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カザフ、侮るべからず・・タイ代表vsカザフスタン代表(1−4)・・(1999年10月30日、土曜日)

この試合については、例によってインプレッションだけをまとめます。

 この試合を見ていてまず再認識させられたことがあります。それは、「グラウンド・コンディション」が、「サッカーの質」に与える影響の大きさ・・ということ。カザフスタンが、見違えるほど素晴らしいサッカーを展開したのです。もちろんカザフスタンを甘く見ていたわけではありませんがネ・・

 中盤、最終ラインでの、厳しく、システマティックな守備(共同プレスのかけ方もかなり優秀)。高さ、「読み能力」も十分です。攻撃では、しっかりとした技術をベースに、部分的には、「見事!」と叫んでしまうくらいスムーズにボールを動かしてしまいます。

 もちろん、ボールをこねくり回し過ぎ、展開が狭い、ウラ狙いフリーランニングが出てこない(組織プレーと個人プレーのバランスが崩れている)など、タイの実力が劣っていることもあるのですが、この試合でカザフスタンが展開したサッカーは、本当にスマートなものでした。また、気温30度、湿度80%という気候条件のなかでも、まったく(クリエイティブな!)運動量が落ちなかったなど、コンディション的にも、驚くほどハイレベルの「フォーム」を保っているようです。

 (窃盗事件で謹慎していたメンバーが戻ったことも含めて?!)本来のチカラを発揮しはじめたカザフスタン。相手にとって不足はありませんし、これでちょっとは「肉を切らせて骨を断つ」という本物の「勝負」の雰囲気が盛り上がってきたではありませんか。勝つか引き分けでオリンピック本大会出場が決まる・・。来週土曜日の対戦が楽しみで仕方ありません・・

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 彼らの攻撃は、中盤で、ショート&ミドルの素早いパスをベースに、しっかりとボールを動かして組み立てる・・というタイプ。日本が組みしやすいサッカーです(もちろん日本では、ガッチリ守り、ロングパスで速攻・・という戦術を採用してくるかもしれませんけれどネ)。

 ただカザフは、サイドからの(どちらかというと大雑把な?!)攻めや、中央ドリブル突破チャレンジからの、ラストパス、ロングシュートなどにはある程度の強さは発揮するものの、「タメ」と、爆発フリーランニングとの組み合わせで「決定的スペース」を突くなどの、「決定的コンビネーション(決定的組織プレー)」では、日本の方に決定的アドバンテージがあります。

 要は「プレー・イメージの質の差」、「シュートチャンスを作り出すバリエーション・イメージの差」ということです。また日本相手に、(この試合のような)「中央ドリブル突破」を簡単に決められるわけもありませんしネ・・

 ということで、総合力では、日本オリンピック代表の方が上であることは明白ですが、それでも、ガチガチに守る中で、単独ドリブル勝負などからのロングシュート(この試合では、グラウンドが良いせいか、見違えるほど危険なロングシュートをビシバシと放っていた!!)、アバウトなセンタリングをどんどんと放り込んで「高さ」で勝負(こぼれ球勝負)・・など、(この試合で証明した)高い身体能力(高いパワーレベル)を十二分に活用した忠実なサッカーを展開されたら、いくら(ヒデも参加する)ソリッドにまとまった強い日本代表といえども、「我慢の時間帯」が増えるかも・・

 とにかくこれで、日本代表の若武者たちに、またとない「ホンモノの勝負の場」が用意されたことになります。彼らの人生でも、体感できること自体が稀な、「肉を切らせて骨を断つ闘い」の舞台が用意されたのです。




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