェックと、別の仲間のインターセプトや相手のトラップの瞬間を狙ったアタックアクションなど、次の守備プレーが有機的に連鎖するというわけです(守備イメージのシンクロ=高い相互信頼レベル)。

 何か、モヤモヤ頭が、まだスッキリとしない湯浅でした。




[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]