トピックス


あまり多くのコメントはありません・・タイ代表vs日本代表(0−6)・・(1999年11月13日、土曜日・・深夜)

結果が決まってしまっている、オリンピック最終予選の最終ゲーム。それも、大きな実力差のあるチーム同士の対戦・・

 この状況で、最高レベルの「モティベーション」を・・というのも酷です。それは両チームにいえることです。とはいってもタイは、地元の新設競技場での試合ですから、東京での対戦同様、しっかりと守ってカウンター狙い・・というゲーム戦術で立ち上がります。

 グラウンドが非常に「ユルイ」、また「パス・レシーパーの動きも緩慢」ということで、日本チームの「ボールの動き」は全くスピードアップせず、逆にタイが、「相変わらず」チャレンジャーとして元気良くプレーします。

 でも、タイの展開パス(一点目はクリアキックでしたがネ・・)が、日本選手の「足」や「アタマ」に当たって跳ね返り、最前線にいる平瀬への「ベスト・ラストパス」になってしまいます。前半24分までで「2-0」。これで勝負が決まってしまいました。

 試合の流れについてはここまでにします。なんといってもその後、(守備のシステムを変更したことで)タイの守備組織が「空き」、日本が順調に得点を重ねただけではなく、二人のタイ選手が、ラフプレーで退場になってしまったりしましたからね。とにかく日本チームにケガ人が出なくてよかった・・

------------------

 気付いたポイントをいくつか・・

 まず平瀬。彼の「チャンスを確実にゴールに結びつけるストライカー能力」の向上に、「この試合でも」強い印象を受けました。

 激しい「上下・左右」の(ボールなしの)動きをベースに、常に最後は「自分がシュートにいけるポジション(スペース)」を狙う・・、そしてシュートチャンスとなったら、確実にゴールを決める・・。またそれだけではなく、何本ものラストパスも決めました。今回のオリンピック予選で(その機会を活用して)「次の大きなステップ」へのキッカケを掴んだトップランナーが平瀬だったのかも・・

 もちろん、中田英に刺激され、クリエイティブプレーに磨きがかかった中村、一時期の(ヒザのケガによる?!)不調から完全復活した稲本、彼とコンビを組み「裏方としてのポテンシャル」を十二分に証明した遠藤、考え続ける(集中を切らさない)効果的なフラットラインを構成した宮本、中澤、中田浩のトリオ、また本山、明神、酒井なども、特筆選手たちです(それ以外にも、キッカケを掴んだ選手が何人もいますが、ここでは・・ということでご容赦アレ・・)。

 最後に、今回の予選で対戦したのが、実力的に明らかに劣る相手だったことをもう一度、認識しておかなければなりません。

 これから相手にするのは「世界」。簡単にシュートチャンスを作り出すことはできない・・ということもそうですが、私が一番心配しているのは「守備」です。

 フラットスリーの生命線は、「読みベース」の中盤守備。そこが、相手の攻撃を「最終ラインの前」で、ある程度「止める(相手の展開の勢いを抑制する)」ことができなければ・・。もし彼らが、相手の素早いボールの動き、ドリブル突破、二列目の「追い越し」、斜めの爆発フリーランニングなどで、振り回されてしまったら・・

 私は、トルシエ監督の「フラットスリー」は、ラインの上げ下げ(オフサイドトラップ)も含め、あまりにも「ポジショニング・バランス」にこだわり過ぎていると思います。フラットスリーの三人が、あまりにも決められた「互いのポジショニング(等間隔でラインを形成すること)」にこだわり過ぎていると感じるのです。

 たしかに(相手が弱いこともあって)今はうまく機能しているように見えますが、それでも、タイ相手でも、カザフスタン相手でも、最終勝負を仕掛けてくるボールを持つ相手の「前」に(中盤選手が戻れるタイミングではないにもかかわらず、フラットスリーが下がってしまうことで)大きなスペースを作ってしまう場面が何度もありました。それでは、相手のチカラが上の場合、ロングシュートを打たれたり、(ライン形成に気を取られ過ぎることで、チェックタイミングが遅れ)そのままドリブル突破されたり、二列目選手の「追い越しフリーランニング」にフリーでラストパスを出されたりしてしまう危険性は、天文学的に高まってしまう・・

 私が言いたいことは、相手のサッカー(強さ)に応じて、(中盤守備も含め)タイトに(密着して)チェックする「マン・マーク」への移行(ブレイク・ポイント)タイミングを、もっと柔軟に考えてもいいのでは・・ということです。

 では今日はこのあたりで・・




[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]