トピックス


ワールドユース(2)・・持てるチカラを出し切る立派なサッカーを展開した若武者たちでしたが・・世界の壁はまだ厚い・・日本対コロンビア(1-4)・・(2003年12月3日、水曜日)

いまエジプト対イングランドの試合を見終わったところです。「1-0」でエジプトの勝ち。それも、あと3-4点入ってもおかしくないゲーム内容。エジプトの完勝でした。組織的なディフェンスと、パス(フリーランニング)とドリブルやタメキープなどが絶妙のバランスを魅せる高質なモダンサッカー。印象的でしたよ。

 ということで、このグループで日本のライバルになるのはエジプトとコロンビアということになります。フムフム・・、このコロンビア戦が本当の勝負になるということか・・さて・・。

-------------------

 いや、本当に小気味よい組織サッカーを展開しますよ、このU20代表は・・。とにかくよくトレーニングされている。もちろんその背景には、効果的なイメージトレーニングもあるに違いない。大熊監督の、意識付け能力(イメージング能力)の高さを感じます。

 前半11分には、こんなシーンを目撃しました。日本を押し込んでいくコロンビア・・ペナルティーエリア付近で決定的パスを狙うが、日本守備ブロックのクレバーな囲い込み(プレス網)によってボールを奪い返されてしまう・・すぐに中盤スペースへタテパスを展開する日本代表・・そこへ一瞬の判断で上がったのはストッパーの菊地・・そのままパスを受け、トップとのワンツーを駆使して最前線への突破へチャレンジしていく・・そこには、後ろ髪を引かれることのないホンモノの勢いがある・・味方の高い守備意識に対する深い相互信頼・・それがあるからこそ菊地が最前線まで攻め上がっていけた・・そしてボールを失ってからの菊地は、無為に戻るのではなく、最前線から積極的なディフェンスを展開する・・もちろん、菊地が上がった穴は、守備的ハーフがしっかりとカバーしている・・ってな具合。

 日本代表のディフェンスが、常に「次の攻撃への転換まで」をしっかりとイメージしていることを如実に示す一連のプレーでした。受け身に守るのではなく、あくまでも次の攻撃への準備という意識がその基盤にあるというわけです。

 また前半26分には、中盤での粘りのマーキングからボールを奪い返した今野が(この状況で、ボールは、転々と左サイドの味方へ転がっていった・・)、次の瞬間には、脇目もふらずに最前線へ飛び出していくというシーンも目撃しました。途中でボールを奪い返されましたが、守備的ハーフの今野が上がった状況ということで、しっかりと阿部が下がっていましたよ。そんな、高質なタテのポジションチェンジが心地いい。

 コロンビアは強いチームです。たしかに戦術的な組織プレーという視点では日本もひけをとりませんが、コロンビアの「個のチカラ」は尋常じゃない。7番のペレア、11番のモンターニャ、17番のカステリジョン、20番のリバス等々、とにかく個人的なチカラは、さすがに南米のフットボールネーション代表です。

 またコロンビアの守備も強い、強い。特に「1対1」の強さは抜群です。要は、多くの攻撃の才能を有しているからこそ、必然的に守備力も発展するということです。

 それでも日本の若武者たちは、臆することなく、持てるチカラを存分に発揮しようとするのです。もちろん前半は失点をゼロに・・というゲームプランだろうから、人数をかけて攻め上がるというシーンは希でしたが、それでも、中盤からのダイナミック&クリエイティブ守備をベースに展開するサッカーは、確かなレベルにあると感じさせてくれるのですよ。本当に頼もしい若武者たちです。

-----------------

 日本のディフェンスのキーポイントは、何といっても、相手ボールホルダー(次のパスレシーバー)に対するチェイス&チェック。それがうまく機能すれば、次、その次の守備アクションが、まさに「有機的」に連鎖しつづけます。それがツボにはまり、高い位置でボールを奪い返せれば、素早くチャンスの芽を発芽させられるというわけです。でも逆に、そのチェイス&チェックアクションが後手にまわってしまったら・・。

 前半も30分を過ぎたあたりから、ちょっと最終ラインと中盤ラインが下がり気味になり、相手ボールホルダー(次のパスレシーバー)に対するチェイス&チェックが、うまく機能しなくなったと感じました。こうなったら、コロンビアの足許ショートパスという特徴がうまく活きてくるのも道理。そして日本の守備ブロックが振り回されてしまうようなシーンが目立ちはじめるのです。

 日本の最初の失点はセットプレーから(前半36分)。ギリギリの体感の積み重ねとも表現できる「混戦のなかでの最後の一歩」にやられたといったシーンでした。しっかりとマークしていたにもかからず、身体をあずけられてヒールキックでゴールへ流し込まれてしまったのですからね。また前半42分のコロンビアの追加ゴールにしても、積極的に競り合わなかったことで、簡単にヘディングでボールをつながれてしまい、最後は、決定的なパスをゴール前ゾーンに送り込まれてしまった・・。

 組織プレーアイデアの質の高さを感じさせてくれていたU20代表だったから、その失点が本当に残念で仕方ありませんでしたよ。また、立ち上がりはよいペースで攻め上がっていた後半にも、セットプレー(フリーキック)からのこぼれ球を決められてしまって・・。その後、互いに一点ずつを奪いましたが、まあ勝負はその時点で決していました。

------------------

 いま四時をまわったところです。アタマが回転しなくなってきたから、ここら辺りで締めることにします。

 とにかく、質の高い立派なサッカーが展開できることを「内外に」アピールしつづけるU20日本代表には、最後まで、悔いの残らない吹っ切れた積極サッカーを期待します。そうすれば、優れたチームコンセプトと優れた選手たちがうまくマッチングした彼らのことだから、リーグ最終戦となるエジプトとの勝負マッチでは大いなるチャンスを自らつかみ取れるはず・・。金曜日の夜中が待ち遠しくて仕方ありません。




[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]