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ワールドユース(4)・・またまたヤッタ〜ッ!!・・トーナメントで成長をつづけるU20日本代表は、ブレイクスルーというレベルまで到達した?!・・日本対韓国(2-1、延長ゴールデンゴール!)・・(2003年12月9日、火曜日)

トーナメントを通して成長しつづけるチーム・・。このU20日本代表を語る際のメインテーマです。そして、その成長の証となるべき韓国戦。さて・・

 たしかに、大熊監督率いるU20チームは、韓国U20との対戦では分が悪い。そのことが、選手たちのコンプレックスになっているのだろうか・・。まずそのことをしっかりと感じ取らなければ・・なんてことを考えながら観戦をはじめました。

 立ち上がりの時間帯は、予想されたとおり韓国ペースになります。日本は守備ブロックを固める(安定させる)という意識が先行していますから、攻めに人数をかけられない。だから攻撃は単発。まあそれも、日本代表のゲーム展開イメージに沿ったものだということでしょう。とにかくまず韓国の勢いを抑制してゲームを落ち着かせよう(とにかく前半は失点ゼロで抑えよう)・・。そんなゲーム展開イメージは正解でしょうね。とはいっても、それで選手たちの全体的なプレー姿勢が「受け身」に沈滞してしまったら取り返しがつかなくなってしまうわけですが、このU20日本代表の場合は、そんな心配はご無用です。グループリーグのイングランド戦、エジプト戦など、彼らはそのプロセスでも決して受け身になることなく、どんどんと自信レベルを高揚させるなかで成果を挙げましたからネ。落ち着いた展開からペースアップしていくという「流れ」に自信と確信をもっているということです。だから、落ち着いたプレーでゲームに入ることで、落ち着き「過ぎて」しまうことはない。とはいっても相手は韓国ですからネ・・。

 立ち上がり、二回ほど、左右サイドのウラスペースを使われてクロス攻撃を仕掛けられました。まあ危ないシーンではありましたが、守備ブロックが完全に振り回されたということではありませんでしたからね・・。全体的には、落ち着いて韓国の攻めを受け止められている日本代表という流れです。そして、そんなプロセスを経ることで、クリエイティブで堅牢な守備ブロック(=彼らの守備コンセプト)をベースに、(例によって!)自信レベルが高揚してきたと感じられるようになっていったのです。

 それなんですよ、若武者たちが得意な「ゲーム運び」は・・。何といっても彼らが展開しているのは、考えつづけながらの(自分主体の!)クリエイティブ組織ディフェンスですからね。それが機能することほど、自信レベルを深められる「心理リソース」はないということです。イングランド戦、エジプト戦のようにネ・・。また大敗を喫したコロンビア戦でも、全体的なゲームの流れというか、実質的なゲーム内容では、同じような「自信レベル高揚プロセス」を明確に体感させてくれましたよ。たしかにセットプレーや、攻めざるを得なくなった状況での(守備ブロックが薄くなった状況での)カウンターで失点を重ね、結果としては大敗ということになってしまったけれど、実質的なゲーム内容は、決して気落ちするようなものではなかったということです。

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 さてゲーム・・。盛り返してきた日本代表が、徐々に攻撃にも「人数をかける」ことができるようになっていきます。要は、守備的ハーフと両サイドの押し上げが活発になってきたということです。もちろんそのベースは、チームに深く浸透した「クリエイティブな守備意識」に対する相互信頼。それがあるからこそ、次のディフェンスに不安感を持つことなく(後ろ髪を引かれることなく)吹っ切れた押し上げができる。だからこそ、一つひとつの攻撃プレーにも自信がみなぎるようになっていく。それは、相手をスクリーニングで抑えながら次の勝負パスを送り込んだり(周りも、そのパスを呼び込むような積極フリーランニング仕掛けている!)、相手マークのプレッシャーのなかでパスを受け、スッと振り向いてドリブルで仕掛けていくときの「吹っ切れた態度」等々、仕掛けでの積極的・攻撃的な局面プレーに如実に現れてくるということです。

 そしてゲームがダイナミックに均衡していきました。互いに、堅牢なディフェンスブロックを基盤に組織的に(人数をかけて)攻め合うといった展開になっていったのです。面白くなってきましたよ。そこでの日本代表の盛り返しに、「トーナメントでの成長」を如実に感じていた湯浅だったのです。

 でも、「よしよし・・」なんて思っていた前半38分。まさにアッという間のカウンターで先制ゴールを奪われてしまいます。中盤の低い位置でボールを奪い返した韓国が、次の瞬間には、右サイドに開いた選手(7番)へタテパスが送り込み、そこから、これまた間髪を入れずに、中央ゾーンへ全力ダッシュで入り込んでいたチェ・ソングへのラストパスが決めてしまったのです(川島もベストタイミングで飛び出してきたけれど、その鼻先で、チェ・ソングがチョンッというロビングシュートを決めてしまった・・)。いや、本当に見事なカウンターゴールではありました。

 これは厳しい戦いになる・・。誰もがそう感じたに違いありません。何せ、忠実さとフィジカルの強さが尋常ではない守備ブロックと、素晴らしく鋭いカウンターという武器を持つ韓国を相手に、リスクを冒してゴールを奪いに行かなければならなくなったわけですから・・。

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 そんなタイミングで(前半も残り数分というタイミングで)、大熊監督が、阿部に代えて平山を投入します。阿部に何かあったのか?? それとも大熊監督が、日本の攻撃に何かが足りない・・阿部のプレーに何かが足りないと感じていたのか・・はたまた平山への期待が大きいのか?? まあ「外部」には分かりません。今度大熊監督に会ったら聞いてみることにしましょう。また後半には、攻守にわたってダイナミックなプレーを展開していた小林大悟に代えて、ボールプレーヤーの谷澤を投入してきた。さて・・。

 私は、谷澤の投入には反対でした。何せ、中盤守備がおざなりの彼が入ることで、このチームの生命線ともいえる中盤守備のダイナミズムが大きく減退してしまうのは目に見えていましたからネ。もちろん谷澤が入ったことで、成岡が守備的ハーフの位置に下がり、今野とコンビを組むという布陣。それは、エジプト戦で(結果として!)成功したパターンでした。でもそれは、あくまでも「結果としての成功」ですよ。そこでのレポートでも書いたように、谷澤が入ったことで、明らかに中盤での攻守にわたるダイナミズムが減退したのですよ。たしかにボールを持って「仕掛け」に入ったらチカラを発揮する谷澤ですが、そこに至るまでの守備やボールがないところでのプレーには大きな課題を抱えている・・。さてどうなるか・・。

 でもやはりというか・・この試合でも、前半の終盤には何度か出てきていた、韓国守備ブロックを突き破ってしまうような「勢い」が、後半は完全に霧散してしまうのですよ。その「突き破る勢い」の源泉は、何といっても中盤でのクリエイティブ&ダイナミック守備にありますからね。

 全体的なプレーペースが低落気味で、ゴールを奪えそうな雰囲気を演出できないだけではなく、韓国のチェ・ソングが中心になった危険なカウンターシーンを何度も作り出されてしまう日本代表。これではジリ貧だぞ・・なんて思っていたところで登場したのが、坂田大輔だったのです。後半27分のことです。それは成岡との交代だったのですが、それって、成岡がケガでダメだというサインをベンチに送ったから(一瞬そのシーンが、大熊監督の「ダメ?」という声とともに映し出された!)実現した交代だった?! ちょいと事実関係がつかめませんが、たぶんそうだった?! まあ、この事実関係についても、大熊監督に会ったら聞いてみよう・・。

 予選リーグでは二得点を上げた坂田大輔。とにかくこの試合では、まさに救世主と呼ぶにふさわしい活躍を魅せてくれました。攻守にわたってネ・・。

 まず、まさに「起死回生」という同点ゴール場面から(後半37分)。最後方の右サイドでボールを持った徳永から送り込まれたロングボールを、平山がアタマでつなぎ、それをタテのスペースで受けた坂田が、アタックにきた相手ディフェンダーを落ち着いてかわして右足でドカン! そして延長前半14分のゴールデンゴールのシーンは、中盤の高い位置での混戦から抜け出してボールを持った今野が、ここしかないというタイミングとコースの浮き球ラストパスを、右サイド最前線でフリーになっていた坂田へ通し、それを坂田が、ワンバウンドからのボレーキックでたたき込んだ・・。

 その直後に映し出された韓国選手の表情が印象的でした。まさに茫然自失・・。負けるはずがないと自信をもって臨んだ日本戦だったのに・・。

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 最後に、谷澤についてもう一言。

 後半、坂田が入ってくるまでの彼は(要は、成岡がまだ守備的ハーフに入っていたときまでは!)、攻守にわたって、本当に受け身で消極的なプレーに終始していたのですよ。だから観ているこちらはフラストレーションがたまりっぱなしだった。「一体、何をやっているんだ! もっとしっかり守備をしろ!!」、なんて声が出てしまって・・。要は、谷澤の「守備意識に対する信頼度」が低すぎるから、それまで出ていた「タテのポジションチェンジ」が影を潜めてしまったということです。

 後方からの押し上げで演出されるタテのポジションチェンジ。前半では、そんな「攻撃の変化」があったからこそ、(たしかに部分的ではあったにせよ)日本代表の攻撃にも韓国守備ラインを突き破るような勢いが見られたということです。後方からの押し上げを活性化するためには(自分主体のリスクチャレンジマインドを活性化するためには!)、とにかくミッドフィールダー全員の守備意識に対する相互信頼がなければならないですからネ。でも谷澤は、そのポイントで大きな課題を抱えている・・だから後半の日本攻めから勢いが殺がれてしまったということです。

 それでも、成岡がいなくなってからは状況がガラリと変わります。谷澤もディフェンスに入らざるを得なくなったということです。必死に相手とボールを追うようになった谷澤。たしにか稚拙なディフェンスですが、それでもいないよりはましだし、少なくとも「アリバイ守備」だけはやらないから、味方も「次のディフェンスアクション」をイメージできる・・。でも驚いたことに、そんなプロセスのなかで、どんどんと谷澤のディフェンスが成長して「実の効果」を発揮しはじめ、それに伴って彼のオフェンスプレーにも活気が出てきたのですよ。それは本当に興味深い現象でした。そんなシーンを見ながら、やはり守備がすべてのスタートラインだ・・なんていう普遍的なコンセプトを反芻していた湯浅だったのです。

 この30分強の時間のなかでやり通した実効プレーによって、谷澤が、ボールプレーヤーから一歩発展したに違いないと確信している湯浅です。やはり、ホンモノの勝負という厳しい環境こそが人を育てる(ブレイクスルーを達成させる)・・。あっと・・、ブレイクスルーの達成という視点では、坂田大輔も忘れてはならない。

 とにかく、(個々の選手も含め)トーナメントのなかで成長しつづける日本代表という視点で、この韓国戦は、本当に忘れることができない出来事になったということです。

 水曜日におこなわれる、東アジア選手権での日韓戦が、またまた楽しみになってきた・・。ライバルがいるということの効用を身にしみて体感していた湯浅だったのです。

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 ところで・・、この試合でも、前回(エジプト戦)同様、日本のゴールシーンで「ヨ〜〜シ!!」という声とともに部屋のなかで小躍りしていたのですが、マンションの階下の方には迷惑だったかも・・。この場を借りて謝罪いたします。スミマセンでした・・。




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