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いやいやエキサイティングゲームでした・・川崎フロンターレvsFC東京(3-2)・・(1999年10月24日、日曜日)

いやホント、シュートが乱れ飛んだりと、手に汗握るエキサイティングゲームでした。両チームのシュート数は、フロンターレが「19本」、東京が「18本」(まあ一部の時間帯は、ノーガードの・・なんていう雰囲気もありましたが、見ている方にとっては・・)

 面白いといったのは、もちろん「勝負的な興味ベース」でのことです。全体的な内容としては、特別、戦術的に見るべきモノがあったわけではありませんし、技術レベルも「そこそこ」といったところですからネ。

 それでも、トップ争いを展開する、総合力(個人的なチカラの総体)が『かなり拮抗する』チーム同士の対戦。それも、フロンターレが勝てばトップ独走、(東京が負けで)東京と三位の大分トリニータとの「昇格争い」が再燃・・ということになりますし、その逆では、トップ争いと、「三つどもえの照会争い」が熾烈になる・・ってな状況ですから、勝負に対する興味が尽きなかった・・ということなんです。

 そんなゲームですから、「ゲーム戦術」によってかなり「その時点でのチーム力」に差が出てきます(その意味では、戦術的な興味もありました・・)。

 まず最終守備ラインとボランチの「基本守備ブロック」。両チームともに、オールドファッションの「スイーパー(フロンターレが中西、東京がサンドロ)」を置く「スリーバック」と「ダブルボランチ」の組み合わせです。

 そして「守備のゲーム戦術」ですが、フロンターレは、古色蒼然たる『ストリクト・オールコート・マンマーク』戦術で試合に臨みます。対する東京は、川崎に比べれば、かなりの頻度で「マークの受け渡し」をします。つまり川崎の守備戦術が、非効率だが、シンプル、堅実、確実なのに対し、東京の守備戦術は、比較的、効率的&クリエイティブ(でもしっかりと機能させるのは難しい守備戦術)だったとすることができます。

 「ストリクト・マーク」とは、最初に決められている「マーク相手」を、試合中を通し、できる限りマークし続けるというものです。ですから一度なんて、マークする相手に合わせて動くフロンターレの選手が、ボールを持つ東京の選手と、そこにチェックにいったフロンターレの別のディフェンダーとの「間」を走り抜けていった・・なんていうシーンを目撃したりして・・。

 ちょっと「やり過ぎ・・?!」なんていう印象をもった湯浅でしたが、グラウンド上での「効果」は絶大!! 前述しましたが、「総合力」が「同程度」のチーム同士の対戦ですからネ・・。ということで前半は(全体的に)、フロンターレが「内容」で、東京を圧倒します。

 でも先制ゴールを決めたのは東京。試合がエキサイティングになるのも道理・・ってな展開ではありませんか。このゴールは、右サイドから、逆の左サイドに空いている「決定的スペース」へタイミング良く送られた「決定的サイドチェンジ・パス」に、FC東京の奥原が「反応」し、ダイレクトでフロンターレゴールの左上隅に決めたもの。電光石火の、素晴らしいゴールではありました。

 それでも、前述したように、フロンターレの「シンプル守備戦術をベースにした勢い」はとどまることを知らず、どんどんと東京を押し込んでいくだけではなく、何度となく決定的チャンスを作り出します。

 14分。右サイドから長橋が突破し、へラストパス・・ツゥットがダイレクトでシュート!・・こぼれ球をティンガがシュート・・はじかれたボールを、最後は、桂がヘディングで左サイドからシュート・・同点ゴール!!

 試合展開からすれば、このゴールは「遅すぎた・・」?! そんな印象を持つほど、川崎の、「忠実な中盤・最終ラインの守備」をベースにしたサッカーが効果的に機能していたのです。だから36分の、久野のFKからの「川崎の勢い」がそのまま乗り移ったような、勝ち越しフリーキックゴールは当然の帰結・・?!

 ただその後は東京も少し盛り返します。それまで、川崎の「しつこいマンマーク」に(ボールがないところでの)足が止まり気味で、ほとんどの攻めが「二〜三ステーション」でオシマイ(パスが二、三本つながってオシマイ)・・ってな拙攻を繰り返していたのが、(川崎の逆転ゴールに、心理的に刺激された?!)守備陣の押し上げが活発化したこともあって、全体的な「攻守のバランス」が改善されていったのです。

 それが前半43分に飛び出した、東京の同点ゴールを演出します。佐藤の、右サイドの突破からのセンタリングを加賀見が中央で受け、振り向きざまに素晴らしい同点ゴールを決めたのです。これは(勝負が?!)面白くなる・・

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 後半・・

 そんな前半の良いリズムを継続するように、東京の、中盤での「読みベース」の受け渡し守備だけではなく、「ボールがないところでのアクション」が活発化した攻撃も、うまく機能し続けます。

 そんな東京の「良いリズム」は、彼らの「中盤の王様」、アウミールに対する(川崎の)大塚のマークが甘くなり始めていたことが原因の一つでした。前半は、大塚のマークは素晴らしい効果を発揮し、川崎の「自信ベース」だったアウミールがまったく機能していませんでしたからネ・・。東京のサッカーが、アウミールのアクティビティーの向上に伴い、どんどんと活性化していったように感じます。

 それでも勝利の女神は川崎フロンターレに微笑みます。後半15分。中央での混戦からドリブルで抜け出したティンガが、左足で、ゴールの右サイドネットを揺すってしまったのです。勝ち越しゴール!!

 そしてゲームの流れ(心理的な勢い?!)も、川崎へ・・。22分、東京の守備陣を完璧に振り回し、最後は、桂がフリーシュート(ディフェンダーに当たって、ゴールをそれる)・・等など、波状攻撃が続きます。それでも追加ゴールを奪えない川崎。

 そうなんです。これが勝負のアヤなんです。チャンスを作り出しながら、それを決められない・・。(川崎にとって、心理的に)アブナイ雰囲気が漂ってきた・・なんて感じていた湯浅でした。そして案の定というか、残り15分間は、再び試合が、完璧に東京ペースになってしまいます。大パワーで押し込んでくるFC東京。

 二度にわたるGKとの一対一のピンチ(川崎GK、浦上がよく防ぐ)!! 東京のCKからのヘディングシュートを、川崎ディフェンダーがライン上でクリア!! などなど・・フ〜〜

 そんな押し込まれている状況でも、何度も、フィニッシュまで行くような危険なカウンターを仕掛ける川崎・・エキサイティング、エキサイティング・・

 この最後の時間帯だけでも、一万四千人近く集まった観客の皆さんにとっては、入場料にオツリがくる「内容」だったんではないでしょうか・・

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 この試合での川崎の攻めは、(両トップの)ツゥット、ティンガ、(チャンスメーカーの)桂と、両サイドの長橋、久野(だけ)が演出していました。オールコートマンマークですから、この試合では、ダブルボランチの、土居、大塚は、まったくといっていいほど攻撃に参加してこられなかったのです(・・というか、それがゲーム戦術だった・・)。それでも、この両サイド(長橋、久野)の攻撃参加の効果的だったこと・・。彼らに大拍手です。

 ハーフタイムで、東京の大熊監督が、「両サイドバックの長橋、久野が上がり気味だから、その空いたサイドのスペースを使うように・・」という指示を出したと聞いたのですが・・。川崎は「オールコート・マンマーク」ですから、そんなに簡単にはいかないだろう・・なんて思っていました。

 そして案の定、「意図した」サイド攻撃は、(試合の最後の15分間を除いては)ほとんど機能しませんでした。何せ、サイドのスペースに開いた東京の選手には、「初めから決まっているマーカー」が、まるでスッポンのように付いてくるんですからネ。このような展開で最も有効な「ゲーム戦術」は、「縦横のポジションチェンジ」なんですヨ。例えば(チョット大げさですが・・)最前線、二列目の選手と、後方の選手たちが、一瞬でも全員が「タテに入れ替わって」しまう・・それほど効果的な攻撃の「ゲーム戦術」はないのです。とはいっても、その戦術を実行するには、個々の高い戦術的なチカラが必要ですけれどネ・・

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 楽しませてもらったので、筆が進むこと、進むこと・・。

 これで、フロンターレの「J−1」昇格が、ほぼ確実になりました。ヴェルディーの東京移転公表などもあって、このエキサイティングゲームに集まった観客の方々の、フロンターレに対する「ロイヤリティー」は天井知らず・・?!

 確かにフロンターレは、「J−1」で確固たる地位を築くにはまだまだ力不足。それでも、「J−1」での経験を積めば、「地元サポートパワー」と相まって、かなりやるのでは・・なんて期待している湯浅です。




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